量があっておいしくて安い店
こうして僕は、クルツに連れられて食事処に向かう。
石造りの町並みが広がっている。
ここに連れてこられたときはそこまで周りを見る余裕はなかったが、ファンタジーっぽい街並みだなという印象が強い。
そして空を見上げると、よく晴れていて、青い空に白い雲が穏やかに浮かんでいる。
この辺りは僕たちの世界と同じだ。
また、道に迷わないようにという配慮だろうか、クルツが僕の手を握っている。
こうされると安心すると僕が思いながら歩いていく。
お昼の時間帯のせいか、人が外によく出ている気がする。
この喧騒は心地よく感じられるが、周りの人にはみんな獣耳が生えている。
ここまでそろっていると、なんだか不思議な光景に見える。
物珍しさに周りを見すぎたのかもしれない。
そこでクルツは苦笑したように、
「そんなに珍しいのか?」
「う、うん。僕たちの世界の人には獣耳がないし」
「そうなのか。話には聞いていたが、俺からするとそちらの方が不思議な光景だ」
クルツに笑いながら言われてしまう。
その笑顔異に僕が一瞬魅入られてしまっていると、そこでクルツが僕から顔をそむけた。
小さく震えているように見えた僕は、
「どうしたの? クルツ」
「いや、ルネがじっと俺の方を見るから……」
「え?」
「いや、大した理由はない。それよりもルネは何か食べたいものがあるか?」
「この世界のものが分からないから、僕には選べないです……」
「では、俺のおすすめの……量があっておいしくて安い店を紹介しよう」
そうクルツが言ったのだった。
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