表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/106

考えるな、感じろ

 しばらくブラッシュアップしてできたモデルを三つマザーに提出したところ……。


「はぁ、やはり人間の感性というのは素晴らしいのですね。私達では絶対に出ない発想です。特に最後の!」


 絶賛だった。

 いや、まぁアロアニマという特性を最大限生かしつつ、俺が操縦できるギリギリをせめているからね。

 自分たちの性能だけでひゃっほ―しているこいつらには出てこない発想だろう。


「お前らは確かに凄いんだけど、パイロットの事を考えてないからな。誰かに操縦桿を任せる場合と、中の人間の事を気にせず動ける場合の両方を加味するとこういう形式になる」


「そのようですね。ちなみにボツにしたデザインもいくつかあるようですが……」


「見た目のカッコよさとかに振り切って実際には使い物にならないぞ? 古い海上用戦艦とか、空中戦闘機をモチーフにした物もあるからな」


「見せてください」


「あっはい」


 圧に押されてデータを見せる。

 ……破棄してなくてよかった。


「ふむふむ、確かに宇宙空間では使いにくいという物も多いかもしれませんが改良すれば使えそうですねぇ」


「逆にその戦艦型の奴なんかはアロアニマらしさが抜けてるから人間の船に紛れやすいと思うぞ。そういう意味じゃステルスシップ扱いになるかな」


「そうですね。私達のボディは良くも悪くも目立ちますから」


「そっちの戦闘機型は地上に降りることを考慮しなければ文字通りのステルス機能も高めだ。正直俺はあまりそっち方面好きじゃないのもあってボツにしたけどな」


「なるほど、この形状がレーダー反射を防ぐと……勉強になります」


「あとはそこの合体スーパーデラックス号なんかは複数のアロアニマの機体を合わせる事で疑似的に巨大人型ロボットになって、理論上は惑星サイズの宇宙怪獣も一撃で屠れるエネルギーを用意できる」


「なんと素晴らしい!」


 なおそれを行うには司令塔となるアロアニマに加え、ちゃんと言う事を聞いてくれる奴らが2機は必要になってくるのでノリで作ってボツにした。


「エルザ! あなたはこの機体に換装しなさい!」


「でもマザー、子機はどうするの? グスタフいなくなったし新しく造るのも時間かかるでしょ」


「彼がちょうど一人素体を用意してくれました! あとはあなたに懐いている子を適当に見繕うといいでしょう!」


「ふぅん、じゃあさ。このハイパーメガ粒子キャノンっていうのつけてほしいな! 見てよ、めっちゃ可愛くない?」


「あら可愛らしい。けど威力は十分みたいですね」


 よくわからない女子トークが始まったが……可愛らしいってサイズの事か?

 大型戦艦の主砲よりでかいサイズの物体なんだけどな……小型艦よりもでかい30m級砲塔。

 ぶっちゃけ並大抵の相手だとオーバーキルで、ぶっ放した瞬間艦隊が消滅するような威力してる。

 それを可愛らしいとか、十分とか……俺はもしかして与えたらいけない知識あげちゃった?


「なぁ、メリナ……」


「……アロアニマと人類の接触は今のところ公にはされていませんから」


「それって出会った奴がみんな死んでるとかじゃないよな……」


「謎の宇宙船の目撃情報はちょいちょいありますし多分違います……ほら、現にヘパイストスの方々とは共存してますし」


「よし、俺達の事は内緒にしてもらおう」


「それが無難かと」


 こそこそと、俺達のみの安全のための会議を開いたところで結果はすぐに出た。


「よし、じゃあマザー。俺達の事を秘密にしてもらう対価にこのデータを全部やる」


「いいのですか?」


「おまけが貰えるならそれも貰うが……本命は別にあるからな」


 そう、アウラアストルムという特大の本命だ。


「俺が考えたのはどれがいいとか言ってたりするか? 本人の希望に従う事にしたが」


 ぶっちゃけ出撃用のハッチとか潰されてもこいつらなら破損個所の金属パージして無理矢理射出くらいはできる。

 いざという時の事を考えればその辺は全部飾り扱いできるしな。


「三番目の大胆な変形が気に入ったようです。私達に雌雄の区別はありませんが、精神的な面ではそういう物も無きにしも非ずで……」


「あー、割と男の子してる感じか?」


「精神的には雌ですが、男児の好むようなものに吸い寄せられる傾向がありますね」


 あぁ、まぁジェンダーレスな社会だしそういうのは普通に歓迎するんだが……女所帯だな。

 元男の身としては肩身が狭いというかなんというか……。


「ちなみにあなた方から頂いた少年漫画も少女漫画も面白がってましたよ。あとは男女のまぐわいについて描かれた作品やあなた方の夜の営みなんかも……」


「ノイマァアアアアン!」


 お前何送り付けてやがるマジで!

 というか俺達の寝室カメラ機能オフにしてたはずだぞ!

 いつの間に撮影しやがったこの野郎!


「てへぺろ」


「お前のアカウントで怪しいサイトに片っ端から登録してやる……」


「じゃあそのサイト全部潰しちゃうね?」


 ダメだこいつに嫌がらせで勝てる気がしねえ……。


「あぁ、それと調べていたレアメタルですが全てありますよ。問題なくあの外装は作れます。というか今作っているのであと3時間という所でしょうか」


「いや早いな?」


「このくらいはオートメーション化していた所に新しいデータいれるだけですから」


「それってバグの元じゃない?」


「機械ならそうかもしれませんが、人間食べ物をちょっと変えたくらいで体調崩す人は少ないでしょう? そういう自動化です」


 ……俺、三日米くわないと眩暈がする体質なんだけどな。

 こいつらはその辺違うんだろうな。

 うん、深く考えるのやめよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ここに暴食さんを突入させたら、そりゃあもう、見たくない光景が繰り広げられるんだろうなぁ(遠い目)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ