第1話
僕は周りの人からの叫び声を浴びつつ宙に浮いている。
「なんだこの状況は。」
理解する暇もなく気がつけば知らないベッドで寝ていた。こういう状況なら病院のベッドで目覚めたりするのが一般的なのだろうが違うらしい。朝、目が覚めたときに感じるのとは違う、どこか気味の悪いまぶしさを感じる。部屋を見渡すが、人はいない。部屋にあるのはベッドと丸い机だけである。
「学校に行く途中にトラックに轢かれたのか...僕も随分とおっちょこちょいになったものだ。」などと冷静に考える。
「しかしそれならばここはどこだ?病院じゃない、それならどこなんだ。」冷静なつもりだったが思ったよりも混乱してるらしい。考えれば当たり前のことである。
"気づけば見たこともない場所でただ1人"
こんな状況で冷静になれる方が怖いだろう。
こんなことを考えていると、ふと扉が開き1人の美しい女性が入ってきた。ナース服でも白衣でもない。やはりここは病院ではないようだ。
「こんにちは。気分はいかががですか?急なことで混乱されているでしょう。」
「ええ、まあ。」
「突然のことでお気の毒でした。あなたは先ほどトラックに轢かれてお亡くなりになりました。原因は運転手の脇見。不慮の事故、というやつです。」
僕は死んだのか?分からない。全く分からない。言われるだけではいまいち実感がわかない。僕の理解力ではこの状況が理解できないようだ。
「ここは、どこなんですか?」
「お察しでしょうが、天界です。私はあなたを導くもの。天使と死神のあいのこみたいなものです。私はここであなたに次の運命を伝えにきました。」
僕に質問をさせる暇も与えずに彼女は続ける。
「あなたはある世界の人間に望まれたのです。あなたにはその世界に行ってもらいます。なぜ呼ばれたのか、何をするかはそこの人に聞いてください。申し訳ありませんがあなたに拒否権はありません。私の役目はここまでです。」
「ちょっと待てください!拒否権はないって...そもそも"ある世界"って何ですか⁉︎」
「拒否権がないと言いましたがちょっと語弊があるかもしれません。正確には拒否できない。もうここから別の場所へは行けないのです。私が狩り、導いた魂はそれぞれの世界に振り分けられるのです。そこに私は手を出すことが出来ません。しかし、あなたには元いた所とは違う世界で為すべきことがあるという事だけは分かります。勝手な話ですがお許しください。」
「いくら何でも勝手すぎるでしょう。しかも、"私が狩った"って...」
気がつけばまた知らない部屋で寝ていた。しかし、さっきまでにはない心地良さがあった。(つづく)
自分で読んで自らの語彙力のNASA✋️が恥ずかしくなりました。1話はキリがいいので何故か異世界転生するところまでで切ります。これからも私の妄想を書いていきたいと思います。