憧れの“肉体”
どうやらあの、先程見た“海スライム”ではないらしい
それに安堵した僕は、早速出てきた焼き魚に手を付ける。
ふっくらとした白身魚に、風味豊かな香草が相まって口の中で旨味が弾ける。
新鮮な魚を使っているのに生臭みがないのも美味しい理由かもしれない。
海辺だから楽しめる最高の贅沢をしている気がした。
あっという間に食べあげてしまった僕は、
「……これに僕は挑戦する」
そう小さく呟きながら、僕はデザートの空色のゼリーにスプーンを入れる。
感触は僕の知っているゼリーと同じ。
だが味はどうだろう。
海の味がしたりするのだろうか?
不安ばかりが頭に浮かぶので僕は、思い切って食べてみることにした。
「パク。……もぐもぐ、ごっくん。お、美味しい。爽やかな果物の香りがする」
「どれどれ……なるほど、“ビビノ実”か。そういえばあれは青色の果肉をしているからこの色が出るのか」
「果物のゼリーだったんだ。美味しい、後で買えたら買っていこう」
「そんなに気に入ったのか」
「うん」
「また一つルネが好きなものを見つけてしまったな」
そうクルツが楽しそうに言ったのだった。
それから二人で浜辺を散歩する。
あの“海スライム”はすべて退治されたらしく、もうここにはいないらしい。
しかも今日の夜花火大会があったらしく、“海スライム”の駆除の人たちが来たそうだ。
僕達は間の悪い時に遭遇してしまったらしい。
とはいえ、あの“海スライム”の変異種に襲われた事もあって僕は、温泉で体を綺麗にすることに。
やってきた閑静な場所にある入り口。
木々の茂みどりの深い場所にこの温泉はあるようだ。
木漏れ日が心地の良い木の門をくぐり、そばにいたこの温泉の持ち主に、僕達の人数分のお金を払う。
また追加料金で、タオルを貸してもらえたり、服の洗濯乾燥をすぐにしてもらえるそうだ。
ただこの洋服の洗濯関係の魔法はクルツが使えるとのことで無しになる。
温泉に入る前に脱いだ服にそれをかけてもらい、それから温泉に向かう。
まず体を洗ったのはいいけれど、
「クルツの体はすごく筋肉質だ。羨ましい」
「一応は、騎士団長だからこれくらいは当然だ。そこまで言うならルネも一緒にそのうち訓練してみるか」
「いいの!?」
「うん、救護班に常に一緒にいてもらえれば大丈夫なはず」
僕は何か過酷なものに挑戦させられる気がした。
冗談を言っている風ではなく、クルツが真剣に何かを考えている表情をしているのがまた……。
このままではまずいと思って、
「やっぱり大変そうなので良いです」
「そうだな……うん、その方がいいな。ルネは疲れ切ってしまうから、俺も始めのころは寝込むこともあったし」
クルツすら寝込む過酷な場所に僕は連れていかれるとこだと僕は今更ながら気づいた。
危ない危ないと思っていると、
「ちょっとした動作もなれないと大変だからな」
「仕方がないので憧れの“肉体”であるクルツの体を見ることにする」
「……そうか」
クルツは微妙そうな声でそう答えたのだった。
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