第16話 マヨネーズ、サイコー
宿に戻るとニーナは、ただいまの挨拶より先にいきなり「お父さん、お母さん、私ランクFになったよ〜」だった。
「ニーナ、話はまた後で、厨房でお父さん手伝っておいで。ユリさんお帰りなさい。夕食の時間までまだ少しあるから、部屋でゆっくりしていると良いよ」
「うん、そうさせてもらうわ。………ああ、お風呂って、夕食の後に入れるのん?」
「そうだね、夕食の後に、用意しとくよ」
「お願いします。じゃあ、夕食の時間まで部屋にいるから」
部屋に入り一息つくとアイテム作りをしようと思った。
さて、魔石の交換品のガラス瓶は全部使ってしまったから、新たに交換したいが、ホームを出してリビングに入らないと、魔石貯蓄箱に魔石を入れられないんじゃないだろうか。困ったなと思いながら、魔石貯蓄箱出ろとアイテムボックスに願うと、目の前に魔石貯蓄箱が出てきた。……………なんて便利なシステム、御都合主義ちゃうかと思いながらも、出てきたものはありがたく使わせてもらう。
ウルフの魔石は1個5ポイント、5匹分で25ポイントあった。とりあえずガラス瓶を200本分6ポイント使って出し、アイテムボックスに仕舞っておく。
食事の前にどうしてもマヨネーズを作りたかったので、小鍋を取り出しクックルの卵、白ワインビネガー、オリーブオイル、塩、砂糖を用意する。
小鍋にクックルの卵の黄身を入れてそこに塩、砂糖、ワインビネガー、を入れしっかりと混ぜる。綺麗に混ざったらそこにオリーブを少しずつ入れていき、いつも食べているマヨネーズくらいになったので味見をしてみた。少し重めだけどマヨネーズになっているので満足していた。小鍋から少しだけ小皿に移しておき小鍋はそのままアイテムボックスに仕舞う。アイテムボックスに入れていけば時間が止まるようで、マヨネーズも酸化しないだろう。
そこでちょうどニーナが「夕食ですよー」と呼びに来たので小皿を持って、食堂に降りていった。
テーブルに着くとニーナが「今日の夕食はウルフのステーキと黒パンとサラダでーす。ウルフは今日獲ったやつだよ〜、私も食べたけど美味しかったよ〜」
「楽しみだね、ところでニーナちゃん、実はさっきマヨネーズを作ったんだけど、味見しない?」と小皿をテーブルに置いた。
「えっ、出来たの?……いいの?…味見した〜い。」厨房からスプーンを持ってきて、小皿から少しすくって食べてみると、「美味し〜、私好きかも〜、これってどうやって作ったの〜」
「ナイショ〜」と黒パンをナイフで切れ目を入れそこにウルフステーキとサラダを入れてマヨネーズをたっぷりかけて夕食をアレンジしてたべた。
「う〜ん、美味しい、ステーキのソースとマヨネーズが混ざって良い。やっぱりマヨネーズはサイコー」
「そうやって食べるのも美味しそ〜」
そんなやりとりをしていると、宿屋の女将のシーナさんが来て、美味しそうにして食べてるね〜。それがニーナが言っていた、マヨネーズってやつかい?
「そうだよ〜食べる?」
「少し貰えるかな?」とシーナさんもスプーンを持ってきていた。
「良いですよ〜、食べてみて〜」
少し掬って味見をすると、「美味しいね〜」とシーナさんも褒めてくれた。
「私がお風呂から上がって、食堂のお客さんが帰られたら、一緒に作ってみますか?…とっても簡単だからすぐに出来ますよ」
「お願いできるかな、向こうでお父さんもチラチラこっちを見て、気にしてるみたいだから」
「良いよ〜、ニーナちゃんにはいろいろお世話になってるからね〜。
そしたら部屋にいてるから、お風呂が沸いたら呼んでくれるかな〜」
「一時間くらいだと思うけど、沸いたらすぐ呼びに行くね〜」
「よろしく〜」と手を振りながら2階に上がった。