ルーレット12
砂漠に転移した俺だったが、突如遠くから一人の少女がダッシュしてきた。
なんだ、一体何なんだ。
てかそもそもここはどこ? どういう状況なわけ?
「助けてくれなりー! 今にも死にそうなりー!」
少女はアフロだった。
そんな奴が、何者かに追われている。
「おいおい何やってんだよ、ていうかこっちくるなよ!」
俺はアフロの少女に並んで走りだした。
完全に巻き込まれてしまった。
「おい何なんだよ巻き込むなよ! 俺はまだ何にも分かってないんだよ!」
「すまないなりー! でもたまたまそこにいたのが悪いなりー!」
「ふざけんな! アホだろ! もうどっかいけよ! ていうかこれなにがおってきてんだよ!」
俺は叫んだ。
現在魔法の杖もないし、戦う術を俺は持ってないんだよ。
本当にどうしたんだよ。可愛いよ、どうしたものなのかね。
「なりー! 追ってきてるのはストームドラゴンですなりー! 追いつかれたら間違いなくやられてしまうなりー!」
「うそだろドラゴンかよ、もう無理だ!」
ストームドラゴン! やばい! 絶対つよいじゃん!
本当にやばすぎる! もう絶対怖い怖い! もう死ぬかもしれない!
「ていうかお前だれだ!? もうどっか言ってくれよ、なんなんだよそのしゃべり方は!?」
「我はやばいなりー! もうえぐいなりー! 死ぬならせめてお前もろともぼこされるなりー!」
「なんでだよ性格悪すぎるだろ! ていうかストームキングってどんな奴だよ」
「ストームキングは全ての砂を飲み込む最強のドラゴンなり。やばいなり、絶対殺されるなり」
全ての砂を飲み込むってヤバいな。
俺絶対殺されるかもしれない。
どうしよう、俺このままじゃヤバいな。
すごいな、どうしよう、俺こんなところで死ぬの?
正直絶望的じゃない!? とっても半端ないえぐさが待っているに決まってる!
どうしよう、何かいい手がないだろうか、何かこの状況を打開できるいい手が……
「そ、そうだ!」
俺はその瞬間、いい手を思いついてしまった。
そして思いついたからにはやるしかないだろう。
俺は覚悟を決めた。
「どりゃああ!」
俺はとなりを走っていた少女に足を引っかけて転けさせた。
少女は当然のようにすっころび、足を押さえてもがきだした。
実は足を引っかけさせる際に、ただ引っかけるだけではなく、思いっきり蹴り飛ばしたのだ。
もしかしたら少女がすごい身体能力の持ち主で、俺の蹴りが通用しない可能性もあったが、そこは大丈夫だった。少女は女そのもののもろさで、俺の蹴りでしっかり足を負傷したらしい。
思いっきりいったからな、そりゃ絶対痛いだろ。ひょっとしたら骨が折れてるかもしれないな。
「ひ、ひどいなり――」
そして少女は後ろから砂埃をあげおってきているストームドラゴンに飲み込まれた。
それと同時にストームドラゴンの足が止まる。
よし、これで時間をかせげるだろう。今のうちになんとか逃げ出すんだ!
俺は彼女がおとりになっているウチに本気ダッシュでその場から逃げ去った。
少女は間違いなく死んでしまっただろうが、仕方ない。俺が助かるためだ。
なぜ間違いなく死んだといえるかというと、後ろを振り向いたときに赤い血が飛び散っている瞬間を目撃してしまったからだ。もうこれは絶対終わっただろ。まぁ知らない人だから別にいいけどさ。
「はぁはぁ、酷い目にあったな」
俺はドラゴンをかなり引きはがしたところで、ようやく足を止めた。
半端ない、めちゃくちゃ疲れたんですけど。
俺はちょうど目の前にあったオアシスに向かう。
水に口をつけると、普通においしかった。ふぁ、生き返るな。
オアシスは最高だ。かなり景色もいいし、もうここにすんじゃおうかな。
「あれ? 住もうかと思ったら、目の前に住宅街があるぞ?」
おそらく人間のすまいなのだろう。
俺の目の前にはいくつかの家が建っていた。
コロンビアあたりに建っていそうな感じがするな、よく分からないけど、ちょっとどうかしてるな。
「仕方ない、休ませてもらおうか」
そう思った俺は、普通に休ませてもらうことにした。
「たのもぅ! 誰かいませんかー!?」
俺は元気よく住まいに向かって挨拶した。
誰かが気付いてくれるんじゃないかと思ったからだ。
しかしなかなか返事がない。
なんでだ? 誰もいないのか? そんなわけないしな、ていうかこんなところに住まいがあるとか、さっきのストームドラゴンとかの行動領域と絶対かぶってるよね? あいつが襲ってきたらどうするつもりなの? 絶対襲われることもあるでしょ、考えられる可能性としては一つ、ここの村人達がめちゃくちゃ強いということだ。そんなに強いというのならつぶし甲斐があるのかもしれないが、今の俺は非力同然だからな。今じゃちょっと無理だな。別に勝負に勝ちたいとかじゃなくて、純粋につぶしたい。
俺がそんなことを考えていると、
――ひゅん!
俺の目の前に一本の矢が突き刺さった。
え? どこから飛んできたこれ?
「お主、何者じゃ?」
すると周囲を囲むようにして村人達がぞろぞろと集まってきた。
その手に弓をもっている人もいる。
おそらくあの人が撃ってきたのだろう。
威嚇のつもりだろうが、攻撃してくるとはけしからんやつだな。失礼にもほどがあるだろ。
「いや、そのすみません!」
俺は全力でどげざした。こうするより他はなかった。




