進撃する魔神
初めての作品です。温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
自分なりの強さを表現してみましたが、やってみると意外に難しいものでした。
天使たちの猛攻を全くと言っていいほど受けず神殿に向かう漢がいた。
高レベルの攻撃呪文は指で払い落とし、高位の禁断呪文すらも片手で受け止めた。
上質の魔法が付与された武具による攻撃も素手で捌き落とす。
神々より賜った神器は一度は彼を捉えるモノの寸前の処で可憐にかわしきられた。
そして天使たちは擦れ違う度にまるで紙でも斬るように撫で斬りされ地に伏せていく。
かつて天罰の名の元に人々蹂躙してきた天使が今この瞬間たった一人の漢に束に成っても勝てないのだ。
漢の歩む速度は変わらない。漢を阻む布陣はどんどん厚く成ったがその進撃は変わる事は無かった。
相変わらず涼しい顔をしたままのであったが斬り伏せた数が百を超えた辺りで剣を持ちかえ軽く手を振る。
切れ味の良い名工が鍛し逸品ではあるが流石に天使たちの硬い体を切り続けるには負荷が大きいのかも知れない。
「少し戦術を変えるかな」ボソリと呟く。
ファイヤーボール、アイススピア、ウインドカッター、ライトニング、マジックアロー。天使たちが使う呪文に比べたら格段に低レベルな呪文を無詠唱で奏でる。
天使たちは一瞬浮き上がった炎や氷の塊を見て怯むもそれが低レベルの呪文と分かると平静を取り戻していった。
天使にはこんな低俗な魔法は効かないのである。通常は。。
「練」さらに呟く。
この時から低レベルの呪文たちの何かが変わった。炎は青くなり、氷の粒はより白く輝く。
先程まで天使の表皮で弾かれ砕け散っていた呪文が天使の体を貫いた。火球が天使を包み焼き尽くす。真空の刃は十文字に切り裂き、雷は心臓の動きを止め、魔矢は胴体に大きな穴を開ける。
そして数が違う。剣による戦いでは一対一のペースだったが、一対複数のペースで倒されていく。
また魔法による攻撃はいつ終わるか分からない洪水の様に湧き続けた。。
いっ時を置き天使たちの骸が地を埋め尽くす。その数は千いや二千は超えているかも知れない。
「ふぅ」取り敢えずは片付いたかな。漢の前には動くモノは無かった。
「もうよい。私が行こう」痺れを切らした神の一人が動いた。
神殿から黄金の竜に乗った武神が飛び出して来る。
「我が名はアドニス。神殿を護し光神が一人」自己紹介である。
「お主もはや人では無いな。魔人いや魔神よ」実力は認められた様である。
ゲイルは軽く手招きをした。
「神を相手にしても口も開かんとは無粋な」光神はそうこぼしては自慢のランス構える。
一呼吸置きランスを繰り出した。早い、速い。その一撃は光のそれに近い。流石は神である。
天使とは格が違う。
だがゲイルも魔神といわれた漢。繰り出されたランスを器用に交わし切る。ただ、致命打は受けてないモノの天使たちの攻撃とは違い身体には幾つかの切り傷を負っていた。
剣圧に押されゲイルは数歩後づさる。さらに距離を置き「練」と唱えた。
今度はアドニスに無数の呪文が襲いかかる。
アドニスも流石は武神と名乗る者。降ってきた呪文の刃を器用に矛先に当て受け流していた。素人目にはただランスを振り回しているだけにしか見えないが。。
ゲイルもならばと目標を黄金竜に変えるも、こちらも流石は金龍と言った処。呪文の殆どを分厚い鱗で凌いでいる。痛そうにはしているが、それまでである。
拉致があかなと悟ったゲイルは剣を抜きアドニスに振りかかった。「四の太刀、俊足」ゲイルの剣も光のそれに近い。
がアドニスも見事に、これを受けきる。やはり天使のそれとは違う。そして金龍もここぞとばかりにブレスを放って来た。
「うぁ強敵」この戦いで初めてゲイルも声を上げる。
ゲイルはドラゴンブレスを避けながら一歩また一歩と近づき金龍の腹の側で大きく腰を捻った。
そして上質な回転を加えて拳を金龍の腹にぶち当てた。まさかの腹パンである。
衝撃波は竜を貫いてアドニスに襲い掛かった。「真技、虎砲」一瞬ではあったが衝撃波は虎の姿を模していた。
かくして黄金の竜はその身を地に崩し倒れ込む。アドニスも意識を失い竜の隣に横たわっていた。
長くなるだろうと思われた魔神と光神との戦いであったが、決まり手はわりと一瞬の出来事であった。
こうして魔神ゲイルの闘いは神殿へと続くのである。。
この後どうなるか自分でも結構楽しみです。
ただ次回はいつ頃になるのか分からんです。