AI 第14話 砕け散る矜持、そして届かぬ叫び
――ズシン、ズシン……。
エンシェントドラゴン・亜種が、苛立ちを露わにするように太い尾で地面を叩きつけた。
先ほどまで「羽虫」程度に思っていた存在たちが、自らの爪を一時でも止めたことが、このBP7万の捕食者の自尊心を逆撫でしたらしい。
「グガァァァァァァァッ!!」
先ほどとは比較にならない、耳を劈く咆哮。
大気そのものが燃焼し、呼吸をするだけで肺が焼けるような熱気が戦場を支配した。
「くるわ……ッ! 全員、回避に専念して!」
叫ぶと同時に、リルの本能が最大の警告を発した。
ドラゴンの喉元が、マグマのように赤黒く脈動し始める。
BP7万から放たれる「吐息」
――それはもはや攻撃ではなく、地形の書き換え、事象の抹消に等しい。
「パプポシールド、パプポシールドォォォ!!」
「全力全開プピ!!」
「死なせないポピィィィ!!」
三姉妹が血の涙を流しながらロッドを振るい、七色の防壁を幾重にも重ねる。
だが、放たれたのは単純な炎ではなかった。
――『虚無の咆哮』。
真っ黒な光線が、音もなく世界を薙ぎ払った。
パリン、パリン、パリンッ!!
絶対の防御を誇った「パプポシールド」が、紙細工のように容易く霧散する。
「あ、あああぁぁぁ……ッ!?」
「そんな……私たちの、力が……」
衝撃波の余波だけで三姉妹は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられて動かなくなった。
さらに、その余波は前衛の二人をも襲う。
「ニュンさん! ウーベ!」
「くっ……『ニュン・メガウォール』……がはっ!」
必死に展開した魔力球を正面から砕かれ、ニュンが真っ逆さまに地面へ沈む。
「熱血で……耐え……きれ……」
ウーベが折れた剣を盾にしたが、その巨体は木の葉のように舞い、大岩へと叩きつけられて沈黙した。
わずか一撃。
三姉妹の加護も、仲間の執念も、BP7万という圧倒的な次元の壁の前では、ただの無駄な足掻きに過ぎなかったのか。
土煙が舞う中、静寂が訪れる。
動けるのは、雷輝纏装で辛うじて直撃を免れたリルと、未だ「獄」を完成させられずにいるモッスンだけだった。
「……あ、ああ……」
リルは震える足で、横たわる仲間たちの姿を見つめた。
パピーの桃色の髪が泥に汚れ、ウーベの自慢の大剣は原型を留めていない。
「……う、動けスン……動くんだスン、ワシの体……!」
モッスンが、血を吐きながら叫んだ。
その体はすでに限界を超えている。
大地から吸い上げた魔素が、神としての彼の肉体を内側から崩壊させ始めていた。
右腕は肥大化しすぎて皮膚が裂け、そこから黄金の血が噴き出している。
「モッスン様、もうやめて! これ以上はあなたの体が持たない!」
「黙るスン、リル! ワシが矛を振るわねば、あいつは止まらないスン! 仲間の犠牲を、無駄にするわけにはいかないスン!!」
モッスンの執念が、ついに臨界点に達した。
彼の背後に、巨大なベヒーモスの幻影が実体化する。
「――秘奥義、『地の怒り・全獄砕』ォォォォ!!」
モッスンが地を蹴った。
時速数百キロの弾丸と化した巨漢が、右拳に全魔力を込め、ドラゴンの胸元へと肉薄する。 BPは一時的に、4万を超えていた。
ドォォォォォォォォォォォン!!!
この日最大の衝撃が神聖の森を揺らす。
ドラゴンの巨体が、わずかに浮き上がった。
モッスンの拳が、その硬質な鱗を食い破り、内側へとめり込む。
「やった……!?」
リルの瞳に希望の光が宿る。
だが、その希望は瞬時に凍りついた。
ドラゴンは、苦悶の声一つ上げなかった。
それどころか、胸に突き刺さったモッスンの拳を「無視」して、その巨大な顎を開いたのだ。
「……え?」
モッスンの顔から、表情が消える。
ドラゴンの口内、収束する黒い魔力。
「……リル、逃げ……」
ドォォォォォォォォォォォォォンッ!!!
至近距離、回避不能。
零距離で放たれたブレスが、モッスンを飲み込んだ。
「モッスン様ァァァァァァァッ!!!」
光が収まった時、そこには片腕を失い、全身が炭化しかけた巨漢が転がっていた。
神界最高戦力の一角が、文字通り「塵」のように排除された瞬間だった。
◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
静寂。
風の音さえも聞こえない、死の支配する空間。
リルは、立ち尽くしていた。
手には折れかけたフェンサンダー。
周囲には、動かなくなった大切な仲間たち。
(……なんで。どうして。私たちは、必死に守ろうとしてきたのに)
一歩、また一歩と、エンシェントドラゴンが近づいてくる。
巨大な質量が近づくたびに、地面が絶望の音を立てる。
ドラゴンの瞳に映る自分。
白銀の肌は汚れ、目は赤く染まり、震えている小さな虫。
(博士……言っていたわね。絶望した時は、この腕輪に魔力を込めろって)
手首で冷たく光る『時の腕輪』。
異世界の文字『みんなのコンピュータ』。
(すべてを、やり直す……? そんなことができるの? でも、そんなことしたら……今のこの人たちは、どうなるの?)
背後の仲間たちを見る。
彼らを見捨てて、自分だけがやり直すのか?
それとも、このままここで、無惨に食い殺されるのを待つのか?
「……だれか」
掠れた声が漏れる。
「……だれか、助けて。私じゃ、もう、守りきれない……」
その時。
絶望に染まったリルの視界に、不自然なほど赤い、一房の髪が揺れた。
「やれやれ……。言わんこっちゃない。やっぱり『相手』が悪すぎましたねぇ」
戦場の中心。
崩壊した大地の真ん中に、いつの間にか「彼」が立っていた。
着流しをだらしなく羽織り、腰に刀を差した風来坊。
フェニックス・ゴトー。
彼はリルの方を一度も見ず、目の前のBP7万の化け物を見上げて、鼻を鳴らした。
「お嬢さん、ちょっとそこで目を閉じててくれませんかねぇ。あんまり派手なのは、趣味じゃないもんで」
「ゴトー……さん……? 逃げて、あなたは一般人よ……! 死んじゃう……!」
リルの叫びに、ゴトーは初めて腰の刀に手をかけた。
その瞬間、戦場を支配していたドラゴンの殺気が、ピタリと止まった。
いや、ドラゴンが「怯えた」のだ。
「一般人、ねぇ……。まあ、そう見えてるなら、そいつが一番いいや」
ゴトーの周囲から、魔素が消える。
代わりに立ち昇るのは、純粋すぎて、もはや「無」に近い、圧倒的な神気。
「――お掃除の時間ですよ、トカゲさん」
ゴトーが刀を数センチ、鞘から抜いた。
その瞬間、リルの『時の腕輪』が、かつてないほど激しく熱を帯び始めた――。
文体を維持してるっぽい。
こっちの方が、面白くない? プロ?
自分用にパクる要素メモ
1 怒って攻撃して来る
2 虚無の咆哮
3 『ニュン・メガウォール』 (多分、盾の強化版)
4 モッスン体が耐えきれない
5 地の怒り・全獄砕 ※カッコいい必殺技来た!
6 モッスンやられてしまう(ムゴい)
7 ゴトー登場 (自分のシナリオよりだいぶ早い)
こっちの方が、展開早くて面白い? 腕輪光った!




