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その話、本当ですか??   作者: ホワイトデビル
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魔人の住処の続き4



アデル「さむい・・・」

ヒデミさん「なんか背中が痛いです。」

アデル「それ、私も同じかも・・・痛たたたた。」


二人は起き上がり、岩の上から下に降りると、野営の準備に取り掛かった。


アデル「あの少年、ちゃんとお医者さんに行ったかな・・。」

ヒデミさん「いったん家に荷物を取りに帰ったようですから、本人にその気がなくてもおうちの方が気付いて連れていくと思いますよ!」


アデルもそうだよね、という感じで少年のことを心配するのはやめた。そして夕食後、二人は今いるところから1番近い岩にロープを巻いて、遭難しないように注意しつつ水の汲めそうな場所を探した。ただロープの長さは50メートルくらいなのでそう遠くまでは探せない。二人は一旦戻って岩のロープを外し、一人が火を絶やさないように焚火をし、その明かりが目視できるところでロープを使うことにした。ジャンケンでヒデミさんが焚火を、アデルが水汲み場の捜索をすることになった。アデルは持ってきたローソクに火をと灯し、それで足元を照らしながら進んだ。30メートルくらいのところで足元がジャブっと言った。ローソクで足元を照らすと小さな水たまりがあった。湧き水でできた水たまりだろうか?手で触ると水はとにかく冷たい。ローソクが暗いのではっきりとは見えないが直径1メートルくらいだろうが。アデルは水源を探した。ロウソクで少し先を照らすと30センチくらいの、小さく石が盛り上がったところから水がにじみ出ているようだった。これは明日、日が昇ってから確認したほうがよさそうだと思い、延ばしてきたロープを撒きながら野営の場所へ戻った。


ヒデミさん「お水を汲めそうなところ、ありましたか?」

アデル「水たまりがありましたが暗くてよく見えないので明日、日が昇ってからまた確かめようと思います。」


アデルが腰を下ろそうとしたとき暗がりの中から


少年「いたいた!」


脇に片手で野獣豚の子供を抱え、背中に荷物を背負って野獣豚の親にまたがった少年が現れた。


ヒデミさん「ひいっ!」

アデル「うそ!」


少年は野獣豚からおりると荷物の袋から干した果物を取り出して野獣豚の親子にあげた。


少年「豚さんほんと、ありがとな!これ食ったら山に帰って良いからな。」

アデル「ちょっと少年、来るの早すぎじゃない?ちゃんとおうちに帰ったの?っていうか、その野獣豚、どうしたの?」

少年「ああ、荷物取りに帰る途中密猟している連中から助けた。」

ヒデミさん「まさか・・助けたお礼に乗せてくれたとか?」

少年「・・じゃないかな?律儀な奴だ。」


アデルはまた学生時代のことを思い出した。


野獣豚研究学生「で、ほかにも野獣豚がすごいのは、野獣豚って知能がものすごく高くていろいろな生き物の言葉を理解するのね、人間は自分たちの話す言葉しか理解できないけれど。それに身内意識がすごく高くて仲間だと思ったら攻撃もしてこないし、助けてあげたら犬みたいにその恩を一生忘れない。自分の仲間を守るためなら命も惜しまない。軽率な人間とは大違い。」


アデル「野獣豚を研究している人もそれらしきを昔語っていましたよ。」

少年「それよりお姉さんたち温泉見つけた?」

アデルとヒデミさん『まだ。』

アデル「明日、夜が明けてからまた探しに行きましょう。ところで少年、食事はお済みか?」

少年「まだだけど、俺いいものもってきた。ちょっと待ってね~」


少年は袋の中からワインとチーズを取り出した。


少年「これ!お姉さんたちへのお土産!」


やだなに?この少年、すごく気が利いてるわ!高そうなワインとスモークチーズ?とアデルは思った。


ヒデミさん「あら、気が利くわね。」


ヒデミさんがフツーな感じで言った。ここからまた少年を含めた飲み会が始まった。


少年「俺、女の人の好みとかわからないから、とりあえずお袋が好きなワイン持ってきたんだ。」

ヒデミさん「あら、ロ〇ネ〇ン〇ィじゃない。うちの母も好きでたまに飲んでいるわ。でもグラスとか持ってないわよね?」


!なんだと!!一体何の話をしているのだ?ろろろろロ〇ネ〇ン〇ィだと?そんなん普通の人は飲めない代物じゃあないか!入手困難通り越しているぞ!まったくもって飲まねば損だ!アデルの心の声がまた叫んだ。


少年「花瓶みたいなやつは持ってきた。」

ヒデミさん「デキャンタのこと?」

少年「これ。」

ヒデミさん「あら、やっぱりデキャンタじゃない。ところでソムリエナイフある?」

少年「普通のナイフならあるよ。」

ヒデミさん「どうやって栓を抜くの?」

少年「栓?あーーそうか。切っちゃえばいいさ。」


次の瞬間、少年はコルクの下のガラス部分をナイフを使って一瞬で切った。

スパっと。


男性(少年)「よし。」

アデルとヒデミさん「ええっ?うそ!」

少年「開けたよ!はい!」


綺麗に瓶の口は切れていた。


ヒデミさんは少年からワインとデキャンタを受け取るとデキャンタをアデルに渡した。


ヒデミさん「アデルさん、お先にどうぞ!」


そういうとヒデミさんはアデルの持つデキャンタにワインを少し注いだ。


アデル「では、お気遣いに感謝して、お先に頂きます!」


アデルはデキャンタのワインから香りが揮発するようにフラスコを振るのと同じ要領で振った。そして香りを確かめてから一口、口に含んだ瞬間、これはいつも飲んでいるワインとは次元の違うものだと確信した。変な酸っぱさも渋さもアルコールっぽさもない。甘い。そして味が濃いというか深い。でも軽さもあって香りも上品だ。


「んんん??!」


安い酒しか飲んだことのないアデルには、これは本当に葡萄のワインですか?と聞きたいくらい表現が難しい。


ヒデミさん「そういえば、アデルさんはどんなワインがお好きなんですか?」

アデル「いやー、私、特にワイン通とかでもなくてワインについてこれが好き、とか何か語れることは何もないのですが、これを生まれて初めて飲んでみて、今まで飲んだ中では段違いに飲みやすくておいしいと思いました。特にこの品の良い香りは比べられるものがないくらいです。あ、質問の答えになっていなくてすみません、ヒデミさんもどうぞ。」


アデルはヒデミさんにデキャンタを回して、お酒を注いだ。


アデル「ところで少年、何か作ろうか?ってか少年って呼ぶのも変かな?何て呼んでほしい?」

少年「ルーク。」


この瞬間から少年はルークになった。


アデル「了解。ではルーク、お粥とラーメンだったらどっちを食べたい?」

ルーク「ラーメン。ところでラーメンってなに?」

アデル「ラーメン、食べたことない?じゃあ、食べてみようか。」


アデルは鍋を取り出してラーメンを作った。


アデル「ほらルーク、できたよ。これがラーメン。」


ルークは茶碗に入ったチヂレ麵を箸でつんつんし、匂いをかいだ。箸の持ち方が変だった。


アデル「もしかしてお箸使ったことないのかな?」

ルーク「これどうやって食べたらいい?」

アデル「お箸は辞めてフォークにしましょう。フォークで麺を持ち上げて、熱いときは息をふーふーって吹いて冷ましてから口に入れる。」


ルークは言われたとおりにやってみた。すると、


ルーク「うまい!俺これ初めて食べたけどすごくうまい!!」


アデルは、そうだろう、そうだろう、山の中の冷えた空気のもとで食べるインスタントラーメンはさぞおいしかろう、なぜならこのラーメンには仕上げに私の秘伝の香味オイルを入れているからね、と、ルークの食べっぷりを満足げに眺めた。


アデル「で、ルークは何で魔人に会いたいの?」

ルーク「ああ、それ。特に魔人に会いたいってわけでもなくて、実は俺の兄貴が魔人ハンターになるって1か月くらい前に役場の試験受けたんだけど結果を受け取る前に山へ行ったきり戻って来なくて。で、探しに来ただけ。」

ヒデミさん「1か月くらい前だったら私たちも受けたわ。」

アデル「ひょっとしてお兄さんの髪の毛は金髪?」

ルーク「あれ、兄貴のこと知ってるの?もしかして一緒に受けた?」

アデル「たぶん・・・。」

ルーク「あれ・・でも兄貴受けたときにいたのは、幽霊みたいな女と痩せてヒョロヒョロした男だって言ってたけどな・・・?」

ヒデミさん「っ!!ゆ、幽霊ですって?」

アデル「何!!ヒョロヒョロの男だと?」

ルーク「・・あれ、お姉さんたちどうしたの?え、違うかもしれないよ。なんかすごーく怖くなってる。」


アデルとヒデミさんからものすごい闇圧(得体のしれない禍々しい圧力とお考え下さい)を感じたルークは話を戻した。


ルーク「で、兄貴がいなくなったので親父がこのまま兄貴が戻らないなら俺に家業を継がせるみたいになってきちゃって、でも俺締め付けとか縛りが厳しい家業が嫌いなんだよね。で、何が何でも兄貴に戻ってきてもらいたいわけなんだ。」

アデル「そうだったの。でもお父さんがワンマン経営で社員に対しての規則とかノルマとかが厳しいようならばルークがそれを変えればいいんじゃない?」


アデルは締め付けと縛りの意味が違うことに気付いてはいなかった。締め付けは拷問を意味し、縛りは組織から逃げようとしたものへの制裁であるということを。


ヒデミさん「嫌ならこのまま逃げちゃえば?」

ルーク「逃げたら親父に殺されちゃう。」

アデル「それはないな。ルークは親御さんからすごく大切にしてもらっている感じがする。」


いいや、それはどうだろう。裏切りは肉親であっても許されないのだ。


ルーク「そうかな。」

アデル「そうだよ。じゃないとこんなにたくさん高価なものを子に持たせたりしないでしょ。さて明日も早起きして温泉と飲み水探しをして、魔人の住処を目指すのだからこの辺でお開きにしましょう。私たち石の上で寝るけど、ルークは下でいい?」

ルーク「いいよ。」

アデル「んじゃおやすみ。」


同じころ、5人の武装男たちはルークの伝言を伝えに親父さん(ボス)のもとを訪れていた。


親父さん(ボス)「何?女医と温泉ソムリエの女と山でキャンプだと?ルークのやつ女遊びとは暢気なもんだな。」

武装男A「山の中で偶然出会ったみたいです。一緒に魔人のところへ行くと。」

親父さん(ボス)「連れ戻せ。」

武装男A「わかりました。」





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