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内戦の勇者

 誤解を解き、マリアと打ち合わせを終えて唯夜はヒューベルに戻った。戦争の準備を整えるように諸将に命じた後、侍従のエリウが唯夜に耳打ちする。

「イリアス王女殿下が主様にお話があるとのことです」

「わかった。すぐ行く。部屋に人払いと遮音の魔術をかけておいてくれ」

「かしこまりました」

 唯夜はイリアスに当てがった部屋へ向かった。部屋の椅子にはイリアスだけが座っていた。彼女はこのそこまで広くもない部屋を持て余しているようであり、ベッドや椅子、トイレや浴室のみを行き来しているようだった。

「来てくださったのですね。わざわざ申し訳ございません」

「いいよ。それでどうした?」

 唯夜も椅子に座り、話し合いを始める。

「私の名はイリアス・フランベル。前王の第一王女です」

「その影武者かな」

「いいえ。違います。影武者でも僭称者でもない真の王女です」

 唯夜は頭を掻いた。彼女の目は真剣で、嘘をついたりしているようにはどうしても見えなかった。これで演技ならもう何も信じられない。

「王女はゴエティアの切り札のはずだ。なんで俺のところに?」

「ゴエティア卿は私の代わりに私に似せた女奴隷を貴方の寝所に送ろうとしました。ですが私がその奴隷を逃し、貴方の寝所に潜り込みました」

 彼女は言葉を切る。

「でも危険だったはずだ。俺が証拠隠滅を図って君を殺すかもしれないし、戦いに巻き込まれて殺されるかもしれない。なんでわざわざそんな危険を?」

「…私は自分の運命を変えるために…貴方に会いに来ました。私は王になりたかった。でも今のこの国に私の居場所はない。ゴエティアはこの国を私にくれると言いました。でも彼と彼の一派は私を慰み者にしたのです」

 声を震わせて彼女は告白した。唯夜が止めようとしたが彼女は首を横に振った。

五年前の震災の日、川に落ちてしまった彼女は運よく一命を取り留めたものの、奴隷商に売り飛ばされてしまった。処女を奪われる以外のあらゆる暴力を受け、男への奉仕を徹底的に教え込まれた。その後、気まぐれに奴隷市場を訪れたゴエティアが彼女が王女であることに気付き、購入した。そして王女として擁立したものの、貴族たちを集めるための性奴隷としても利用した。ゴエティアは彼女を即位させた後、自らの妻にするつもりであるという。

彼女は実際に唯夜を見て信頼できると判断し、ゴエティアを捨てて唯夜の力を借りて国を手に入れるつもりのようだ。実権はなくとも自分が安心して暮らせる場所を求めているらしい。

「もうあんな日々は嫌。利用されるのは嫌。国が欲しい。私の居場所がほしい。唯夜様、私にください…。もう自分を奪われたくないのです。お願い…」

 今にも泣きそうな声で彼女は懇願した。

「…俺はマリア陛下の騎士だ。君を王に仰ぐことはできない。もし俺がマリア陛下を裏切って敵対してた君を王にしたとする。王になった君は俺を信頼できるか?」

「…」

「国はあげられない。でも君が安心して暮らせる場所がここにあると思う。君がここで生きていくなら俺はできる限り君を守る。検討してみてくれ」

 唯夜は笑う。

「…本当に私を守ってくれますか…?」

「ああ。約束する」

 イリアスは声をあげて泣いた。唯夜は黙って彼女の背中を摩っていた。



 翌日、王国全土に国賊夜渡祇唯夜とその部下に対する征討令が下った。唯夜は次期上級王クルルや将軍たちからの支持を受け、ヒューベル族の上級王に就任し、ホーストン王国に対して宣戦布告した。

「ご武運を。我らが上級王」

 クルルが唯夜の見送りに来た。

 唯夜は苦い顔をする。

「ねえ、俺、ほんとに上級王になる必要あったかなあ?」

 上級王になったのは唯夜の意思ではない。クルルや群臣らの要請により仕方なく名乗ったのである。

「必要です。事を成すまではこの茶番を悟られてはいけません。王を名乗ればより反乱軍らしく聞こえますので」

「これ終わったら退位していいんだよね?」

「いけません。上級王の座をこれ以上空位のままにしておくわけにはいきません。これからもどうかお見捨てなく」

 クルルは笑って唯夜を送り出した。

 唯夜は三万の兵を率いてホーストン王国領に侵攻し、マリアとの密約通りゴエティアやその親派が支配する王国南部に攻撃を仕掛けた。ゴエティアの甥ヘルリオン男爵が治めるマルロ地方に侵入、守備隊を一撃で粉砕した。

「セレス、カルルック、トゥイア、アリクブケ。それぞれいいな!」

「「はっ!」」

 唯夜は軍を五つに分けてそれぞれゴエティア傘下の貴族たちの領地を襲わせた。唯夜率いる本隊一万騎はヘルリオンを捕虜にし、そのまま前進した。夜渡祇軍の侵攻は風のように速く、戦闘を想定していなかった貴族たちを蹴散らし、討ち取り、捕らえた。ゴエティアは兵士を招集したが民兵たちは召募を渋り始めた。夜渡祇軍は侵略に先立って貴族たちの領地に夜渡祇唯夜とその軍の悪逆非道さをかなり誇張した噂を流しておいたのだ。夜渡祇軍は敵を一切の呵責なく焼き殺し、抵抗した者は降伏したとしても皆殺しにされる。恐怖はあちこち村落に伝染し、徴兵を拒むようになっていたのだ。

「おのれ…。村をいくつか焼いてでも兵を集めよ! 数合わせにはなるはずだ」

 苛立ちを隠そうともせずゴエティアは部下たちに叫ぶ。

「しかし…どれだけかき集めても正規兵は一万二千ほど。他に一個騎士団しか…。敵は三万五千騎。しかもあの夜渡祇伯が率いています。いくら数で互角に立てたところで平原が多いこの地で戦っても勝ち目はないと思われますが…」

 従者が言う。

「貴様、これは我らの正義のための戦いだ。強きホーストンを復活させる聖戦に、我ら栄えある貴族連合が道理の知らぬ蛮族に敗れると貴様はそう言いたいのか!」

 手に持っていた鞭で従者を叩く。従者は呻き声をあげたが倒れることは許されなかった。

「そこいらの傭兵を雇え! 奴らを数で叩きのめせ! 本国に救援を求めろ。賊軍が相手だ。儂のことが気に入らずとも救援に向かわずにはおれまい!」

 そう言って彼は気付いた。なぜ夜渡祇軍がこの地を攻めたかについて。最初は穀倉地帯である王国西部へ向かうために通過したと考えていた。夜渡祇軍の輜重部隊は少なく、あまり兵糧を持っているようには思えなかった。だからこそ豊かな王国西部を拠点とすると考えていた。しかしそれが誤りかもしれないと彼は気付いた。夜渡祇軍はコリント軍との衝突を避けて王国南部へ攻めてきた。しかしそれではヒューベル領が無防備だ。そんな愚策を夜渡祇唯夜がとるであろうか。

「…そういうことか…! マリアめ、私をここで葬る気だな…!」

 ゴエティアは拳をデスクに叩きつける。従者は目を閉じて肩を震わせた。彼にとってゴエティアは忠誠を尽くす主君であるとともに恐るべき暴君でもあった。

「王と夜渡祇めは和解したのだ。夜渡祇軍を叛乱軍と称し、我らを滅ぼさせる算段だ。マリアめには儂を滅ぼす名分がないからな! 考えたのは誰だ。夜渡祇か、クロムバッハか!」

 ゴエティアは至急、軍を集めた。子飼いの貴族たちには可能な限り軍を集め、ゴエティアの本拠地であるバルトアレスにまで集結するように命じた。全軍が集結すれば五万四千にもなる。十分に渡り合える数になる。

 しかし彼の元に五万の兵が集まることはなかった。

「ドン・バンガオ様の軍が夜渡祇軍の攻撃を受け、壊滅しました!」

「カルファー男爵閣下の部隊、敵の伏兵に遭い、敗走!」

「シュトゥライユ将軍の騎士団、全滅!」

「トゥルイエン様が戦死なさいました。麾下の兵も逃げ散ったようでございます」

 軍を分けたヒューベル軍は各々、バルトアレスに向けて進軍していた貴族たちの軍の半数以上を倒していたのだ。バルトアレスに到着できたのは一万二千ほど。バルトアレス軍と合流しても三万六千ほどにしかならなかった。しかし数の上ではヒューベル軍を上回っている。戦術次第では十分に勝機はあった。

「城に立て籠もり、状況の変化を待ちましょう。奴らの補給線は長く、早期に決着をつける必要があります。加えて騎馬民族は攻城戦に不慣れ。城壁に拠って戦えば我が軍の勝利は疑いなし」

 マルクレーヌの発言に諸侯らは賛同する。ゴエティアも首肯して籠城戦を選択した。兵糧に限界があるため民間人を追い出し、籠城態勢に入る。城門を固く閉ざし、弓矢や弩を配備し、ヒューベル軍を待ち構える。

 翌日、ヒューベル軍が地平線の彼方から姿を見せた。物見が鐘を打ち鳴らす。兵士たちの表情に緊張が生まれる。

「全軍戦闘準備!」

 マルクレーヌは将兵に命じた。

 それが彼らの悪夢の始まりだった。

 ヒューベル軍は城を包囲し、投石車による攻撃を開始した。しかし投げたのは石だけではない。これまでの戦いで殺した敵の首や腕や脚、死んだ牛馬、糞尿、てつはうのような陶器に火薬を詰め込んだ爆弾などを容赦なく投げ込んだのだ。

 兵士たちは混乱状態に陥り、阿鼻叫喚地獄と化した。

「俺に城攻めはわからん。前は捕虜とか傭兵にやらせてたけど」

 唯夜は力攻めをするつもりはなかった。バルトアレス城の城壁は堅固であるし、ヒューベル軍は攻城戦に向いていない。無理に攻めれば不要な犠牲が出る。しかし同時にこの城を落とすビジョンを見ていた。

「人体や火薬武器を投げ込んで士気を下げ、死体とか糞とかを投げ込んで感染症を蔓延させる…てことか?」

 冷や汗を浮かべて悠一郎が言った。

「うん。元の世界にあった戦法だ。悲惨なことになるし後始末が大変だから使いたくなかったけど城に籠って戦うなら仕方ない。それに俺の領地になるわけでもないし民間人もいないしいいかな」

 ゴエティアは絶えず届く報告に頭を痛めた。糞便や腐乱死体の異臭が彼の居館にまで届く。しかしその次に届いた報告は更に彼を苦しめた。

「食糧庫が焼かれただと⁉」

「雇い入れた傭兵共が叛乱を起こしたようです。残る食糧は二日分を残すのみです…」

「おのれ…!」

 彼は室内の観葉植物を蹴り倒した。

 唯夜は征討令が発令される前に秘密裏にバルトアレス領の傭兵たちを雇っていた。口止めをするとともにゴエティアに雇われ、籠城戦となった場合は食糧庫を焼いて城門を襲うように依頼していた。

 ヒューベル軍の攻撃が止まった。代わりに兵士ではない人々がヒューベル軍に引き出されていた。女や子供ばかりである。

「おい…あれ…」

 城壁を守る兵士たちはざわめいた。

「俺は夜渡祇唯夜だ。デオン村、ホギュル村、べベロ市、ルゴン村、ベオ城…」

 唯夜は貴族たちの領土にある村落の名を読み上げていった。拡声魔術によりその声は城内全域に届いている。

 夜渡祇唯夜の名前を聞いた途端、兵士たちの顔色が変わる。

「この者たちは以上の村落や城塞から連れてきた。これ以上抵抗するならこの者たちを火炙りにする。城から出て降伏しろ。お前たち自身と家族の命は保障する。拒めばヒューベルの悪魔の虐殺を見ることになるぞ」

 城兵たち全員に寒気が走った。彼らが伝え聞くヒューベルの悪魔は老若男女問わず敵対した者を虐殺する。そんな敵の降伏勧告を断ればどんな目に遭うか。彼らは想像せざるを得なかった。食糧の焼失や投げ込まれる人や家畜の死体、糞尿、火薬兵器などですでに戦意を失っていた。

 崩れたのは徴兵された民兵たちだった。元からゴエティアら貴族への忠誠心などない上に強制的に連れてこられて戦わされている。最初から戦う理由などなかったのだ。傭兵たちと合流し、門への攻撃を開始する。騎士ら正規兵は民兵に斬りかかって城門を守ろうとした。

「騎士を討ち取れ! 将軍を殺せ! 貴族を狩れ! 首を持ってきた奴には褒美をやるぞ! 金貨百枚だ!」

 城外から響くその声で全てが決した。傭兵・民兵と騎士・正規兵の殺し合いが始まった。誰かが城に火をつける。あちこちで火の手が上がる。やがて城門を守る騎士たちが殺され、城門が開かれる。兵士たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

門が開くと同時に夜渡祇軍も突入を開始した。抵抗はほとんどなかった。総指揮を執るマルクレーヌ将軍や主だった将校らが民兵たちに襲われ、自身の身を守るので精一杯で指揮を執っている余裕などなかったからだ。

唯夜は部下を率いてゴエティアの居館に押しかけた。護衛兵を斬り殺し、執務室に突入する。唯夜は初めてゴエティアと対面した。

「あんたがゴエティアか。よーくもこれまで足を引っ張ってくれたな」

 剣を突き付ける。

「卑賎な異世界人め。儂に手を出せば帝国が黙っていないぞ!」

「帝国か。元から叩き潰すつもりだ。お前はその邪魔になる。だからここで潰す」

 兵士たちがゴエティアやその他の貴族たちを拘束する。エレンに与えた一隊が奴隷たちを解放した。エレンの友人も無事、救出されたらしい。残った兵は投降し、捕虜となった。

 戦いは終わり、城にはヒューベル軍の旗が翻った。

 その旗を見上げてセレスが言った。

「このような戦い方もあるのですね」

 将兵は半ば信仰に近い目で唯夜を見た。彼らは城攻めに慣れていない。その兵士たちを率いてホーストン随一の堅城を僅か一日で陥落させた彼の智謀はまさに神懸かっていた。

「今から言うことは自論だから聞き流してくれ」

 そう前置きしながら青年は城壁から南の空を見た。

「戦いは八割がた戦う前の準備で勝敗が決まる。矢を射掛け合い、剣や槍を突き合わせ、騎馬をぶつけるのはそれまでの準備の清算だ。戦場に到着して開戦の銅鑼を鳴らす時には戦いの結果は決まってる」

「なるほど。では残りの二割は?」

「なんにでも想定外のことは起こり得るもんだ。災害だったりミスだったり病気だったり。そういう想定外の事態を避けることも事前の準備に入るけどどうしても避けられないことは起こる。それが二割だ」

 唯夜は壁にもたれかかって笑った。これは何も戦争だけに言えることではない。受験などもそうだ。試験までどれだけ努力を積み重ねてきたかで勝敗が分かたれる。何かに臨む際はしっかりと用意をしておくこと、それが師の教えであった。

「準備をしてくるのは敵も同じ。だから重要なのは敵の準備を整えさせず、自分たちは準備万端の状態で戦いを挑むこと。速さだったり奇策だったり使えるもんは何でも使え」

「肝に銘じておきます。唯夜様がいた時代には戦争はありますか?」

「あるよ。俺の国にはないけど。でも俺の国は八十年前まで戦争してた。周辺諸国列強相手に戦って大負け。ボッコボコにされた」

 その時代に唯夜は生まれていなかったが戦争の悲惨さを伝え残すものはいくらでも残っている。忘れてはいけないもの、風化させてはいけないものがある。そして学べば学ぶほど戦争というものの姿が見えてくる。

「唯夜様のご家族に戦争に参加された方はいらっしゃるのですか?」

「知らん。俺、捨て子だったから家族いないし。六歳か七歳くらいまで一人で山の中で暮らしてたんだ。だから自分の年齢がいまいちよくわからんのよ。十七か十八かだと思う」

「あ…失礼いたしました」

 セレスは顔を青くして頭を下げた。

「気にすんな。地元ではこの話で笑い取ってたから。意外とウケるんだなこれが」

 当時の唯夜は戸籍がなかった。あったかもしれなかったがそれを確かめる術はない。自分の名前すら知らなかったのだ。それどころか言葉も話せなかった。

 唯夜はエレンの友人と会った。彼女は黒髪黒目の少女であった。七海と同じく日本人のような顔立ちをしている。

「は、はじめまして。伯爵様。助けてくださってありがとうございます」

 彼女はぺこりと頭を下げた。

「三好茜といいます。ホーストン王国軍で衛生兵を務めていました」

「俺は夜渡祇唯夜。日本から来た。多分君と同じじゃないかな」

「…! そうなんですね。同郷の人がいるようでよかったです」

 茜は笑った。

「俺も日本から来たんだ。姉ちゃんと」

 悠一郎が言った。この世界に来てから同郷の者と会うのは三人目だが日本人としか会っていない。

「それにしても良い友人がいて良かったね。エレンが君の状況を教えてくれたんだ」

「はい。一生の恩です」

 エレンと茜が並ぶ。

「伯爵様、友人を助けていただきありがとうございます。これからは閣下に忠誠を誓わせていただきます。何なりとご命令を」

「忠誠はまあ好きにすればいい。そうだねえ、戦場での俺の護衛を頼もうかな」

 今回の戦いでもエレンは決して派手とはいえないが手柄を立てていた。攻めるより防御が得意であるように見える。

「わかりました。必ず貴方を守ります」

「わ、私も戦います。怪我をしてもすぐに治せます」

「じゃあ君も俺の護衛で頼むよ」

 唯夜は茜も護衛に回すことを決めた。本当は後方に回したかったがこの世界に来て友人もエレンしかいないようで引き離すのは酷だと思ったのだ。かといって戦争はこれからも続く。エレンのような腕利きで馬に乗れる希少な人材を後方に回すことはできない。

 その後、唯夜は戦後処理に追われた。そしてコリント伯の軍がヒューベル領に迫ったという報告が届き、唯夜は予定通り降伏した。マリアは降伏を受諾し、兵を収めた。捕縛した貴族たちの証言でゴエティアの陰謀は暴かれて唯夜の無実が証明されたことにより征討令と逆賊認定は取り消され、叛乱を企図していたゴエティアの悪事の究明と討伐の勲功によって罪を許された。またマリア派に潜んでいたゴエティア派のスパイも検挙された。イリアスは姓と王族の位を剥奪の上、夜渡祇家の預かりとなった。

 これにて内乱は終結した。流れた血は多く、得た物はない。しかしこれは前進である。中立派の貴族たちもマリアへの恭順を示し、国内はほぼ完全に統一された。彼女は中央集権を果たし、各領主に対する絶対的な支配力を確立した。

「さて、ここまでは上手くいったな」

 唯夜はマリアへの謁見を終えて欠伸をした。


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