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二話


 テストで良い点を取る、と決めたからにはする事がある。

それは何か?


勉強?そんなものはして当然だ。寧ろ勉強もせずにいい点が取れるなんて天才以外あり得ないだろう。

集中?ノンノン。部屋の片づけ?論外だ。


正解は・・・。


ガラリ、と音を立てて古びたがた付きのある古びた滑りの悪い扉が開く。


瞬間、教室の中に緊張感の様なピリピリとした空気が漂い、冷たい沈黙が下りる。


教室を見回すと俺と目があった女子が一人、青ざめた顔で席を立ち口元を抑えながらトイレへと足早に去っていく。


友達と思しき女子達が恐れと嫌悪を混ぜた表情でなんか、「あんたの所為で・・・!」とでも言いたげに去っていく。


教室の残りのメンバーも何故か次々と席を立っていく。


「飯食うの忘れた」その手に持っている菓子パンは何だろうか。「教科書全部忘れた」ここに何をしに来たんだ。「腹痛と腰痛と歯痛と頭痛と鼻痛が」病院に行ってこい、そっちは玄関じゃないぞ。「しまったテスト期間を忘れていた・・・!」だからこそ学校で勉強しようよどこ行くんだよ。「しにたく、ないよっ・・・!」あぁ、何時かの元ルームメイトさん。もうお前には何も言わないよ。


 そうして一人、教室の真ん中の席でポツンと一人。


ああ、まだテストでいい点を取る方法について答えを言っていなかったですね、俺の場合は・・・。



「教室に来ることから始めないといけないんです・・・」



因みに、教師は俺の姿を認めるとああそういえばもう一週間前だったな・・・と呟き、チョークでカツカツと乾いた音を響かせ、自習の文字を書き込んだのち後で一週間分のテスト期間中のプリントを纏めて教室に置いておくからと言い残し去っていった。


仕事をしてくれ似非教師。


え?おかしくない?ここ一応国立の高校だよね?いいの?こんな虐めみたいな事がまかり通っちゃってさ。


俺の出席日数は公的には出席した事にしてくれていて、俺は寮の自室で基本授業(自習)を受けているのだが勿論のこと俺もこれには反論した。


…が!ダメ!却下!ここでは順位が全て、国に認められた価値が示すステータスとはそれだけ自分の価値を示す。


教室の俺以外の全員が俺と授業をする事を拒否した事で実技も座学もマジもんのぼっちである。


はーい二人組作ってーとか教師と余りで組むことすらない、だって教師すらいないもん。


一番の理由は俺は相当に気持ち悪いかららしい。


曰く、呪いの塊。歩く神話的恐怖。裏ボス。雑魚だけど倒したらゲーム進行不可能なギミックが発動するタイプの敵。生理的に無理。実は人を呪えそう。絶対厄。等々・・・。


例外は俺を虐めにくる、というか関わってくれる人達はまぁ血筋というか何というか色々事情が絡んでるのもあるんだが毎回死にそうな顔しながら俺の背中とか蹴ってくる。


一回、顔を殴れって命令されて実行してきたいじめっ子君達。


小声でめっちゃ恐怖に滲んだ泣きそうな声と引き攣った顔で「ゴメン呪わないでゴメン呪わないでゴメン呪わないでゴメン呪わないでゴメン呪わないでと」とまるで呪詛の様に呟きながら慈悲を乞うようにこっちを殴ってきたから本当に居た堪れない。


俺、また何かやっちゃいました?(殴られながら)


 そんなこんなで俺は授業に普通に出席する事すら出来ないのだがそれでもテスト期間、即ち順位の査定期間に入ると俺はこの学園の本来の権利を行使する事が出来る。


例えば普通に授業を受けれて、普通に学食を食べれて、普通に図書室とかの施設を使えるとか・・・。


普段は勿論無理。順位を上げようとすることを妨害する事に繋がることを学校側が推奨する事が出来ないらしくこの僅かな期間のみ俺は学生という事を自覚する。


レベルを上げさえすればこれ全部解消するんだけどね、無理なんだすまない、神の呪いなんだこれ。


そしてどうも学校は早い所俺というゴミを学園から去らせたかったのか定期的に***が***で###な進路を歩んだ方が良いと思い出したように自習のプリントに混ぜてくる。


寮に自室で、しかも半ば隔離された場所で(人が寄り付かない的な意味で)過ごす。


監獄ってこういう事を言うんかなぁって思って全て投げ出してやろうかと思った事は何度もある中、こういうプリントが俺を勇気付けてくれたのかもしれません。


主に考え無しに飛び出したらこうなるぞ、的な意味で。人体を呪物化ってそれ俺死にますよね?遠回しに逃げたら殺すって言ってないですよね?先生。冗談だと俺は信じてます。


けど将来呪術で人を呪えるようになったら真っ先に先生を呪いに行こうと思います。


俺は木の根を啜り草の根を掻き分けて泥水を飲み干し、呪いを全てその身で浴びたとしても必ず彼女作って穏当で幸せな生活を送っていくんだ、絶対に諦めねぇからな・・・?



『いい加減実技もどうにかしよーぜ相棒ー。』


「よしんば実技をどうにかするにしても俺は今座学やってるから。実技でーって学校保有のダンジョンのアタックの許可は降りないよ。他の生徒達の邪魔になるからね」


『おーそういや窓から見えるわ、ギリギリだけど』


「えぇ、お前石の中にいる癖に見えんの?」


『結構視野は広いぜ、依り代がソレってだけで相棒の体の中にちゃあんと俺の居場所はあっから』


「あぁ、俺の体が穢されていく・・・」


『実際俺が憑いてからマジで相棒の気持ち悪さは上がってるんじゃね?』


「マジで!?お、おま!そういう事はもっと早く言えよ!!通りでお前を手に入れちまったあの最悪なダンジョンアタックの後からやけに人から怖がられる様になったなと・・・!」


『いや、生来の呪い体質の所為で相性が良くて掛け算方式ぐらいになっちまってるけど元が何ともなけりゃあ別に俺のこれは表面化しないモンだぜ?そんな他の神に俺の復活がバレるわけにゃあいかんしな』


「ああ、此奴と契約の所為で一心同体になってなければさっさと俺は他の神様にチクってたのに、此奴が死ねば俺も死ぬなんて・・・」


『まぁまぁ、その話はこれまで散々してきたじゃんか』



 はぁ、とため息を吐き。ふと思い立ち今まで会話しながらプリントを解いていた手を止め窓から外を見る。


遠くの森の中や洞窟へと向かう事が出来る距離を操る学園の結界の入り口から青春真っ只中の少年少女が武器を担ぎながらダンジョンへと潜っていく。


装備は様々、今のこの時代の人間は世界による祝福により誰しもがレベルという祝福を受けている。


存在を高める事でより神秘を扱える事が出来るようになる。


その身に秘めた神秘が存在の格の高さが生物としての規格を引き上げる。


ソレが世界の祝福、ソレがレベルという世界のシステム。


その中で俺は、世界の祝福を奪い去る悪神に魅入られた。


そう、この学園に入学して早々にパーティーを組まされレベルを上げさせる為ダンジョンにぶち込まれ生来の呪い体質の所為で孤立してしまいダンジョンの奥へとモンスターに追われ見つけてしまった。


神宿る遺物(レガシー)等級にして正に最上位。ダンジョンの神秘が生み出した今は俺の首に掛かるネックレスにて異様で妖しい神秘を放ち、魂と共鳴する能力を持つ蒼い輪郭に中心には黄金と太陽の熱を織り込んだ様なその光色は見るもの全てを魅了する・・・そんな呪いの宝石と。

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