表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベネット遠征伝~女を汚す奴は、許さねぇ!~  作者: 神羅神楽
第九章 小夜~イジワール紳士とオリジン・イヴの剣~
30/42

喋る絵

もうベネットも今月で終わるだろうなぁ……。

木林じいさんは、桃介たちを迎え入れた。

桃介たちは、靴を揃えて玄関を上がった。

木林じいさんの家は、かなり広い木造建築だった。

桃介たちは縁側を通って、書斎まで通された。

縁側の脇では、池でこいが泳いでいた。


「これなんじゃがの」


 老年80、老人ホームに妻を預けたつるっぱげの木林じいさんは、得意満面にある絵を見せた。


「なんだこれ、ただの絵じゃねぇか」


 桃介がそう毒づく。

 そこには一人の美しい女性が描かれていた。蒼い艶のある髪で、目がぱっちりしていて、美人だ。


「ところがどっこい、おい、オリジン・イヴちゃん」


 木林じいさんが突然誰かわからない人物に話しかけると、


「ちゃんづけはやめなさい、キバヤシ」


 なんと、絵が喋ったのだ。


「「ええええええ!?」」


 桃介と小夜は驚いた。


「これな、海外旅行していたときにオークションで落としたんじゃよ。初めは何もしゃべらないただの絵だとずっと思ってたんじゃが、家に持ち帰って一人で酒を飲みながら眺めていたとき、話しかけてきたんじゃ。まぁ、家内がおらんからの、わしは。寂しさがまぎれるんじゃ」


 木林じいさんは額縁をやさしく撫でた。


「あの……オリジン・イヴさん、おっぱいは何カップですか? うぐっ」


 スケベな桃介が尋ねると、小夜がエルボーを喰らわせる。


「本当に、不思議だよねぇ。ねぇじいさん、彼女とはどんな話をしたの?」


 竜一が尋ねる。 


「誘われたんじゃ。何度も、ユークリッド大陸という所に来ないか、と」

「ユークリッド大陸?」




「見ぃつけた」


 突然縁側の方から声がした。


「誰じゃ!?」


 木林じいさんが声を張り上げる。

 すると書斎の戸が開いて、


「世紀の大怪盗、イジワール紳士様の御出ましだ」


 サングラスをかけた、蝶ネクタイの目立つ、黒いシルクハットを被ったタキシード姿の長身男、イジワール紳士が立っていた。


「あんた……誰よ!?」

「だからイジワール紳士様だって言ってるじゃないか。その絵を頂戴にきた」


 すると木林じいさんは顔を顰めて、


「やらん! 絶対にやらん! これはわしの大事な友達なんじゃ!」

「はぁ……? 呆けてんのかじいさん」

「呆けてねぇよ! じいさんはこの絵が喋るって言うんだ!」

「こら、桃介……!」


 小夜がたしなめる。


「ほう、ますます欲しくなったねぇ。ではいただくとしよう。どこからでもワイヤー!」


 イジワール紳士は指先からワイヤーを飛ばし、その絵を絡めとって、ワイヤーを収縮させて奪い取った。


「こいつはいただくぜ」

「待て! イジワール!」


 野太い声がまた外から聞こえた。


 今度は大柄なコートを着た中年の外国人男性が現れた。

 

「お前ら、人の家出は靴を脱げと教わらんかったのか?」

「す、すまない。ニホンの風習ではそうでしたな。私はICPOのボルボと申します。私が来たからにはもう安心、今すぐイジワールを確保いたします!」

「ICPOってなんだ竜一?」

「まぁざっくり言えば、国際警察だよ」


 すると、絵が突然強く発光した。


「──モモスケ、リュウイチ、サヨ、そしてイジワール。私の聖剣が狙われています……助けてください……」


「……絵が喋った!?」


 イジワールは動転した。

 そして絵はぴかりと光り、みんな目を瞑った。


 残されたのは、木林じいさんとボルボ警部。

「あれ……?」

 しりもちをついているボルボ警部。

「……とりあえず、お茶でもいただきませぬか?」

「……は、はい、お構いなく」


 絵はもう、喋ることはなかった──。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ