今回の反省をしながら参考になりそうな物を紹介する
さて、これを投稿して三か月となりましたが……まだこれがエッセイ日間に居座っています。
すげえよ、みんななろうテンプレに興味津々なんですね。(なろうテンプレのルーツに迫った『なろうテンプレの中身はなろうで生まれた物じゃないからね!?』もよろしく!)
ちなみに私の小説はすべてボロボロどころかスカスカ底辺の末路、で、ランキングなんぞ夢のまた夢。なのに、軽い口調でバンバン叩きつけたかなり短い文章がエッセイランキングでしょっちゅう顔を出している、そう思うと面白くなってきます。
で、本題だけど……ちょっと、俺ひどすぎじゃねえ? と。
いや、書いてる事は間違ってないと思いますよ。ただ、極端すぎると。
このエッセイの対象者は「割と真面目に書籍化を意識しているけど、今までの作家意識が強くてなろうの色が理解できていないか合わせる気がない人」です。
そう、なろうに合わせる気がない作者へ向けたものです。
カクヨムができた時もそうですが、作家志望で、小説の作法を意識していて、意識が「Web」より「紙」にある人間ほど理解できない、そして理解したくない、と拒否してしまう事が多いのですよ。少なくとも私が見てきた限りでは。
でもそうではない、という話がしたかった訳です。
「本気で人気を出す気があるのなら、スタイルや、サイト文化の違いをきちんと分かった上で人気を出したい、という言葉を使おう」と。
別の場所なのだから、自分の今まで生きてきた世界の常識だけで勝負してはいけないのではないか、と言いたいのです。
でも、そういう人ばかりじゃないよね? というのが、これを書いた後で気づいた事でした。
世の中にはいろいろな人がいます。
私が前に書いた『なろうテンプレの中身はなろうで生まれた物じゃないからね!?』でも書いた様に、このサイトの空気は二次創作小説のサイトに似ています。
それで、二次創作小説の作者が書籍化目指して頑張るぞ!なんて言っているかと聞かれたら、そりゃ違いますよね。
書きたいから書いてるけど、できれば書いた物で感想を貰ったりポイントくれたりあわよくば固定ファンが付けば嬉しいな、という中間層の方がむしろ大半でしょう。
そんな人達に対して「人気が出したいなら人気の出し方を研究してから言え」という振る舞いは、少し突き放しすぎではないか?
それに、この書き方では「小説家になろうはプロを目指す作家が血走った眼で作品を書いているサイト」みたいに見えてしまうのではないか?
実際には、なろうテンプレの読者が、自分も書こうと気軽に筆に手を伸ばすことができるサイトなのに?
「俺は書きたいから書いてるんであって、なろう研究がしたい訳じゃない!」と言われれば、まったくその通りだ、としか返せません。
ヘンリー・ダーガーみたいにストイックにやり続けるか、全力でプロを目指すかの二択、ではない。私のこれは、ちょっと厳しい言い回しが多かったかもしれません、と自己反省しました。
まあ、さんざんな事を言っていますが、私は自分の夢を書いて夢の為なら戦っている人が好きですし(映画『エド・ウッド』の台詞から改変)そういった人達の作品はやっぱり熱意という物を帯びると思います。
なろうに合わさずしてなろうで人気が出せるものか、とは言いますが、実際にはこのサイトはかなりの人数が居て、今もスコッパー、つまり自分の好きなジャンルの作品をランキングに頼らず探している方は間違いなくいます。
かつては私もその一人で、作品評価などまるで分らない個人サイトや、掲示板にアップされているだけのテキストファイルも漁っていました。
そういうネット小説オタクは確実にいます。メインストリームで評価されなくとも、そういう人達が見つけてくれる可能性はあるのです。
それに、なろうテンプレ系ではなくとも、大きなサイトでの紹介などで日間ランキングにところどころ姿を見せている作品も存在します。ガチガチに「なろうテンプレ書かなきゃ」という事ではないのです。
実際、これを書いた2016年には突き抜けた「例外」がなろうから飛び出していったので、そういう道を夢見るのもまた良し。
(ただ、ハードルは途方もなく高くなるので、そこだけは注意)
ここなろうで意識的に人気を出す方法が少ない選択肢になるのは事実です。
事実として、このなろうは読者評価が一極集中しており、他のジャンルは評価が弱い、というのが数字として出ています。(参考としてあとがきに挙げているので気になる方はそちらへ)
作品に評価を付ける人は過半数以下だが、その評価が特定ジャンルに全力で偏っているのは確実と言えます。
自分の書いた作品が人気になればいいと切実に思うのなら、欲しているのがどの程度の人気かを問わず、戸惑う事なく「大なり小なりなろうに合わせる・なろうという場を理解する」努力をするべきです。サイトに物を言う前にやれる事は沢山あります。
上でも書きましたが、何もテンプレ以外がまるで評価されないのではありません。確かに評価ポイントではなろうテンプレ……というより、もっと本質的な「なろうで作り上げられた文化」には勝てませんが、評価されない訳ではない。テンプレを書けとは言いませんよ。ただ、評価を得るのが目的としてあるのなら、文章作法などの小さな事からでも、合わせるべきです。
でも、どうしても自分の作品を少しも変えたくないというのであれば、迷わず別の道を探るべきです。なろうでランキングに載るだけがネット小説ではないのですから。
……でも、そういうの抜きにめちゃくちゃに面白い作品で「~はウケない」っていう世間の常識をひっくり返してえ!! って思う?
うんまあ……確かに……!
※いわゆる中間層(書きたいものは書くけど人気もまあ欲しい)という人には私は何も言えません。
ぶっちゃけ、底辺の中の底辺である私がそんな方法を私が知っているハズがない。そこは「なろう 人気」とかで検索すれば色々とエッセイが出てくると思うのでそちらを参考にどうぞ
ここ最近、なろうテンプレについてのエッセイは本当に増えましたね。良い事です。多くの人が、このなろうテンプレという現象に興味を持っている証です。
私はなろうの事を考察する方、評論する方、どれも大好きです。
正しい、鋭い視点だ、これは凄い研究だ、データとして参考になる、と思った物だけではなく、的 外れでも、読むだけで過去の投稿サイトに詳しくないと分かっても、先行するエッセイに目を通していないなと感じても、ちょっと指摘が無粋ではないかと思っても、どれもその人なりの価値観が出ていて、とても面白いです。
もちろん自分で考察するのも大好きです。人気作品のデータとUAの変化、書籍化する基準やそれに対する打ち切り率を観測したくて、一からデータを作った事もあります。
ただ、こんな事を何度も言っている私自身は、いわゆる「書き上げられたらそれで満足」「付いて来られる奴だけ付いて来い」タイプの作者で、人気を出そうと努力する、という思考を自分がするのはとても苦手です。人がする分には応援したいですし、私が持っている必要そうな知識なら幾らでも提供しますが……
そもそも、投稿を開始するのが「完結まで書き上げたか、完結のめどが立った時」としている私には、ライブ感をもって毎日書いていくスタイルは合わないんですよねー
それはともかく、
以下に、現代のネット小説となろうを理解する為によさげなものを載せておきます。
-なろう及びネット小説を理解する為の参考資料たち-
なろう内(データ系)
『最近の読者に人気のキーワードはどれなの? ~主人公最強、悪役令嬢、勘違い~』 nis 様
なろうで評価されている作品、されていない作品の数を明確に示したデータ分析。
ジャンルごとの人気キーワードに対してデータを示しており、これから作品を投稿する際には読んでおくと、何が人気なのか、どのキーワードを入れればよいかが分かりやすくなる素晴らしい分析です。
『『小説家になろう』をデータ分析してみた』佐々木尽左 様
まず何よりもファンタジージャンルの強さ、異世界物の強力さの実態を知りたい方はぜひこちらへ。「小説家になろう」というサイトの色が一撃で理解できる分析です。
『一度も作品を評価したことのない人ってどの位いるの? ~8割です~』 nis 様
上が作品の分析なのに対して、こちらは、読者の分析です。このサイトの評価ポイントを入れるのがどの程度の割合か、タイトルにも書かれている通りですね。
なろう内(考察)
『現役編集者が「小説家になろう」で受ける作品と受けない作品を分析してみた』 とある編集者 様
現役の編集者の方、という事で、どういう物が受けているかをしっかり考察しています。編集者目線の、なろうでのタイトルの付け方などが的確。語り口もシンプルで、かといってテンプレに否定的でもない。初心者向けと言っても良いかもしれません。
『なろうの流行の歴史と未来』 眠れるラプラス 様
ざっくりとですが、なろうの歴史について、「俺TUEEE系」がどの様に変化していったのか、そしてどの様に変化していく可能性が高いかを論じられています。
なかなか読んでいて懐かしくなる所もあり、今後の展開については、これからなろうへ挑戦しようという人は意識しておくとよいかもしれません。
『「小説家になろう」における、ブックマーク・評価等についての考察【第二版】 桐葉山様』
客観的な視点で、評価とは何か?ブクマを得るという事はどういう事か?テンプレとは何か?テンプレの問題とされている部分は?テンプレはなぜ生まれたのか?という、なろうでの人気の指標に対するユーザー意識についての考察。
評価を得る、ブクマを得る、という事ではなく、ポイントの価値やテンプレの存在がどういう役割を果たしているのか、などを非常に教養を感じさせる口調で述べられています。
『なろうテンプレの中身はなろうで生まれた物じゃないからね!? 』 私が書いた
……ええ、ダイレクトマーケティングです。
恐らくは数少ない「なろうと二次創作」の関わり合いについての考察。なろうテンプレという文化はどこから来たのか?というお話。
なろう外サイト
『あなたがTwitter上で作品を連載するうえで重要と思われること:虚無の暗黒に挑むには』
『あなたがTwitter上で作品を連載するうえで重要と思われること(02):虚無の暗黒がやってきたら』 ダイハードテイルズ出版局及び、ニンジャスレイヤーほんやくチームのtantou 様
「小説家になろう」などの投稿サイトに頼らず、読者、知名度、全てゼロの底辺からのし上がってきた手法についての解説。ネットで小説を書いている人、特に「読者からの反応がなくて虚無の暗黒に飲み込まれそう」な人には必見。
『ネット小説史(小説家になろうを中心に)』 茶所 様
タイトル通り、「小説家になろう」がいかにして発展してきたかを解説したネット小説史。特に、小説家になろう一強の時代からこの業界に入った方には必見。Arcadiaなどの影響も言及されていて実に読みごたえがあり面白い。
『二次創作的手法の一次創作』 sikii_j様
上記の私が書いたなろうテンプレ物とは違い、「二次創作的手法から一次創作が生まれる」という状況についての説明がなされています。シェアワールド的な視点や、敷居の高いオリジナルとは違う物、という点でのなろうテンプレを扱っています。
『「小説家になろう」のWeb小説における異世界ファンタジー類型まとめ』 kazenotori 様
なろうによくある異世界ファンタジーをタイプ別に分類し、説明したもの。
わかりやすく分類されており、なろう系と言っても色々であることがわかる。また、なろう以外の商業作品で近い物があったか、なども言及されており、なろう系に近い物を探る時は参考になるかと思います。
『小説家になろう「悪役令嬢モノ」のブーム変遷を考察してみた。』 三森 様
タイトル通りの物。
なろう系の一種である悪役令嬢モノの種類、またその歴史を辿り、どの様な過程を経て今の形に変わっていったのかを考察している。悪役令嬢モノの事を深く知りたいならオススメ。
書籍
『ウェブ小説の衝撃 ──ネット発ヒットコンテンツのしくみ』 飯田一史 様
客観的にネットからの書籍化という流れを考察した書籍。なろうだけではなく、ケータイ小説やエブリスタ、ボカロ小説なども絡めて見事な考察を展開しています。筆者の文壇嫌いだけが物凄く鼻につきますので、そこはご注意を。