DT
ぐっすり寝て起きた土曜日。
目が覚めるとアスカが隣にいて、ビクッとする俺。
そうだった、そういや泊めたんだった……
どうやらアスカも起きたらしく、布団をスリスリと頬擦りしている。
「おはよう」
と、俺が起き上がろうとすると、アスカが上に乗ってきた。
「ねぇ、レンくん、キスしたことある……?」
突然の出来事に対処できない俺。
「キス……しちゃおうか?」
そんな誘いに俺が乗るか!!
するんなら俺様から先にしてやる!!
俺はアスカをひっくり返し、ゆっくり口づけた。
女の子の唇って、柔らか〜!!
狭いベッドの上で押さえ込むようにキスをした。
そしたら、アスカが俺の手を下に持っていく。
おいおい、いいの?そんなことして。
彼氏いるんじゃないの?
でも、誘われてやらないのは漢じゃない。
俺は全く冷静だったが、据え膳食わねばなんとやら、とアスカに手を這わせた。
胸を触ろうとすると極端に嫌がるアスカ。
「胸は小さいから、コンプレックスだから、いや」
と言う。
脱がせようともしたが、極端に嫌がる。
仕方ないのでスカートだけを脱がせた。
ゴムは、オナホのときに使っていた余りがあった。これで安心。
それにしても、あれやだこれやだとわがままな関係の持ちよう。
が、俺はこれで晴れてDTを卒業したことになる。
卒業の感想は、オナホよりは、まあ、いいです。
だった。
だってアスカはそこは嫌、あそこは嫌、そこは触らないで、とやたらストップをかけてきて、冷静だった俺は更に冷静になった。
息子が萎えなかったことが奇跡のようだった。
アスカはというと、先程の余裕はどこへやら、ベッドの上で放心していた。
俺はアスカにシャワーを進めた。
アスカは
「わかった……」
と、ふらふらしながらロフトの階段を降りた。
危ないなと思った俺は、ロフトを急いで降りて、アスカを支えながら風呂へ向かった。
アスカはふらふらしながら入っていき、ものすごいスピードで出てきた。
タオルを置き忘れていた俺は、シャワーをとめたアスカに、入り口を少しだけ開けてタオルを渡した。
俺もシャワーを浴びる。
DTを捨てた俺、普段と何も変わらない。
DTを捨てたら人生変わりました!とか言う雑誌は、あれは嘘だな、と思う。
お昼を過ぎる頃、アスカは慌ててハニタンのところへ行かねば!
と焦りだした。
俺は見送りながら、もう二度と会うことはないだろうな……そう思った。
ところが次の日、日曜日の夜にまた彼女はやって来た。
仕事が終わってからすぐに来たらしく、入り口のインターホンを鳴らすと俺を待った。
まさか来るとは思っていなかったので、俺は、アパートの入り口から自分の部屋までの短い間に着替えを済ませた。
「今日はハニタンのところに行かないんですか?」
「うん、今日は行かない。レンくんと遊ぶから」
そうアスカは言うと、またカラオケに誘ってきた。
俺は所持金が微妙だったから嫌がったんだけど、
「おねーさんが出して上げる」
というので甘えることにした。
アスカの車で山から下り、カラオケへ。
カラオケは日曜日とあって、割りと混雑していた。
受付をちゃっちゃと済ませるアスカ。
そのまま店で待機する。
アスカは待合室にあるスロットにご執心だ。
十五分くらいたって、アスカの名前が呼ばれる。
アスカはちょうどスロットがかかってしまっていた。
「何号室?」
「8号室……」
「これ終わったらすぐいくから、歌ってて!」
「はい……」
俺は部屋に入ると、リモコンなどを持ってきた。
しかし、一人で何を歌えと言うんだろう?
店員さんがジュースを運んできた。
軽く会釈する。
アスカはまだなのか?
俺は軽い苛立ちを覚えた。




