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第五話 美月(友達)との会話

私立海皇高校。

県内有数の進学校。

全国トップの大学にも毎年数人が進学する実績を持つ。

勉学だけでなく、スポーツにも力を入れている、文武両道を重んじる高校だ。

九割以上の学生が部活動に所属しているが、悠希は部活に所属していない。

理由は二つだけ。

めんどくさいことと、土日に部活動の予定が入ろうものなら、本を読む時間が無くなる。

それだけの理由で悠希は部活動に所属していなかった。

別に運動が苦手なわけじゃない。

……得意なわけでもないが。

悠希としてはそこまで、コミュニティを重視しているわけでもないので、部活に入らなかったことに後悔はしていない。

部活に入らなかったせいか、入学後他人に話しかけに行かなかったせいか、友人と呼べる存在は入学後半月が経とうとしているのに、二人しかいないが。

部活に入っていなくても、複数人の友人を作っている人はいるので、理由は後者にあるのだろう。


教室の後ろから入って一番奥の窓側の席、そこが悠希の席だ。

最近、読んだ小説には主人公席なんて書いてあった場所だ。

確かに主人公席というだけあって、この席に座ってから教師に一度も当てられていない。

何より、教室から見下ろせる雑多な建物群を見るのが最近の悠希のお気に入りだった。

窓際にいるおかげで外から吹き込む風を一身に受けることができるのも評価が高い。


バッグを机にかけて、椅子に腰を下ろす。

伏見とは先程、別れた。

クラスが違うためだ。

自称進学校だけあって、海皇高校は一年生の間からクラスが大きく二つに分かれる。

進学クラスと普通クラスだ。

因みに悠希は進学クラスだ。

別に悠希は受験に対して真剣に取り組むタイプではない。

高校三年生になって勉強を始めて、適当に受かりそうな大学に行けばいいかと本気で思っている。

そんな悠希が進学クラスに入った理由は進学クラスは部活動に入らなくてもいいというルールがこの学校にあるからだ。

進学クラスに入ると、定期的に補習が行われるのだが、それでも部活動に入って時間を無駄にするより全然まし。

そういう理由で悠希は進学クラスを選択していた。


特に話す相手もいないだろうと少し仮眠を取ろうとしたところで、正面から声がかかる。

「悠希、諒真とまた、喧嘩しちゃったよ~」

そう言って、一人の少女が話しかけてくる。このクラスでは珍しい金髪。

身長は約150㎝と小柄。

女性らしい体の凹凸……皆無。

名前は雪平美月。

海皇高校一年生。バスケ部所属。

彼氏は悠希が先程まで話していた相手、伏見諒真だ。

美月が悠希の机に手をついて身を乗り出してくる。

普通の女子生徒であれば、強調されるはずの部位は断崖絶壁。

実は男なのではと思いながら、悠希はめんどくさそうに顔を上げる。

「その話はもう伏見から聞いた」

「諒真なんて言ってた?もしかして怒ってた?」

「知らん、そんなの自分で聞いてくれ」

「むー、悠希冷たいよ」

そう言って口を膨らます美月の姿は小動物みたいでクラスの女子連中に可愛がられているのも理解できた。

しばらく、美月を無視していると担任が教室に入ってきたところで、恨めしそうな顔をして美月は自分の席に戻っていった。


「お前ら席につけ」

涼やかな声が教室に響く。

声を上げたのは黒髪を腰まで伸ばした女性だ。

名前は佐伯(さえき)玲奈(れいな)。年齢は三十二歳。

本人は年齢のことを気にしているので禁句だが。

黒を基調としたスーツに身を包み、脚には黒いストッキング。

赤い眼鏡をかけているが、本人によると伊達メガネらしい。

容姿は整っているが、彼氏はいない。

当然、結婚どころかお付き合いの経験も一度もないらしい。

嫌いな言葉は青春、好きなものは酒と煙草。

本人が言っていたのでまず、間違いないだろう。

青春を嫌いなら高校の教師なんかするなと思ったが、本人も生きるために仕方なく、親のこねでこの職に就いたらしい。

大学を卒業直後、働かずに実家に入り浸って酒を飲む生活を続けていたら、痺れを切らした両親からこの職場に強制的に送り込まれた、と笑いながら生徒に語っていた。

生徒は一人も笑っていなかったが。


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