表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベネット遠征伝~女を汚す奴は、許さねぇ!~  作者: 神羅神楽
第十章 ローズ~天使の矜持~
35/42

ダーシー、天界へ

久々の投稿になってしまい申し訳ございません。

今回の登場人物名の出典は映画「タイタニック」です。

 ダーシーの自宅は、高層マンションの最上階の12階である。

 独身の彼は、いつも仕事終わりのビールを風呂上がりに飲み、新聞を読むのが日課。

 シャツ一枚で、細身の身体をしている彼は、ソファに腰かけてくつろいでいた。


「ジョーカーズの幹部の数も減ったな……イライザを含めればあと3人か……」


 ビール缶を傾け、新聞を広げるダーシー。


「いつか俺の仕事も終わりがくるだろう。そしたら次は何の事業を始めようかねぇ……」


 新聞を読み終えた彼は、遠い目をしてそんなことを考える。


 そのときだった。


「ダーシー」


 どこからともなく聞こえた声。


「……誰だ!?」


 一瞬幻聴かと思った。

 声は部屋に響き渡り、静かにフェードアウトしていく。

 ダーシーは眉間に手を当て、疲れてるのか? と自問した。

 が。


「私たちの同士、ダーシーよ」


 また聞こえた。

 ダーシーは視線を上げた。

 すると、彼はまばゆい光に目をやられた。


「!?」


 少しずつ目蓋を開けると、ただそこには発光体しかなかった。


「ダーシー、あなたを天界に召集します」


 光はいっそう強くなり、ついには光は部屋全体を見たし、ダーシーの視界はホワイトアウトした。



……………………



 目を覚ますと、宙に浮いている大理石の円盤の上に自分がいることが分かった。彼はしりもちをついていた。

 下は塔がいくつもそびえていて、青空が広がっていた。


「やっと来ましたかダーシー」


 身長190センチはあるような、白い帽子を被った修道着のような服を着た男性らしき人物が、しりもちをついているダーシーを見下ろしていた。彼の背には羽根が生えていた。


「あなたは……?」

「ずいぶん俗世に染まってしまったようですね」


 ふふん、とその人物は鼻で笑い、


「私は熾天使キャルドン。神を補佐する者です」

「は、はあ……」

「ダーシー、いや、大天使シミラ。あなたはイヴを保護する活動をしていらっしゃるようですね。許されざることです」


 許されざること? と聞いて、ダーシーは少し身構えた。


「神の御導きでは、もうユークリッド大陸に人間は必要ないのですよ。イヴが凌辱され、アダムは台頭する。しかしオリジン・イヴがアダムの罪を罰するべく、全てのイヴを殺す。そして子孫を残せないアダムは死する」

「はぁ? そんな恐ろしいことが許されるとでも……」

「こちらにいらっしゃい」


 キャルドンはふわりと宙に浮いて、円盤と円盤とを掛け渡す橋を渡っていった。ダーシーもついていった。

 しばらく歩くと、十字架が見えた。


「あそこに罪人のイヴが架けられています。先日捕え、拷問しました」

「ご、拷問!? 天使がそんなことしていいのですか!?」


 十字架には美しいイヴが、全身をズタズタにされて架けられていた。


「彼女が誰かわかりますか?」

「は?」


 ダーシーはキャルドンを睨み付ける。

 しかしキャルドンはお構いなしに続ける。


「彼女はイヴでありながら自分の身を守るべく、ジョーカーズに入った罪人です。サタンに魂を売ったのですよ。名はローズと言います」

「ローズ……」


 ローズは、蒼い顔をして、十字架に釘付けにされていた。


「さてシミラ。あなたを試みましょう。彼女をどうしますか? 殺しますか? 助けますか?」


 ダーシーは固唾を飲み。


「……助けるに決まってんだろクソが」


 キャルドンは不敵な笑みを浮かべ。


「よろしい。では天界に刃向った罪であなたも処刑いたしましょう。ただ、恩赦として、一人だけ戦士を天界に連れてきて構いません。そしてあがいてみなさい。私を倒してみなさい」


 ダーシーは、目をぎらつかせ、


「いいだろう、クソ天使が」


 と吐き捨てた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ