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生きとったんかワレぇ!

 訓練室目指す道中で敵を倒し、ついでにめぼしい物を拾っていく。

 通信機なんかは無かったが、使えそうな武器はいくつか手に入った。

 生体認証で俺には撃てない銃だが、鈍器としては十分役立つしエネルギーアモは用途を変えれば爆弾になる。

 あるいはどっかで電力が必要になった時とかに仕えるからな。

 しかしレプリカントはいい、あいつらは人体構造が人間や動物と変わらないから急所である心臓や頭、首なんかを切れば簡単に死ぬ。

 けどアンドロイドは首落としたくらいじゃ活動停止しないのが面倒なんだよな……四肢をぶった切ったとて自爆してくる可能性があるし、そもそもそんなに時間かけてられん。

 だからこそ持っている武器を最大限活用して、手持ちの、あるいは相手が使っている銃のエネルギーアモを誘爆させるに限るんだが……。


「数が多いな……」


 訓練室に近づくにつれて敵の数が増えていく。

 ご丁寧にレプリカントとアンドロイドを別行動させているから、アンドロイドの動力源爆破して一網打尽って手段は使えない。

 銃があればもう少し楽だったかもしれないんだが、ない物ねだりするほど余裕もない。

 というか訓練室に飛び込めば武器なんてある程度補充できるから破損を気にすることなく突撃してもいいんだけど……このボディで受けたダメージは知覚するから普通に痛いんだよな。

 俺とていっぱしの武闘家だから痛みには慣れているが、それはあくまでも打撃や絞め技による痛み。

 撃たれたり焼かれたりするのは不慣れだから一瞬動きが遅れる。

 そしたら次の瞬間には集中砲火受けて消し炭になるし、ベルセルク内での活動も不可能となる。

 如何せん着陸できない以上、ここで無茶するのは無駄死にと任務失敗の両方を意味するからなぁ……。


「そこの少年! こっちだ!」


「おん?」


 声のした方に目を向けると荷物……もとい、連合の依頼で送り届けたバ艦長、いや元艦長とその姉がいた。

 教室ひとつ使って籠城戦しているようだが、まるで相手にされていない。

 完全に無視されているな。


「お邪魔するよ」


「なんであんな危険なところに!」


「あの先に敵の本拠地があってね。訓練室の地下から通路が伸びている。宇宙で待機している仲間が教えてくれてな」


「訓練室……確かに妙に守りが厚いと思っていたが……ここに攻め込んでくる様子が無いのもそれが理由か」


「たぶんな。敵の別動隊はベルセルク本星を包囲する無人宇宙船と、シェルターを攻撃するアンドロイドとレプリカントの混成部隊。そんで訓練室の防衛部隊と威圧目的で適当に目についた相手を殺す遊撃部隊の四つだと思う」


「本拠地とやらには何がある」


「わからん。だが大量の反物質くらいは覚悟するべきだな。敵を見ればわかるが指揮官なんかいない。まともな人間もいないとなれば諸共消し飛ばそうと考える輩もいるだろうさ」


 ここに来るまで、そして暴動が始まる以前も犯人を捕まえた後も、敵の中に生身の……と言ったらサイボーグ化とかで語弊が出るが、それらしき奴は一人も見かけなかった。

 考えられるのは自爆、少なくとも養成所が吹っ飛ぶだけでもベルセルクや傭兵にとっては痛手となる。

 おひざ元で育てていた生徒たちをみすみす死なせたという事になるから、当然レベルが高いと言われている本星の手腕も疑われる。

 今後傭兵に対する目が変わるのは必須だ。

 そうでなくとも反物質ともなれば惑星を破壊する事も可能だからな。

 さすがに生中な量じゃ大陸を吹き飛ばして終わりかもしれんが、配置によっては連鎖爆発で惑星の環境を変えるくらいはできる。

 上手くやれば地表を抉って自壊させる事だってできなくはない。

 それだけ凶悪な物体なんだが……こりゃ下手しなくとも帝国だけじゃなくレッドカラーズも関わっているんじゃねえかな。

 傭兵って船持ってて、銭湯経験あるやつばかりだから仕事の当てが無くなって次にできる事って海賊行為だし。


「対処法は?」


「わからん。手持ちの端末じゃジャミングされているからこっちから連絡を取るのは無理だ。ただ相棒はこっちの動きを見ているから目標地点に辿り着いたら網を掻い潜って連絡してくるだろうし、端末を繋げばクラッキングしてシステムを停止させてくれるだろう。希望的観測ではあるが、9割以上の確率でそうなる」


 問題はその後、メリナがクラッキングを終えるまで持ちこたえられるかという問題に加えて、敵さんがそういう場合に備えていないと考えるのは軽率だ。

 絶対何かしらの罠があると思うが、俺にできるのは突撃だけ。

 だったらまずは目的地に辿り着かなきゃどうにもならんよな。


「援護はいらん。息を整える時間を貰えただけありがたいが、これ以上敵を自由にさせておくと中も危ないからな。俺は行く」


「待ちなさい、だったら私も行くわ」


「……いや、なんでそうなる」


「私達姉妹は連邦軍所属の軍人……だと今でも思っている。上の思惑は知らないけれど、傭兵としての技術を学ぶように命令を受けてきた。ならその方法を学ぶためにも同行するべきだろうし、なによりここにいる連中は気骨だけなら本職にも負けてはいない」


 教室内にいた生徒たちだが、各々が自主的に武器を手に取り不敵な笑みを浮かべている。


「そうだろ、お前達!」


「おうとも!」

「やってやろうじゃねえか!」

「ぶっ殺してやるぜ!」

「あの子の仇はうってやるわ!」

「ひゃははは! 汚物は消毒だぁ!」


 ……一部ヤバいのもいるみたいだが、士気は高い。

 もしかしたらこの教室がスルーされていたのは手出しすると被害が無駄に増えるからっていうのもあるのか?

 だとしたら、あの時とは違ってちゃんと上に立つ人物として成長しているのかもしれんな。

 多少の怯えを抱いているやつもいるみたいだが、今は熱気に飲まれ、そして目的を定める事でそれ以上のやる気を出している面々もいる。

 不安は残るが、俺一人じゃ限界もあるからな。


「死ぬ覚悟はできているか」


「どうだ貴様ら!」


「殺しもするんだ、殺されもするさ」

「今更だよなぁ」

「つーかここに逃げ込めてなかったら死んでたし?」

「一度は失ったと思ったけど運よく拾えたんだ。目の前でもう一度奪われるかもって状況で指くわえてられるかよ」

「好きに生き理不尽に死ぬ、それが傭兵の定め……」

「野郎オブクラッシャー!」


「見ての通りだ」


 見ての通り、やばい奴が混ざっているのは分かった。

 まぁ……今回指揮官は成長しているみたいだし、こいつらになら背中を任せてもいいかもしれんな。

 まぁ任せるのは背中と言うよりこの星と傭兵の命運なんだが。

12月から2本新作だしますぜ。

ひとつはロボットアクションのスペースオペラ。

最近完結した有名ななろう発の乙女ゲー&ロボアクションに触発されたまま書いた作品です。

もうひとつはネオページで連載中の異世界転生したハイエルフが召喚されたサイコパスな勇者とその一行を育てながら魔王討伐に向かう話です。

割とありきたりだけど私なりに色々解釈して作ったハイファンタジー。

科学と魔術が今交差する!

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