表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺様人生  作者: ちびひめ
29/30

結婚式

マサトを入れて毎日が回りだす。

マサトは結婚式のみの担当――俺が元々そうだった――だから、平日はアスカと二人で葬儀の仕事をこなしていく。

100キロくらい離れた葬儀屋からも依頼が入るので、移動が大変だ。

この仕事を始めたら、年中休みなしになってしまった。

アスカにも申し訳ない。


アスカはそれでもご飯を作って待っていてくれる。



一年ほど経って、ようやく月曜日を定休日にする。

それでも葬儀は入ってきてしまうので、マサトに店番をしてもらう。

将来的にはマサトに葬儀も手伝ってもらうかな……と思う。

俺がそうだったように。


月曜日はアスカの通院日でもある。

アスカを病院に連れていき、待ち時間にミ○ドに行ったりする。


通院のない日は映画にも行く。

俺は元々映画は苦手だ。

狭い席に座らされて、面白くもない映画をひたすら見る。それは俺にとって無駄な行為に他ならなかった。

だから、アスカも慎重に映画を選ぶ。

三谷○喜の映画なら外さない、と言われて一緒に見に行く。

確かにこの監督の作品は外さない。

なかなか面白い。

映画もたまにはいいんじゃない?という気分になる。

しかし、間に挟むB級映画のせいで、相変わらず映画嫌いなままだ。


ショッピングにも行く。

主にウィンドウショッピングなのだが。

お金ならあるのだから、好きなように使っていいと言っているのに、アスカは素朴なままだった。


これには一つ事情があった。

アスカは役所勤めのときに、役所の共済組合の保険に入っていた。車もしかり。生命保険もしかり。

役所をやめたとたんにそれは解消され、車こそ俺の保険の適用が効くが、生命保険にはうつ病のせいで入ることができなかったのだ。


以前入院したとき、高額医療の手続きのおかげで八万円で済んだが、八万円はうちにとっては大打撃だった。

ICUに入ったときはそれだけで三万円以上が消えてなくなった。


そういうわけで、貯蓄に回すようにしていたのだ。


アスカはお金がある今はパチンコに行かない。



夢が現実になる瞬間。



俺は俺の夢を達成した。

今なら言える!



「アスカ、結婚しよう」

アスカは小さく頷くと

「待ってたよ」

と囁いた。



☆☆☆


結婚式当日。

たくさんの知り合いから祝福の拍手を貰う。


いつもは自分が撮る側なのに、不思議な感じだ。


フラワーシャワーの中を一歩一歩歩く俺たち。

協会の鐘が鳴り響く。


俺がいつも仕事をしている現場での結婚式、披露宴だ。

ついつい、カメラを持ちそうになってしまう。


今日のアスカ、とても綺麗だ。

控え室で何枚も俺はシャッターを切る。

俺だけのアスカが欲しくて、撮りまくる。


アスカがやめてよ、と笑う。

その笑顔も一枚、撮る。


もう中座終了か。早いな。

披露宴あげる人の慌ただしさを実感する俺。


入り口で皆を出迎える。

中にはオフィス光の元社長も、バスケの面子もたくさんいる。

アスカも大事な友達を県外から呼んでいた。

ブログをしていた時代からの親友、今日が初顔合わせだ。


アスカが嬉しそうに泣く。

その涙を俺は忘れない。


披露宴は進んでゆき、自分たちで作った生い立ちのDVDが流れる。

主にアスカが作ったDVD。それは二人の軌跡を象徴するかのように、温かいものだ。


ブーケプルズには、独身の女性が少なかったため、女性であればだれでも参加可能にする。

結局独身女性が持っていった。

焼酎プルズはかなり盛り上がった。

焼酎は元社長が元気に持ち去った。


ケーキ入刀は写真を撮られまくって、アスカは緊張していた。


各テーブルを回って写真を撮っていく。

バスケの面子がノリノリだ。


そしてシャンパンタワー。

綺麗だ。


デザートビュッフェではいろんな人たちと交流した。

県外から呼んだアスカの友達は泣いていた。

実はこの子も自殺癖があった。

二人は支え合って今にいたる。


とにかくたくさんの人たちから祝福を受けた。


幸せな結婚式、披露宴だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ