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ベネット遠征伝~女を汚す奴は、許さねぇ!~  作者: 神羅神楽
第七章 ロッテ~ベネットの脱獄作戦~
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叛逆のベネット

ベネットで貴重な感想・意見をいただきました。厳しい意見でメンタルに結構きましたが、たまにはこういう意見をもらえると励みになります。ありがとうございました。

 そこは白いタイルで敷き詰められた部屋で、拘束具のついた椅子が中央にぽつりと置いてあった。大きな窓があり、その向こうには椅子が並んでいる。

 一目でわかった。ここは処刑場なのだ。

「ジャーリジャリジャリジャリ! いい度胸だ! 鍵はあたしのネックレスに繋がれている。あたしを倒して、奪い取ってごらん。まぁ、首輪を掴む前にあたしの《ホーンデッド》でお前は終わりだろうがなぁ! ジャーリジャリジャリジャリ! 来いベネット!」

 ファイティングポーズをとるトロイメライ。だがベネットは動じない。

「……なんだぁ? 来ねぇのか? ならあたしから行くぜ!」

 瞬間移動し、ベネットの眼前に来る。

「《ホーンデッド》!」

 ベネットの首を掴もうとするも、ベネットはバク転してよける。黒いオーラを纏ったトロイメライは、黒いオーラを纏ったまま、ベネットに素早く接近し、パンチを食らわす。

 それをベネットは、受け止める。

「んぐぐ……ぎぎ……」

 ベネットは歯を食いしばり、《ホーンデッド》の恐怖に耐える。

 がくがく震えるベネット。

「ジャーリジャリジャリジャリ! ……ほう、あたしの異能に耐える奴はあんたが初めてだよ。だがね……」

 手をひねり、捻挫させようとするトロイメライ。ベネットはいっそう苦虫を噛み潰したような表情をする。

「《ポインター》!」

 ベネットは壁に矢印を突き刺し、トロイメライごと反対側の壁に飛び移り、トロイメライの頭を壁に叩きつけた。

「ぐはっ……」

 苦痛に声を上げるトロイメライ。

「それで勝ったつもりかっ……《ホーンデッ……》」

 異能を倍増させようとするトロイメライ。しかしベネットは素早くトロイメライから離れる。

「逃げるんじゃねぇ!」

 トロイメライは瞬時にベネットに馬乗りになり、ボコボコに殴った。

「ジャーリジャリジャリジャリ! 怖いだろう、怖いだろう? あたしの《ホーンデッド》は今最大限で……」

 このとき、トロイメライは恐怖を垣間見た。

 ベネットの目の色が、違う。

(こいつ……あたしを怖がっていない……だと……?)


「ガキ。ツケを払ってもらう時だ」


 ベネットの感情──。


 長い監獄生活で溜まっていったストレス。

 拷問による苦痛と屈辱。

 ジョーカーズの腐ったやり口。


 彼に今残された感情は──。


──【怒り】


「《ポインター LEVEL2》」


 トロイメライは思わず上を見上げた。

 空間にいくつもの切れ目が現れる。

「なんだ……なんだってんだよぉ……!?」


「てめぇの異能は、触れなきゃ発動しねぇ」


 ベネットはトロイメライに蹴りを食らわせ、間合いを取った。


「なら、触れないで攻撃するまでだ」


 切れ目からいくつもの黒い矢印が顔を出し──。


 あらゆる方向から、トロイメライの体へ突き刺さり、彼女の体を切断した。


「か……はっ……」


 トロイメライは全身から大量の血を流し、倒れた。切断面からは内臓が飛び出ている。


「てめえと俺の違い、それは能力値の有無。それだけだ。鍵はもらっておくぞ」

 ベネットはトロイメライのネックレスから鍵を奪い取り、自分の首輪を外し、部屋を出て行った。


──廊下には、イライザ・サグラダファミリアが腕を組んで壁に背を預けて立っていた。


「……こうなることは、予想できてたんだろ?」

「当然よ。ここで死なれたら面白くない」

「てめえらジョーカーズは何がしてえんだ」


「さぁね。忘れたわ」


 それだけ言い残して、イライザはヒールの音を鳴らして廊下を歩いていった。

「出口はあっちよ。帰ってエリザベスに傷を癒してもらうことね」

「おせっかいな悪党さんだ」


 ベネットはイライザと反対方向に歩いて行った。




──クローバーズ本社。


みんな、肩を落としていた。

「ベネット……いなくなって何日経つ? 女史」

「そうですね。もう12日かと」

 エリザベスはベネットがいない間ずっと泣いていて、カウンセリングルームで泣き疲れて寝ている。その傍にはエルザがいた。

 電話が鳴った。すかさずダーシーは受話器を取った。

「──ベネットか。ご苦労さん」

 その言葉に、コリンズ女史はダーシーのデスクへ身を乗り出した。

「ふむ。やはりゴキブリのような生命力なのであーる」

 ウィッカムは笑い飛ばした。

 そしてダーシーはベネットを迎え入れ、ドアを開けた。

 女史は急いでエリザベスを起こし、ベネットの前に立たせた。

「……ベネットさんなんか……」

 エリザベスは、泣いていて、

「……ベネットさんなんか……ベネットさんなんか……」

「なんなんだよ」

「うわああああああん!!」

 エリザベスはベネットに抱き付き、号泣した。

 ベネットはエリザベスの頭に手を置き、

「ただいま」

 と一言述べた。


 彼の右手には、公園で摘んだ四つ葉のクローバーが握られていた。


第七章 完


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