第12話 ニーナのお家 鶴の巣亭
ギルドを出てから、ニーナにデルファンの街を案内してもらった。
マヨネーズは絶対に外せないので、ニーナに「デルファンにマヨネーズってある?」と聞くと「マヨネーズって何………」と返された。
ふっ……そんなの想定内や。
「そしたら、お酢は?ワインビネガーは?………あと卵、鳥の卵は売ってる?」
「お酢は知らないけど、白ワインから出来るワインビネガーは知ってるよ。それと、卵はクックルの卵なら売ってるのは知ってるけど」
「それはどこで売ってんの!!!…いくらなん!!!…高いん!!!」
小鼻を膨らませながら、ニーナに迫ってしまったよ〜
「うちの宿屋に行く道の途中の、露店で時々ビネガーも卵も売ってるよ〜
先にそこに寄ろう〜、ビネガーは銀貨一枚で一瓶ぐらい、卵は一個大銅貨一枚くらいだよ〜」
高いか安いかよくわからんが、今はどうしてもマヨネーズが食べたい。野菜にマヨネーズ、素晴らしい組み合わせだ!
結局ビネガーは二瓶、卵は20個購入した。
ニコニコしながら、「マヨネーズが出来たら、ニーナにも食べさせちゃるわ」
「マヨネーズって食べ物なんだね〜、美味しいの〜?」
「美味しいよ〜!!!私のソウルフードやし、マヨネーズがないと生きていかれへん、マヨラーやから」
「よく分かんないけど、楽しみにしてるね〜」
話をしながら歩いていると、宿屋に到着した。
「ここが私のお家、宿屋の鶴の巣亭で〜す」
外観は年季の入った宿屋だが、とても手入れが行き届いている様に見える。
「ええ感じやな〜気に入ったわ」
「ありがと〜」
二人で宿屋に入ると「ただいま〜お客さん連れてきたよ〜。ユリちゃんに森で助けてもらったの〜」と、いきなり報告していた。
目を丸くしながら「いらっしゃい、食事かい、泊まりかい?…泊まりなら夕食・朝食付きで一泊銀貨2枚だよ」と元気に女将さんが私に聞いてきた。
いい感じの宿だったので「とりあえず3泊でお願いします。じゃあ銀貨6枚、先払いでいいのん?」と支払いを済ます。
「今日の夕食は、もう少ししたら用意できるよ、食堂で食べるかい?それとも部屋まで持って行こうか?」
「今日は食堂で食べさして貰うわ、ちょっと部屋で一服したら降りてきたらええのん?」
「そうだね、ニーナに呼びに行かせるから、それまでゆっくりしてると良いよ、ニーナ205号室だよ、案内しな。それからユリさんニーナを助けてくれてありがとうね。私はニーナの母親のシーナだよ。よろしくね」
「今日、冒険者になったばかりの、ユリです。よろしゅうお願いします」
挨拶を済ませるとニーナに案内してもらい、部屋に入った。
「じゃあ私、店を手伝ってくるね〜。食事が出来たら呼びに来るからね〜」
「ありがと〜よろしく〜」
部屋にはベットと、食事が出来るように小さなテーブルと椅子が置いてあった。
椅子に座り、マヨネーズを作ろうと思ったが、まだオリーブをオイルにしていないので、今日のところは諦める。
アイテムボックスに入っているアイテムのレシピ集を見ながら、何か作れないか確認してみる。
よく見ていると、薬草と青い水玉でポーションを作ることが出来るようだ。すぐに出来そうだったので、調剤セットを取り出し、薬草と青い水玉、できたポーションを入れるガラス瓶も取り出す。
ふむふむ、まずは薬草を一束細かくカットし、乳鉢に入れる。その薬草を乳棒で自分の魔力を込めながら、クリーム状になる様に潰していく。魔力を込め潰すと段々と、透明になっていくので、透明になったら、水玉を入れましょう。そのまま魔力を込めながら混ぜ、透明になってからガラス瓶に詰めればポーションの完成です。
魔力の込め方によって、ポーションの星が違ってきます。一番良い出来のポーションは星5つです。
出来たばかりのポーションは5本でそれらを、鑑定すると全て星5つだった。「私って天才ちゃうか」と自画自賛してみた。




