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序章
大きな光に気付いた時には、痛みと共に、衝撃が走った。
と思ったら、次の瞬間には痛みはきれいさっぱり消えてしまっていた。
よく、これは夢に違いない、と思うことでも、痛みを感じられることで現実だと認識することがある。
痛みはちっとも感じない。
だからこれは夢だ。
でも、その割には感覚がとても現実的で、夢なのに、どうして、力がなくなっていくんだろう、とも思う。
『夢じゃあない』
脳内に響く声が、現実の痛みを痛みとして認識してしまったら、魂に傷が残ってしまうからその感覚は消してしまったんだ、と軽やかに告げた。
(痛みを、消す、とは)
脳内に突然の声、という事態に驚かないのは、それが日常だったからに他ならない。声も、その説明などはせず、ただ、目的のみを告げてきた。
『きみを連れて行きたい場所がある。だから、此処に未練を残してくれるなよ』
その言葉が、私、真古刀要という人間の終わりだったのだ、と気付いた時には、ぜんぶ終わって、そして、始まってしまっていた。