ルーレット21
雀を捕まえることに失敗してしまった。
ああ、もう俺はだめなのかもしれない。死んだほうがいいのかもしれない。
そんなこと思うことはよくないんだろうけど。
「すずめー! 俺のすずめー!」
もう無理だ。俺は生きていけない。
スズメがいないことで、俺の心は完全に壊れてしまう。
「そうだ。もう終わりにしよう。俺はこの草原に墓を建てるそこで眠りにつくんだ」
俺は仕方がないので墓を作った。
土を頑張って寄せてきて、もっこりとさせたのだ。
あれ、頑張ったのはいいが、俺はどうやって入るんだ? まぁいいか。中に入らなくても上で寝れば一緒だろ。
俺は仕方なく墓の上で寝そべった。
このまま何も食べなければ衰弱死できるはず。
俺はもう何も考えない、考えないぞー……。
シュン。
瞬間、俺はただならぬ浮遊感を覚えた。
気づけば上空から地面に落下していっていた。
「う、うそーん! これって、これってもしや久しぶりに発動しちまったのか!?」
そういや完全に忘れてたぜ。まぁいいやこれはこれで空の旅を楽しめるってもんだよな。気持ちー! あーでもしぬー! これは駄目だ死にますー! でも死にたいからいいもーん。どうせ人間いつか死ぬんだ。これくらいがちょうどいいもーん。
俺は覚悟を決めた。
死ぬのかもしれないが、それもまた一興。
だが俺は死ぬことはなかった。
落下した先の地面で、ボヨーンとなにかにあたって勢いが吸収されたのだ。
はぁ!? なんだなんだ!
下を見てみれば、そこにはトランポリンのようなものがあった。
なんでこんなものがこんな所に? それにトランポリンなんてこの世界にもあるんだ。知らなかったなー。
「だ、誰!?」
「急に空から降ってきましたぞ!」
下から声が聞こえる。
どうやら俺以外にトランポリンを利用している人がいたようだ。いや、トランポリンからは外れた場所にいやがるな。なにしてんだこんなところで。意味がわからないよ。それにちょこっと周囲に見える建物もなんか白くておしゃれで、なんか空の青と白とのグラデーションがすごく綺麗だな!
「ともかくスーパーチャクチ!」
俺はトランポリンの外に着地した。
綺麗になん回転もしてな。
「だ、誰ですか!?」
すると俺の方に誰かが駆け寄ってきた。
その人物はまだ年若い少女だった。
なんだろう。なんか巫女っぽい服も着てるし、なんか似合ってないこともないかもな。でも似合ってるなんて素直にいうのも嫌だから、絶対に言わないけどな。
それが俺のポリシーってやつなのだ。
「誰かって。そんなの男に決まってるよ。ていうかなんだお前。お前こそなのりやがれよ」
「わ、私はこの神殿を管理するものです! あなたはどこから来たんですか? まさかジュアヌ様に危害を加えようとそういうことなのですか!?」
「誰だよジュアヌってけむにまこうってそうはいかねぇぞ」
「ここにいらっしゃるではありませんか!」
そういって少女はトランポリンの方を指さした。
なんだ、もしかしてトランポリンのことをジュアヌ様とか読んでんのか。ガチで頭おかしいタイプの人間じゃん。うわーもう絶対関わらないとこ。こんなのと関わったところでキチガイが移るだけだし、そんなの俺にとって一切のメリットがないわけだからな。もう絶対に話さないぞ!
「…………」
「なんで急に真顔になってるんですか!? どうかしたんですか?」
「…………」
「意味わかりませんって!」
「…………」
「ちょっと、何をどうしようというのですか? 早くこたえてください! 場合によっては武力を行使することも考えています!」
「…………」
「あの、ふざけてると本当にやりますよ? やっちゃいますからね!」
「…………」
「何がしたいんですかもう!」
その後も少女はなにやらぺちゃくちゃぺちゃくちゃ言っていたが、俺がひたすら無言を貫いていると、俺の体をつついたり、引っ張ったりしてきた。俺は喋らないと決めただけなので、そういった行為にはやめてみたいな感じで対処した。何で俺さまに触れると思ったやがるんだ。そんなこと許されていいわけないだろう。俺にサワれるのは俺だけだ。
まぁそんな感じで無言で耐えること六時間少々。少女以外にもいろんな人が俺に話しかけてきたが、その全てを無視していると、やがて誰も話しかけてこなくなった。
それどころか日も沈んできているということで、みんな帰っていった。ただ見張りの人はいるみたいで、この場に留まり俺に仕切りに帰るように言ってきた。まぁ当然無視したがな。
すると埒が明かないと思ったのか、もう何も言うことなくただ見張りについていた。
はぁ、やばいな。こっからどうしようかな。このままここにいるのもガチでしょうもないしな。こんなところで油を売っている場合じゃないんだよな。もう早くエクササイズしないといけない気分になってるんだよな。昔のビデオテープに録画したエクササイズをテレビの中のおばさんに合わせてしないといけないんだけど、でもそのビデオテープが無いとできないんだよな。ああもういいやこのままここで耐えてやろう!
そう思うやいなや、景色が一瞬にしてかき消えた。目の前にはデカい塔が建っていて、それ以外は何もない殺風景なようでそうでないだった。
「うわーん! 嘘だよ、こんなのってないよーん! ぶへーん!」




