表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

闇夜の銃撃

 快晴ながら、この晩は新月であり、町の中は闇夜に包まれていた。

「人間、闇の中じゃあ満足な仕事はできない。灯りを必要とする」

 説明しかけたジェフを、ハワードがさえぎる。

「分かってる。その灯りを頼りに南軍を探せと言いたいんだろ?」

「うむ、その通りだ」

「いつも思うが、君はやたら冗長的に、かつ、勿体ぶって説明するきらいがある。流石は元イギリス人だ」

 皮肉を挟むジョナサンに、リロイが突っ込む。

「君だってそうだろ? 似た者同士だよ」

「そうは思わんね」

 じゃれあっていたところで、アーサーがそれを止めに入る。

「作戦行動中だ。無駄なおしゃべりはそこまでにしたまえ」

「はいはーい」

 と、程無く川岸に、人だかりができているのを発見する。

「……方向……右へ……」

「……調整……急げ……」

 わずかに聞こえてくる話し声から、一行は南軍であることを確信する。

(頼んだ)

 ジェフがトン、トンとアーサーの肩を叩き、狙撃を促す。アーサーは返事をする代わりに、肩に提げていたシャープス銃を手に取る。

 一瞬の間を置き、アーサーは引き金を絞った。




 銃声を聞きつけ、北軍基地は大騒ぎになっていた。

「確認したところ、基地内で発砲した者はおりませんでした!」

「では間違い無く、外からの銃撃と言うことだな!?」

「はい」

 下士官からの報告を受け、基地司令はガタン、と椅子を蹴飛ばして立ち上がる。

「今すぐ周辺警戒に当たれ! 敵が攻めて……」

 と、その瞬間――どごん、と大きな炸裂音が、司令室に届いた。

「……っ、な、ん?」

 怒鳴りかけていた司令も、かしこまっていた下士官も、揃って窓の外を確認する。

「対岸に……」

「……火柱?」

 何が起こっているのか分からず、司令も下士官も、顔を見合わせるばかりだった。




 アーサーが放った弾は寸分違わず、M1857の側に置いてあった火薬樽を撃ち抜いていた。

 そしてキャリバー弾が樽の中で起こした摩擦は、黒色火薬を発火・爆発させるに十分な熱量を発生させ――当然の結果として、樽を中心として大きな火柱が上がり、そこに固まっていた南軍兵士たちは瞬時に、木っ端微塵に吹き飛ばされた。

「やった!」

 まだ川岸に残る炎が、ハワードの上気した顔を赤く照らす。

「油断するな」

 アーサーがシャープス銃を肩に掛けつつ、ハワードの肩を叩く。

「まだ敵が残っているかも知れん。うかつに動くな」

「うむ、Aの言う通りだ。それに、補給線の回復は南軍にとって死活問題だ。これで諦めるとは考えにくい。

 次の行動に備え、我々も一度態勢を整え直そう」

「了解」

 まだ燃えている川岸を背に、5人はその場から立ち去ろうとした。


 その時だった。

 わずかな破裂音が彼らの背後で鳴り、そして彼らの真ん中から、どさっと重たげな音が響いた。

「なんだ?」

 ジェフは辺りを見回すが、闇夜の中のため、状況がつかめない。一行の無事を確かめるため、彼は小声で呼びかけた。

「L?」「い、いるよ」

「A、無事か?」「問題無い」

「Sは?」「ここだ」

「H? 大丈夫か?」

 リロイ、アーサー、ジョナサンからはすぐに返事が返って来たが、ハワードの声が聞こえて来ない。

「H? ハワード? どこだ?」

 何度も声を掛けるが、ハワードは答えない。流石のジェフもうろたえ、一歩、二歩と脚が勝手に動く。

 そして――ジェフの爪先に、何か柔らかく、そして重たいものが当たった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ