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敗北
「──《フィスト》」
そう言い放ったキャルドン。巨大な鉛の腕が現れ、それは人一人分を呑み込もうというぐらいの大きさだった。
(──なんだ、こんなもの)
ダーシーはひょいとよけた。
しかし。
鉛の腕が地面にぶつかると同時に、そこから衝撃波のようなものが現れ、あろうことか、ダーシーとベネットは、衝撃で腰を浮かせ、そのまま空中で静止した。
「なっ……!?」
そして地面についた拳は、刃をむき出しにして、その刃がぐるぐる回転し、よこにスライドしてダーシーのわき腹を刃で抉った。
「があああああああっ!!」
「ダーシー!」
ふたりは身動きが取れるようになったが、ダーシーの身体からは大量に出血した。
キャルドンは勝ち誇った笑みなど浮かべず、ただゴミを見る目のまま、ダーシーの近くまで寄り、その頭を踏みつけ、
「わかったかねこわっぱども。ベネット、貴様が私と相まみえても同じことだろう。諦めて死ね」
そしてキャルドンは腕を引き、また腕を鉛に変えた──。
『ダーシー、ダーシー!!』
聞き慣れた女性の声がした。
ダーシーはうっすら目を開けた。
病院のベッドの脇。
ダーシーにしがみついて目を真赤にして泣いているコリンズ女史の姿が、あった。




