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新装備とかの購入って結構好きなシチュエーション

「やっと依頼受けてもらえたと思って個室取っておいたら数日遅れるって連絡から音信不通で、そこからドンパチの始まってここまで逃げてきたあたしの気持ちをなぁ!」


「落ち着け嬢ちゃん、ここは女子供の来るところじゃないぞ」


「あんたも女だろうが!」


「だが傭兵だ」


 少なくとも目の前の幼女っぽい何かに比べれば見た目は成熟しているし、傭兵としてそれなりに戦える。

 武器も持っているし、なくてもナノマシン強化された身体がある。


「それと大声を出すな、銃火器は繊細なんだ。唾が飛んでフレームの隙間に入って錆びたらどうする」


「そんな骨董品使っとるのは好事家かお前さんくらいじゃがな」


 おっと後ろから援誤射撃だ。

 とか言いながらガンショップの爺さんは俺の銃を興味深そうに見ているが。


「あ、ナイフ追加で。なんかいい感じの奴頼む」


「ふむ、見繕ってやろう」


 ちょいちょいと指を動かしてきたので右手を差し出すと、にぎにぎと触られた。

 ……セクハラという様子じゃないな、気分のいいもんじゃないが仕事的に手のサイズとかそういうの図っているんだろう。


「おい! 無視するな!」


「あぁすまん。で、あんたが荷運びの依頼人か?」


「そうだ! 強化インプラントの輸送、並びに護衛だ!」


「護衛は聞いてないぞ」


「あたしの身体にインプラントを取り込んでいるからな! つまりあたしが荷物だ!」


「なるほど、お荷物か」


「その言い方は語弊があるなぁ!」


 なかなかに元気なお嬢さんだが……少しは落ち着いてほしい。

 さっきまでこの近くでドンパチしていたんだ。

 下手に騒ぐと……。


「おらぁ! さっき俺達をコケにしたガキは……さっき俺達を殴った女じゃねえか!」


「誰だ」


「声かけただけでぶん殴ってきただろ!」


 ……そういやナンパもどきをぶん殴ったな。

 顔を忘れたわけじゃなく、顔の形が変わってたから見分けがつかなかったが……そうか、こいつらがドンパチしてたのか。


「とりあえずこのガキは売り飛ばすとして……てめぇらは楽しんでから変態おやじに売りつけてやるよ!」


 いきなり世紀末なセリフが飛び出したが……こいつらは馬鹿なんだろうか。

 確かに手にしている武器はでかいし、威力もすさまじいだろう。

 両手持ちで、しかも俺の腰回りよりでかいとなればその破壊力は言うまでもない。

 けど場所が悪い。

 酒場くらいなら十分制圧できるだろうけど、ここは腐ってもガンショップ。


「爺さん」


「もう動いとる」


 ウィーンという機会音と共に天井や壁が駆動し、ドンパチ男達が持っている銃よりもでかい、もはや大砲とも呼ぶべき代物が生えてきた。

 いわゆるタレットだな。

 対人用には少し物騒すぎるが、たぶん対物も考えられたオーバーキル必須の防犯装置。

 こんなコロニーでガンショップなんかやるならそれ相応の備えはあって当然、無くても弾入りの銃が手の届く範囲で早打ちも可能な状態で置かれているとなれば余裕だ。


「おい馬鹿ども。儂の店から出て行かなけりゃ赤い塵になってもらうぞ」


 爺さんの言葉に男達が顔を見合わせ、数秒。

 じりじりと後退しながらも俺達を睨み続けていた。

 うーむ、あれは絶対に何か企んでいるな?

 とはいえルディが船を守ってくれているし、特に問題は無いだろう。

 帰り道でお荷物をどうにかすればいいだけだが……あ、いや、ちょっとまずいか?


「爺さん、輸送システムはどうなってる」


「安心せい、あいつらが手を出すまでもなく出荷済みじゃ」


「そうか、なら安全だな?」


 荷物に爆弾でも仕込まれたらその時点で船の内側から木端微塵だ。

 まぁその心配も無くなったわけだ。


「じゃあついでにこの荷物も配送頼めるか?」


「おい」


 依頼人を指さしてみるとドスの聞いた声ですごまれた。


「冗談だ。あんたを運ぶコンテナに爆弾つけられたらたまったもんじゃない」


「その心配がなければ発想してたのか!?」


「それもありだとは思っていた」


 実際有りか無しかで言えばありなんだよな。

 出荷用コンテナって馬鹿みたいに頑丈で、あいつらの持っていた武器でも傷一つ付けられないだろうから。

 せいぜいここに設置されているタレットクラスじゃないと穴も開けられないんじゃないかね。


「メリナ、発送済みコンテナの監視を頼む。それとルディに連絡して最大限の警戒態勢。あとはそうだな……爺さん、この辺りで車は買えるか?」


「物によるな」


「頑丈で足回りに自信がある奴がいいな。自衛もできるともっといい。法に触れない範囲で、なおかつ拡張性も高いとありがたい」


「………………ARー487、軍の払下げ品でよけりゃうちで用意してやれる。オートタレット、手動砲、ミサイルポッド、ドローンを標準装備。拡張性はそこまでじゃないが八輪駆動でどんな悪路も踏破可能。最大速度は時速3000㎞、内部構造に戦艦の物を流用しているから安全性も高く装甲はそのまま宇宙に飛び出しても問題ない程度の気密性と頑丈性を誇る」


「いいね」


「だが高いぞ」


「言い値で買おう」


「ふん、流石に銀ならそのくらいの金は出せるか。ならさっきの弾薬とメンテナンス用品含めて5000ほど置いていけ」


「その倍出すから警備用ドローンも3ダースほど用意してくれ。船内警備と清掃の両方ができるやつ」


「いいだろう。商談成立だ」


 よっし、これで船内清掃が楽になるぞ。

 もともと俺とメリナの部屋清掃くらいしか使ってなかったが、最近は一緒の部屋で寝る事も多いし埃被ってる部屋が増えてきてなぁ。

 武器庫や倉庫なんかもあまり点検しないから少し埃っぽいし。

 あとルディの方は俺達だけじゃ清掃が追い付かないからな。

 ついでにあいつの体内というか船内を移動する事もできる足が手に入った。

 今はまだ徒歩で十分移動可能だが、小型の若い個体であるアロアニマだ。

 今後成長で全長数十㎞とかになったら流石に車がないと無理だしな。

 まぁ時速3000㎞はやりすぎにしてもどっかの惑星に着陸した時とか、今回みたいにコロニー内の移動に役立つだろう。


「というわけだ、車の中で大人しくしててくれ依頼人」


「レナだ。そう呼べ傭兵」


「アナスタシア、こっちは相棒のメリナ。俺はアナと呼んでくれよ」


 握手をすることなく、しかし傭兵用端末からは依頼開始のコール。

 正式に依頼人と出会い、ナノマシン認証で依頼者だと確認がとれた。

 さて……カーチェイスになったら楽しそうだな!

 あ、またメリナが……依頼人のレナもゲロ吐くかもしれないからゲロ袋貰っておこう。

 安全運転は心がけるが、とんでもない走り方しなきゃいけない場合もあるからな。

よいこのみんなー、おはあかねー。

こんな時間にごめんねー!

愚か者の茜おじさんだよ!

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