第6話 殺られる前に殺るのです
朝、ゆっくり眼が覚めると、目の前に知らない天井があった。
目をパチクリしながら周りを確認すると、昨日出した旅行用品がひろがったリビングだった。
「昨日出しっ放しにしたまんま、寝てしもたんやな〜
失敗や〜、こんなんお母ちゃんにバレたら、しばかれるわ〜」
とりあえず荷物をアイテムボックスに仕舞って、大きく伸びをした。
何時もなら、私が朝起きれば、弟を起こし、家族揃ってラジオ体操をしている。
寂しく思いながら、1人で「チャ〜ンチャ〜チャチャチャチャチャ、チャ〜ンチャ〜チャチャチャチャチャ、チャチャチャチャチャチャチャチャ、チャチャチャチャチャ〜、
第一体操始め〜・・・」とか言いながら、一人でラジオ体操をした。
「寂しくなったら、体を動かしゃ、なんとか誤魔化せるわ!」
体操を一通り済ますと、それからはナイフを使った格闘技の練習も追加した。
「まぁ、こんなもんやろ」
朝の運動を終わらせて、朝風呂に入りサッパリして、おやつに持って来ていたカロリーメイトで食事を終わらせる。
これからはこの辺りの森を探索しながら、食材になるものを探してみよう。
多分、あの草原の向こう側に人がたくさんいるような気配がしたから、ここで売れるようなものも、採取しておけば良いだろう。
装備を整え、気合を入れてホームから出る。
ホームをアイテムボックスにしまい込み、地図を見てみる。
昨日行った草原がしっかり地図に載っていた。
森はホームから草原までしか載っていないので、森の地図を出来るだけ完成させるように移動していった。
見るもの全てを鑑定すると、結構食べ物が豊富にあった。
「お〜、コレはもしかしてリンゴか!」
鑑定するとアプーという果物で毒はないようだ。
一口囓って見ると、爽やかな酸味のあるリンゴだった。
これは取れるだけ取って、アイテムボックスに入れておけば、搾ってリンゴジュースになるし、アップルパイも出来るかもしれない。アップルパイはあと小麦粉とバターが必要だけど、村や町に行けば手に入るかもしれない。
ホームにオーブンとパイ皿があれば作ることができる、楽しみが増えて元気が出てきた。
他にも砂糖の実、塩の実、胡椒の実、等々調味料になるいろんな木が見つかったので、夢中で採取し続けた。
気がつくと、背後でなにやら犬が唸っているような音が聴こえる。
『グルルルル』
振り向くとチョット大きな狼みたいなのがいた。
すぐ鑑定してウルフとゆう魔物とわかる。急いでナイフを取りウルフと対峙する。
「あれはただの犬っころや!飲まれたらあかん!私はやればできる子や!!!」
自分に言い聞かせながら、気合を入れ「先手必勝、殺られる前に殺れ!!!」と自分から襲い掛かり「こんなとこで死ぬ訳にはいかんのや!!!」叫びながらウルフの首筋を切り裂き、止めにナイフを腹に突き刺す。「私も腹刺されて死んだんやから、これで大丈夫やろ」死亡を確認して、これをどう処理しようか迷う。
レシピ集でウルフの剥ぎ取りのやり方を確認して、肉、皮、魔石が取れる事がわかった。
とりあえず、今ここで解体をすると別の魔物に襲われるかもしれないので、アイテムボックスに仕舞い込み、場所を移動する事にする。
血の匂いで襲われるかもしれないので、小川を見つけそこで血を洗い流した。