もしや、異世界人か?
僕を助けてくれた、犬耳をつけたような騎士らしき人物。
でもこんな耳がついているというのは、やはり異世界なのだろうか?
更に異世界説に確信を持ってしまった僕が、そう考えていると、その犬耳のイケメンが、
「こんな所に一人でやってくるのは危な……」
そこで目の前の犬耳の人物は言葉を切った。
しかも彼は僕を見て、
「ハムスター種族だと? もしや、異世界人か?」
そう僕は聞かれてしまうが、僕としてもよく分からない。
僕たち人間はこの世界では、ハムスター種族と呼ばれているのだろうか?
などと考えているとそこで目の前の犬耳騎士が、
「何にせよ、ここで長話するのは危険だな。異世界人ならなおさら襲われる危険が増えるだろうし……一緒に来てくれ」
そう言って彼は僕の手を握って歩き出す。
暖かくて大きな手だ、そう僕は思ったのだった。
先ほどの騎士はクルツというらしい。
年齢は18歳だそうだ。
僕と同じだというと、驚かれてしまった……。
童顔だから仕方がないとはいえ、地味にショックを受けてしまう。
ちなみにクルツはこの歳で騎士団長を務めているらしい。
そして今日は、たまたま散歩に出かけていたらしい。
そのおかげで僕は助かったのだけれど。
そして現在僕は騎士団の詰所のような場所に連れてこられていた。
小さめとはいえ僕の部屋より広く、テーブルと椅子がある。
他の騎士の人たちは今は見回りに行っているらしく、僕達しかいない。
そこでようやく一息ついた僕は、助けてもらったお礼を言っていないことに気づいた。
「あの、助けて頂いてありがとうございました」
「いや、市民を守るのも騎士団の務めだからね。でも異世界人だからその範囲外か。とはいえ、君は可愛いから助けてしまうかもしれないね」
そう返されてしまったのだった。
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