第10話 デルファンの街
二人で、街に向かいながら、歩いているとニーナが、いろいろ聞いてきた。
「ねえ、ユリちゃん。ユリちゃんってどこから来たの?
すごく変わった服着てるでしょ、どこで買ったの?それとも自分で作ったの?」
自分の格好を見ると、いつものトラ柄ファッションだ。
「可笑しいかな、ヤッパリ。…………とても遠いとこから来たんやけど、そこでは皆んなこんな服やってんけどな〜」シレッと大嘘をついた。(大阪のオバちゃんだった私が好きだっただけです。)
「じゃあこの辺では買えないね〜。トラ柄がカッコいいな〜って思って」
「カッコええやろ〜、でももう手に入らんわ〜残念やけど。ところで、ニーナちゃんの住んでるとこって、どんなとこなん?」
「デルファンの街?………いい所だよ〜、美味しいものもあるし、人も親切だし、冒険者の中には乱暴な人もいるけど、ギルマスはとっても強くてお父さんのお友達なの。
お父さんとお母さんはデルファンで、宿屋をやってるの〜、昔は二人とも冒険者だったけど、お父さんが怪我しちゃってから、デルファンで宿屋を始めたんだって。それで私も冒険者になろうと思ったの〜。
ユリちゃんも強いけど冒険者なの?違うなら冒険者になるといいよ〜。
冒険者になると身分証になる、ギルドカードが貰えるから」
「身分証か〜それはいいな〜じゃあ私も冒険者になろかな〜」
「じゃあ、デルファンに着いたら、冒険者ギルドに一緒に行ってあげる。私もどっちみち、依頼品の薬草を持っていかなきゃいけないから」
「ありがと、ニーナちゃん」
「ユリちゃんは初めてデルファンに来たなら、泊まるとこ決まってないでしょ、なんだったらうちに泊まるといいよ〜、父さんの作る料理は美味しいし、お風呂もついてるよ〜。うちの宿の売りなの〜」
「風呂付、美味しい料理、楽しみやな〜。ところで料金はおいくら?」これは聞いておかないと後で困るからな。
「食事付きで一泊銀貨二枚で〜す。お安いでしょ」
「うん、泊まることにする」これで、しばらくは、デルファンで頑張って、魔物狩りして、魔石と現金を貯めよう。
しばらく森の中を歩いていたが、森を抜け出すとずっと遠くに城壁みたいなのが見える。
「なぁ〜、あそこがデルファンなん?」
「そうだよ〜、おっきい街でしょう、城壁もシッカリしてるから、チョットした魔物の襲撃なんかは、平気なの〜」
「へ〜凄いんやな〜。じゃあ門には兵隊さんとか居てるの?」
「居るよ〜、そこで身分証かギルドカードの確認をするの〜
ユリちゃんは身分証も無いんだよね〜。だったら入るのに銀貨一枚と、犯罪者の有無を調べるんだけど、ユリちゃんなら大丈夫だよね〜」
「たぶん大丈夫やと思うわ〜」一応、地球でも前科はないし。
門の近くまで行くと順番待ちがあったので、最後尾に並ぶとなんだかジロジロ見られた。
(なんやねん、そんなにおかしいか、トラ柄の服)
自分達の番になると門番さんにもジロジロ見られた。
(失礼なやっちゃ)
「そっちの子は、今日初めての冒険だったな、薬草は採取は出来たのかな?」
「は〜い、出来ました〜」ドヤ顔でニーナが返事をした。
「良くやったな、これからも頑張ってくれ。それで、そっちの変わった服を着た君は?」
「この服は、趣味です。気にせんとって」
「ふむ、まあ良いだろう趣味もいろいろあるからな、それじゃあ二人とも、身分証かカードの提出をしてくれ」
ニーナはギルドカードを出し通された。
「私は旅のもんやから、身分証もギルドカードも無いねん。これからここで冒険者になろうと思うんやけど、この門入ろうと思ったら、銀貨一枚払ったらいいんやろ?」と銀貨一枚を渡す。
「そうだな、ただ身分証が無い者は、犯罪の有無を調べなければならないので、ちょっとこっちに来てくれ」と詰所に連れて行かれた。
犯罪者じゃ無いけど犯罪者の気分だよ。
「それじゃ、この水晶に両手を付けてくれ、犯罪を犯していれば黒く染まるからすぐにわかる」
「両手を置くんやな」
「そうだ、魔力で確認するから、すぐに終わる」
何も起こらず、「大丈夫なようだな」とすぐに終わって、ニーナの所に行かせてもらった。
「じゃ、行こうか」とデルファンの街に入ることが出来た。
宿屋の一泊料金値上げしました。