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ルリルリ!?

「どうだ、なんとかなりそうか?」


「えぇ、ネットワークが構築されてますから対処は難しくないです。ただ随分とまぬけな事をしているので、トラップに注意が必要ですね」


 地下にメリナをエスコートして、まだ生きている電子パーツからハッキングを仕掛けてもらっている。

 内部構造はぶち壊せたけれど、装甲が頑丈だったのもあって地下空間の被害は無いに等しい。

 つまり妖精も生きているんだが、メリナがチラリと見てから「あぁ……」となんか思わせぶりな事呟いて無視してたから俺も放置。

 というかその妖精が今はすやすやと寝息立ててるからね。

 起こしたら機嫌悪くなりそうだからね。


「まぬけな事ってなんだ?」


「スタンドアローンの強みは外部からのハッキングを防げることです。ネットワークに繋いでいない電子機器はウィルスに感染しようがありません。無菌室にいる人間みたいなものです」


 あまりピンとこなかったが、例えのおかげで理解できた。

 メリナは今ウィルスの通り道を作っているのか。

 どんなもんぶち込むつもりかわからないけど。


「だけどスタンドアローン同士で繋いでしまった結果、一つの機器が見つかれば他も巻き込まれます。全部スタンドアローンで独自に動くようにしておけば問題なかったでしょう」


「時間が足りなかったとか?」


「それはあり得ません。この地下空間を用意するのはもちろん、これだけ大掛かりな物を設置するのであれば相当な年月を要したと思います。だというのに肝心のソフトが杜撰すぎる。宇宙船からパーツを盗んでいたのならハッキング対策も相応だと思いますが、それでも一般家庭の端末より少し上程度でしかない。明らかにスペックが違いすぎます」


 確かに宇宙船の対ハッキング能力は高い。

 並大抵のハッカーなら逆にカウンターくらって内部構造ぐちゃぐちゃにされる。

 俺がシミュレーターで散々やらかしたもので、ハッキングをメリナに全部任せた理由でもある。

 ……いや、ホワイトロマノフの演算能力なら余裕でしょとか考えてたら平然と対応してきて、こっちの生命維持装置とか普通にシャットダウンされるのよ。

 なんならエンジンオーバーフローさせて自爆もさせてくる。

 これはメリナ曰く、ホワイトロマノフの能力なら防衛は十分だけど、わざわざ門を開けて敵を迎え入れたような状態とのこと。

 普段なら鉄壁の防衛なのに、こっちから迎え入れて潰されたそうだ。

 防御力は高いが、だからこそ攻撃の時は慎重にと言われたな。

 事実メリナはここぞという時にしかハッキングは使わない。


「という事は……考えられるのは二つか」


「はい、本命の大物がどこかにあるか、あるいはこうしてハッキングさせること自体が罠という可能性です」


「どちらにせよ、対処のしようが無いな……」


「いえ、不可能を可能にするくらいは容易いですね。だからこそまぬけな事をしていると言っているのですが……」


「凄く不安そうだな」


「そりゃ不安にもなりますよ。相手が使ってるウォール、10年以上前の物体ですよ? こっちがガッチガチのフル装備で挑んだのに相手は骨董品の火薬式拳銃で応戦してきたとなったらどう思います?」


「え? 当たったら死ぬから徹底的に殺す」


「……そうでした、アナスタシアさん未開惑星出身者でしたね」


 ぶっちゃけ俺からしたら火薬式だろうがレールガンだろうがビーム兵器だろうが、当たれば死ぬ可能性があるから怖い事に変わりはない。

 ただPC関係は疎くても、言わんとすることはわかる。

 古い装備で最新鋭相手にしようとしている。

 絶対どこかに罠あるだろこれと考えさせている状況だ。


「敵さんはとことん意地が悪いと見える。こうして悩ませるのも時間稼ぎになるし、案外素直に行ったらいいんじゃないか?」


「惑星が崩壊しかねないのにそんな事できませんよ。銀河法ではどこに所属していようと故意に惑星を破壊すれば極刑です。宇宙海賊ですらこれには同意して仲間に引き入れる事はありません。文字通りこの世界全てを敵に回す行為ですし、今回の状況では突っ走ったという事実だけでアウト判定食らいますからね」


「マジか、こわっ」


 ホワイトロマノフの火力だとうっかりで星を破壊しかねないからな……覚えておこう。

 というかもっと早く言ってほしかった。


「あぁ、でも意地が悪いってところは同意しますよ。ちらほらと罠がありますけど、古い物から割と新しい物まで幅広いです。たまに誘ってるのかなってレベルの部分もあれば、想像以上に硬いウォールを用意してきたり、割とちぐはぐですね」


「……複数犯の可能性は? システム面が狂ってるのも、わざわざネットワーク構築しているのもそういう理由があったりしないか?」


「無いとは言いませんが……」


「状況から見てどうだって話なんだがな、正直一人の人間が犠牲になる程度で停止させられるシステム。ハッキングで全体を制御できるような状況、なのに手厚く用意されたアンドロイドとレプリカント、どうにも個人でやってるとは思えないんだ」


「……それはそうなんですが、ハッカーとしてはこの状況を楽観的に受け止められないんです」


「俺だって楽観的じゃないぞ。純粋に敵さんがどこかに潜んでいる可能性を考えるとヤバいかなって」


「そうなったら手動で……っ! 大正解みたいです! ポイントβ! 生体反応から手動による操作を確認! もう罠も何も無視して起動を阻止! 阻止成功ながらに罠を踏んだため他ポイントの機器も作動開始! え、嘘、ネットワーク拡大……数、100、200、まだ増えます!」


「どうする、逃げるか?」


 メリナの様子からしてヤバい状況なのは確定だ。

 となれば、最低限の人員だけでも連れて逃げるしかあるまい。


「ふぁ~、よく寝た。あれ、あんたら誰?」


「悪いが自己紹介してる暇はない。惑星がぶっ壊れるから俺達は逃げる」


「そうなの? じゃあこれ外して」


 こんこんと叩かれたガラスの器、面倒なので抜き打ちでビームをぶっ放して妖精に被害が無いよう上半分を吹き飛ばした。


「あっぶな……でも助かったわ。お礼にほいっと」


「え、あれ? 都市伝説だと思ってたのに本物!?」


「どうしたメリナ」


「全システムオールグリーン……トラップ全解除……ルート作成完了……強引に流し込んだウィルスが正しい道順を進んでシステムを破壊……全機器動作を停止しました」


「えっと、端的に」


「惑星崩壊の可能性0%です。ここからの復旧はどうやっても無理です。それこそソフトを丸ごと入れ替えないと……あ、いえ、でもこれ常に電流流れてるから交換は無理……無理矢理停止させるにしても物理的破壊以外できませんし、そんな事したら反物質の暴走で近隣が吹き飛ぶので……結果的に絶対に起動しない事が確定しました」


 マジか、この妖精ちらっと手を振っただけだったのに何をしたんだ。

 メリナは都市伝説とか言ってたけど、俺その辺疎いからなぁ……。


「ふふん、電子の妖精様にかかればこんなもんよ!」


 なんだこのうざいティンカーベル、デコピンしてやろうかな。

メリナ×アナスタシアもう少しお待ちください。

あのね、なんでか知らないけどアナスタシアがどうやっても受けになるの。

だけど割と傑作と言えそうな感じに組み上がってるの。

リバも含めて5本くらい書けそうなの。

マニアック含めると二桁行けるかもしれないレベルで構想が浮かんでくるので、一週間お待ちください。

とりあえず形にした物から順次公開していきます。

一部は有料プランだけどごめんなさい!

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― 新着の感想 ―
>ルリルリ!?  これで >「ふふん、電子の妖精様にかかればこんなもんよ!」  これに過敏に反応した人(バ◯ばっか)は、間違いなくアラフォー以上。
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