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アルカルディカ

遅れました!

 せっかくなんでアロアニマの造船というのを見学する事になったのだが……なるほど、これは参考にならないし、バグも起こらんわ。


「E17のスクラップを成形、完了後冷却してから右舷に装着」


「C21番は完了だよ、あとG94番ももうすぐ終わるー」


「こっち、T23から29までが遅れてる。少し手を貸してほしい」


 無数のアロアニマ子機が飛び交い、成型機とやらにスクラップぶち込んでは冷やして装着してを繰り返している。

 ……有人気を無人機に変える方法と同じ意味でのオートメーションかな?

 あの人権がない奴らを乗せたら実質無人機だよね理論。

 少し違うか?


 とはいえ実際成型機にぶち込んだのを完成後装着しているだけだし、作る工程そのものは完全自動で組み立ては人間がやるのと同じか。

 日本だと車一台作るにもネジ一本レベルで手作業が必要って聞いたことがあるが……大量生産はその次第じゃないにせよ全部品を向上のレーンでってのは無理だったはずだ。

 そう考えるとこいつは凄い技術なんだが……。


「で、お前は誰だ」


 俺の横をぷかぷかと浮いている小さな球体。

 エルザが使い、眼前で組み立て作業しているアロアニマ達の子機そっくりではあるがカラーリングが違う。

 エルザが派手な金色だったのに対してこいつは艶消しの入ったブルーだ。

 作業中の子機たちはみんなプロトタイプですとでも言わんばかりの灰色。


「貴女の船になるアロアニマです! どうぞよろしく!」


「あー……名前は?」


「まだありません! なので船名共々考えてほしいなーって思って……思いまして!」


「そうかしこまらなくていい。しかしそうか、船名と個体名は別々につけるべきなんだよな」


 こいつらの習性ってのを知らんかったからなぁ……。

 というかそれ以前にどういう存在かわからず、エイリアン扱いしていたくらいだし。


「ちょっと待ってろ、今サイコロアプリと電子書籍化したTRPGのルールブックを用意するから」


「待って!? どういう基準!?」


「俺、ネーミングセンス自信ないからランダム命名表使おうかなと。別名ダイス事故表」


「事故って言っちゃってる! 真面目に考えてくださいよ!」


「冗談だ。流石にそんな酷い事はしない」


 しかしどうするかな……アロアニマに合わせてラテン語にするか、それともホワイトロマノフに合わせてロマノフ王朝関連にするか。

 あ、そうだ。


「船名だがイースターエッグってのはどうだ?」


「イース……? なんですそれ」


「俺の故郷の隣国で作られたお宝の名前。もともとはそういうお祭りの時卵に絵をかいてどうこうするってイベントから名付けられたんだが、開けてびっくり中には繊細な彫刻やらオルゴールやらってな」


「なるほど、確かにそういう仕掛けですけど……ちょっとダサいです」


「む……じゃあ開けてびっくり繋がりでトイボックスは? おもちゃ箱って意味だ」


「もう一声!」


「じゃあアロアニマと同じ語源でアルカルディカ。同じくおもちゃ箱って意味で、お前の名前はルディでどうだ」


「いいですね! 採用!」


 気に入ったようでよかったが……これからが面倒くさいんだよな。

 まず船の登録をしなきゃいけないんだがお役所仕事で、場合によってはホワイトロマノフみたいに解体整備を言い渡してくる可能性がある。

 そうなってくるとアロアニマの中身は生肉みたいなもんだから大変な騒ぎになるわけで……。


「あ、彼女の登録はヘパイストスで済ませておきます。まだ他の惑星に知られると混乱するかもしれないので」


「助かる。だが依頼料の割引はしないからな」


「そんなけち臭い事言いませんよ。それより新生アロアニマの研究の際は少し手を貸してほしくて。如何せんうちは外の技術には疎いですし、他の研究棟の情報は伏せられやすいので世代遅れの情報しか入ってこないんです。なにより跡を継いだばかりの当主が他の塔にスパイ行為したら心証が悪いでしょう?


 スパイ行為の時点で心証も糞もねえなと思ったが黙っておこう。

 それよりだ……。


「そんなもん、適当に人員割いてそこら辺の星系で買うか星系オンラインスポットで電子書籍として購入すればいいだろ。最悪ハッキングって言う手段もあるし、アロアニマの個体差考えると軍の支援ってのは無理にしても傭兵くらいは行ける。実験と試験運用も兼ねて傭兵登録してデータ集めたら修繕名目でヘパイストスに寄港させてデータとればいい」


「なるほど! ですが直近で必要なデータはまだまだなんですよね。主に生産関係」


「そんなん、ここである程度済ませてしまえばいい。それからじっくりと武器の製造も研究していけばいいだろ?」


「知ってます? ここで清算される武器、つなぎ目がないんです」


 なん……だと……?

 アルマの言葉に固まってしまったが……そういう事もあるのか。

 うん、つなぎ目がないってのはつまり、ビーム兵器ならビームを撃つという動作をする部位から銃口まで全部一つのパーツで行われているという事だ。

 並の武器より頑丈になる一方で弊害も多い。


「じゃあパーツを作って、それを組み立てればいい」


 まぁ巨大3Dプリンターと思えば……あ、なんかさっき撃ち殺した男が成形機にぶち込まれていった。

 あぁしてアロアニマは産まれるんかな……。

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― 新着の感想 ―
名前が、“猫”になったり。(GURPSミステリアスキャッツより) 流石に“キャナル”、“ヴォルフィード”はマズイよね。
>「ちょっと待ってろ、今サイコロアプリと電子書籍化したTRPGのルールブックを用意するから」 >「俺、ネーミングセンス自信ないからランダム命名表使おうかなと。別名ダイス事故表」  暴食さんと同じ事し…
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