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俺様人生  作者: ちびひめ
27/30

多忙につき

相変わらず家賃は親頼みの日々を送っていた。


俺は葬儀の動画編集にも慣れ、バスケも順調に人数が増え、俺もコーチをすることが増えてきた。


一番小さい子たちのクラスを教える。

その日はカメラはなし。

純粋にコーチとして入る。

担当は六歳児までの低年齢のクラスだ。


これが意外と大変で、集中力が五分、話を聞いていない、勝手に遊び出す。

とにかくボールを怖がらないようにするための担当だ。


遊びと練習を交互にしたり、競争にしたりして、十分の一ずつできればよし。

十分の一できれば、それを十回繰り返せば一になる。


しかし、言うことを聞かない。

幼稚園の先生の苦労がわかる。

一人一人に話せばわかってくれるのだが、集団なので話にならなくなる。


一応ドリブルやパスの練習もしているが、特に女の子は怖がってパスを受け取れない。


今日は新しくソウタくんが入学してきた。

ソウタくんは年長さん。

なんと一応ドリブルができる。

さすが年長さん、聞き分けもいい。

こういう子が増えると楽なんだけど、今は子どもたちになつかれすぎて、寄ってくる子どもたちをちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返して、楽しいけどとにかく疲れる。



疲れて帰ってきた俺をアスカの手料理が迎える。


こんな日々も悪くないなと思う。


折しもバスケの東くんとの間で、もうけ話になる。

俺のパソコンスキルを活かして、なにか事業が出てきたりしないかな、という話だ。


俺のパソコンスキルとなると、ホームページ作成、サーバー作成などだ。


それで一儲けしようという考えだ。


俺も、それなら今の仕事に差し支えないし、割りと簡単なことしかしなくていいから、甘い汁だ。


手始めに、知り合いのアロマテラピーのお店のホームページを手掛ける。

アスカにもデザインを手伝ってもらって、それは割りとすぐにできた。

売上は二割を会社に、八割を二人の給料にすることになっている。


初給料だ。四万円にもなった。

あとはクチコミで広めてもらう。


次の物件は割りとすぐに来た。

アロマテラピーのお客さんの知り合いのバイク屋さんだ。


こんな感じで繋げて仕事をするようになった。

もう少しで家賃もクリアできる値段になる。


俺の胸は想像で高鳴った。



ご飯を食べながらアスカが言う。

「その仕事ってほんとに大丈夫なの?あとでお金が必要になりました、とか言っても出すお金はないよ?」

「大丈夫だよ。俺のスキルさえあればあとは何もいらない会社だから」

「ふぅん、それならいいけどさ、あたしは嫌だよ、ゴタゴタに巻き込まれるのは」

「大丈夫、大丈夫」


元手がない会社だ。利益はあっても損はない。

いつか、この会社を大きくして、ビルなんか借りたりしちゃったりして。

くぅ〜、俺って天才。



俺の妄想は当たらずも遠からず、だ。

思っていた通り、一定に近い収入が生まれた。


これで俺もやっとゴールインできそうだ。




アスカは大喜びする。

まだアラフォーになる手前で結婚できると知ったからだ。


アスカに、結婚式、したい?と聞くと、うんうん、したい!と言う。


結婚式するなら、あと何年か待たないとなぁ、と俺が言うと、アラサーのうちならいいよ!と返事した。


俺は馬車馬のように働いた。オフィス光の仕事も、バスケの仕事も、東くんとの共同事業も、休むことなく続けた。

休むことなく続けれたのは、アスカの美味しい料理のおかげもあった。

アスカがいるから俺はいる。

そんな一体感を味わった。


ところが、共同事業の方は特に宣伝してきたわけでもないので、たま切れしてきた。

広告に載せてもみたが、今は類似企業が多く、仕事がこなくなってきた。

どうしよう……と頭を抱える俺に、救いの手が差しのべられた。

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