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その話、本当ですか??   作者: ホワイトデビル
7/10

続き5

翌朝3人は食事を済ませると、その日は特別に水汲み場探しと、ルークが温泉!温泉!と駄々をこねるので温泉探しをすることにした。最初にアデルが昨晩見つけた水溜まりに行ってみた。水溜まりから1メートルほど離れた場所には大小さまざまな小石の上に縦1メートル横5メートルくらいの岩が乗っており、その下の小石が少し盛り上がったところから水がちょろちょろと出ていた。水に濁りはなく飲めそうだ。昨夜は暗かったので周りの様子などはわからなかったが、今朝になって周辺を見渡すとそこは緩やかな傾斜になっており、大きめの岩があちこちに点在していた。岩のない場所からは苔のような高山植物が所々に生えていた。その下の方にはクマザサが密集して生えていた。更にそれより下の方には樹木も生えていた。アデルたちはちょろちょろと出ている水を汲むと下の方に降りて温泉を探すことにした。森の中に入るとすぐに洞窟を見つけた。


ルーク「あれ洞窟じゃね?」

アデル「ホントだ。面白そうだから入ってみようか。」

ヒデミさん・ルーク「えっ?あれに入るの?」


ヒデミさんとルークは引き気味に言った。


その洞窟の直径はおよそ3メートル弱というところだろうか。上にある大木の根とツタ植物が下の方に垂れ下がっており、入り口をふさいでいた。洞窟の周りの石の部分は苔で覆われていた。普通の人ならば、まず入るという選択はしないだろう。


アデル「洞窟温泉があるかもしれないよ~。」


アデルはそう言うとツタと根を除けて中へ入った。本音は温泉よりも洞窟の中にどんな鉱物が眠っているのか興味があっただけである。アデルに連られてルークとヒデミさんも恐る恐る洞窟の中へ入った。中は広めの空洞で、薄暗いがだいぶ奥の方まで光は届いているようだった。20メートルくらい進むと右横にもう一つ、人が立ったまま通れる空洞があった。その空洞からは勢いよく水が足元の溝を伝って流れていた。


アデル「この水も飲めそうだね。右側の方に汲みやすそうなところがあるかちょっと見てこようか。」

ヒデミさん「私も一緒に行きます。」

ルーク「じゃあ、俺こっち行ってみる。」


ルークは二人とは別の真っすぐの広い空洞のほうを選んだ。アデルは手分けするのもよさそうだと思った。


アデル「では・・二手に分かれるか。じゃあ水を汲んだらルークの方に向かうね。ルーク、水筒頂戴。?あれ、豚君は?豚君がいないよ?」


アデルはここに来て野獣豚がいないことに気が付いた。


ルーク「何、気が付かなかった?朝ご飯を食べにどこかに帰ったよ。」

アデル「へー、そうなんだ。」


そうだよね、野獣豚はペットじゃないから自由に行動するよね、とアデルは思った。

ルークとアデルとヒデミさんはここで二手に分かれた。


アデルとヒデミさんは右側の洞窟を進み、やがてその終点、行き止まりになっているところに、水が溢れ出している水の穴を発見する。そこは重なり合う岩の隙間が削られて縦60センチ、横30センチくらいの垂直三角形のようになっていた。そこから水は勢いよくドバドバと音を立てて溢れ出ていた。アデルたちの立っている場所の上の方には外に通じている隙間があるようで光が小さく差し込んでいた。


ヒデミさん「これなら水が汲みやすいですね!」

アデル「少し余分に持っていきましょうか。若者もいることですし。」


その頃、ルークは洞窟の空間がさらに広くなっているところにいた。


ルーク「うわっ!危ねっ!」


洞窟内は湿気が多いため足元を滑らせて転びそうになった。ルークが足元を見るとそこには白くてピカピカの白骨があった。


ルーク「なにこれ?」


すると薄暗い前方から小さな光が近寄ってきて


「見たな?」


と言った。

ルークが顔を上げるとそこにはランプを持った探検家っぽい人とキャメラマンが二人立っていた。

そしてその奥には何かの着ぐるみを身にまとい、顔だけ出して壁面に寄りかかり、煙草を吸いながらこちらを見る目つきの鋭い男がいた。その男からは覇気が漂っていた。


ルーク「えええ!!もしかしてリバーオーさん?」


リバーオーさん「どうやら君は知ってはならない秘密を目撃してしまったようだね。」


ルーク「秘密って何?あ、もしかして今踏んじゃったやつの事っすか?」


ルークはそう言うと、踏んでしまったピカピカの白骨の一部を拾い上げた。


ルーク「うわ、めっちゃ軽い。なにこれ?プラスチック?」


ルークがプラスチックと口にしたその瞬間、キャメラマンとリバーオーさんそして着ぐるみの男から凄まじいほどの闇圧をルークは感じた。

が、しかし


ルーク「何だ、俺ちっちゃいときこういうの全部信じてたけど、やっぱり偽物だったんだ・・。」


と、残念そうに言った。少年ルークのこの言葉はおじさんたちの、まだ微かに残るピュアなハートにズッキュゥーンと刺さった。そして、リバーオーさんは切なそうに語った。


リバーオーさん「そうだよね、それが本物ならば良かったよね・・・でも本物を追求するということは時間もお金もかかるんだよ・・君みたいな子供にはわからないだろうけどね。嘘をつこうが、汚いことに手を染めようが、我々のようなおじさん達は家族を守る(自分の居場所を守る)ために何でもやらなくっちゃならないんだ。それが、悪いことだとわかっていても、みんなの幸せを守るためにね。。。」


ルーク「それって、言い訳じゃん。」


この言葉におじさん達三人はとてもカチンときた。


キャメラマン「こぉのやろめっ!お前かわいくないやつだな!なんだよ、お前みたいな裕福家庭の坊主に何が分かるんだ。親に何でもかんでもやってもらっていながら偉そうな口叩くんじゃねえ!」


ルーク「えー・・・。」


キャメラマンのブチ切れにルークは引いてしまった。


着ぐるみの男「ところでお前年いくつだ?」


ルーク「17」


キャメラマンとリバーオーさんと着ぐるみの男「17??」


リバーオーさん「こぉぉのやろめっ!お前受験勉強はどうした?塾は?学校は?」


ルーク「学校は自宅学習になっているから、情報交換程度で数回行けばいいかな。塾は行ってないっす。」


着ぐるみの男「何だと⁈現役受験生がこんなところで何してんだ?」


ルーク「温泉探し。」


キャメラマン「おんせん・・って、はあ?勉強はどうした?」


ルーク「勉強、勉強って、人生勉強だけが全てじゃないでしょ?人生若いうちにいろいろと楽しんどかないともったいないよ!」


キャメラマン・リバーオーさん・着ぐるみの男「お前がそれを、言うか??」


着ぐるみの男「おいお前、とんっでもない金食い虫のようだな。親は泣いてるぜ。」


リバーオーさん、キャメラマン「だねえ~こいつは金食い虫だわ~。」


そのおじさんたちの言葉に今度はルークがカチンときた。


ルーク「金食い虫って、それ、子供が親に言われたら嫌な言葉のランキング上位って知らないんすか?モラハラっすよ、それ。」


この言葉にリバーオーさんもカチンときた。


リバーオーさん「何だって?最近の若いのはすぐにそれだ。ハラスメントだのコンプラ違反だのって脅しやがって!!ああ、そうですよ、おじさんたちは肩身の狭―い思いをしながらな、ちょっとくらいのことですぐに騒ぐ君らのような若者にビクビクしながら生きてんだっ!少しは理解しろ!!この、道楽金食い虫めっ!!」


そこへキャメラマンから提案があった


キャメラマン「リバーオーさん、この舐め腐ったお子さん、ヂャオスの生贄になってもらいましょうよ。」


リバーオーさん「それはいい考えだ。ここは人っ子一人通らない山奥の洞窟、どんなに声を荒げても助けは来ねえ。」


リバーオーさんはぱちんと指を鳴らして言った。


それを聞いて着ぐるみの男は鳥のお面のようなフードを被った。そしてヂャオスに変身した。


リバーオーさん「キャメラスタンバーイ!!スリー・ツゥー・ワァン・アクションっ!!」


ヂャオスがルークを目掛けて攻撃を開始した。


ルークも反撃に出る。


キャメラマンの心の中は「いいぞいいぞ!最高だ!」と熱くなった。


ヂャオスのスキのない攻撃にルークは押された。

激しい殴り合いの最中、音声に収録されないように気を遣いながら二人は小声で会話した。


ルーク「おじさんずいぶん強いっすね・・」

ヂャオス「お前も、護身術は小さいときから習ってたみたいだな。」


ヂャオスの素早い回し蹴りが入る、すかさずルークは軽い身のこなしでよけた。

ヂャオスの蹴りは洞窟の壁面の一部を砕いた。砂埃が上がった。今度はルークがヂャオスの顔面をめがけてパンチを繰り出した。


ルーク「おじさん何でこの仕事なんすか?」

ヂャオス「家族が出来て弱くなったからだよ。」


ヂャオスはルークのパンチを受け流すように除けてその腕をつかむとルークの腕の力の流れる方向に一回転し砲丸投げのようにルークを投げ飛ばした。





その頃、アデルたちは


ヒデミさん「アデルさん、この丸い石、中に水が入っているような音がします。」


水を汲み終えて鉱物探しをしていた。


アデル「持って帰りましょう、石英が入っていると思います。」


ヒデミさん「あら、アデルさん、水の穴の下の方に光る石があります。」


アデル「光る石?蛍光石かな?」


ヒデミさんはその蛍光石を拾おうとしたら壁面に刺さっているようで拾えなかった。それなので指先に力を入れて引っこ抜いた。すると


ピシッ!


アデル「・・・この音は?」


次の瞬間


ピシピシピシっ!!


水の穴に重なる岩に亀裂が入り下にズレ始めた。


アデル「ヒデミさん、荷物持ってすぐに撤退します!!」

ヒデミさん「は、はいっ!!」


二人は素早く鉱物をリュックにしまいそれを背負うと来た道へと走った。


その頃ルークはヂャオスとの激戦の最中だった。ヂャオスが宙を舞う鳥のようにルーク目掛けて飛び蹴りを仕掛けたその時だった。洞窟の横の壁がドカンと割れて大量の水が宙を舞ったヂャオスとリバーオーさん、キャメラマンの三人を更に洞窟の奥、下の方へと押し流して行った。

ルークは目が点になった。


ルーク「あれ?」


ゴォォーという凄まじい水音の上の方からルークを呼ぶ声が聞こえた。


アデルとヒデミさん「ルーク!!撤退!!戻ってきてー!!ルーク!!」


ルークはこれはヤバいのかなと思い、来た道を走って戻った。三人は合流すると急いで洞窟を出た。


一方、押し流された三人はその後、狭い穴に大量の水と共に吸い込まれて更にそのまま押し流されていき、川沿いの切り立った岸壁の下の方の穴から川へ落ちた。


が、キャメラはまだ回っていた!!


三人は斜め上の方に必至に泳ぎ浅瀬についた。そしてリバーオーさんとヂャオスのフードが外れた男は、キャメラを離さずに回し続けているキャメラマンを両側から支えて立ち上がり、川岸に上がるとキャメラマンの体勢とキャメラの位置が安定しそうな場所へ移動した。キャメラマンが「ここで。」と言うと、リバーオーさんがキャメラマンから離れ、びしょ濡れの重い体を引きずるように歩きキャメラの前に立つと、真顔で番組の最後を締めくくった!!


リバーオーさん「幻の珍獣ヂャオス!我々の冒険はまだまだ続きます!!」


そしてヂャオスのフードが外れた男が


「ハイ、カァッッート!!」


と叫んだ。

その声は水音と共に谷間に響き渡った。


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