第5話 けんか
「今日から学校だな春休みも終わっちまって・・・悲しいぜ」
「健、そうだね。でもそれより僕、誰も知らないからさ、健たちと一緒のクラスがいいな」
「みんな~もう時間よ~」おばちゃんが言った。
「じゃ、学校へはパーリーに乗っていくんです」悠が言った。(パーリーってなんだよ)
「パーリーって?」
「渚くん、知らないの?パーリーってね、うーんなんて説明すればいいのかなあ。あ、あの幻の星、地球で例えると、バスっていうやつかな。ほんと、パーリーっていう名前の方がいいのにね」芽衣は、まるで俺がアホみたいな言い方で説明した。(俺が知るわけないだろ。まず、バスの方が名前いいだろ。ていうか幻の星、地球って、ルルワールドは宇宙のどこに存在すんだよ)
「渚、お前、パーリーこの年齢で知らないとか、やばいぞ。パーリーなんて2歳児でもわかるほど、このルルワールドで常識的な乗り物だぜ」俺は、健の言った言葉についカッとなってしまった。
「俺が知るわけないだろ!第一、俺はこの星の・・・」あ、やばい、やってしまった。言葉遣い、そして俺は、この星の者でないことを言いかけてしまった。
「ごめん、健。僕、ついカッとなっちゃって・・・教えてくれたのに、ごめんね」俺はとにかく、謝るしかなかった。
「いや、俺も、なんか渚を軽蔑するような言い方をしてごめんな」
「じゃ、仲直り!」俺は、こんな言葉を言ったのは、地球で、小学校3年生くらいぶりだった。
「おう、仲直り」
「2人とも!なにやってんの、もうパーリーに乗り遅れるよ!急いで、早く!」
「おー芽衣、ごめんごめん。渚、走るぞ!」
「うん!」
健の足はすっごく速くて、なんだかたくましく見えた。
(おーっし、俺も走るぞー!元陸上部だった俺の足の速さ、見てろよー)
だけど、俺は、体も小さくなったから、前の脚力が失われていた。前より、大分足が遅くなっていた。
(ま、だけど、健には追いつきそうだし、あまり速すぎても、みんなに怪しまれるしな。こんくらいがちょうどいい)俺は、あっという間に健に追いついた。
「渚、お前、速いな。俺のライバルになりそうだ。お、良かったな、パーリーに乗り遅れることなくついだぞ」
「うん、走ってよかったね、ぎりぎりだよ」俺は、空いてる席に腰かけた。
そのころ、健は思っていた。(あの渚が怒っていたとき、「俺」っていう言葉遣い、そして俺はこの星の・・・って言いかけた。なんだろ、なんだかあいつ、ただ者じゃねー気がする。なんか、大きな秘密があるような気がしてたまらねー。でも、その話はまた渚が学校に慣れてからにするか。追いつめてもいけねーしな。俺たちも、まだあれだということ、渚に言ってねーし)
そのころ、渚も思っていた。別のことだけど。
(健などのみんな、優しいな。俺、ルルワールド好きだ。地球も好きだけどな。優しい人ばっかり。学校も、みんな優しいだろうな。ちょっと楽しみ!)
だけど、渚の思っていることは、このルルワールドでは理想の状態だった。ルルワールドには、暗雲がかかってたのだ。