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アンドロイドボディ

 メリナに言われてアンドロイドのデータを確認すると、そこには男の夢と浪漫の詰まったようなものが並んでいた。

 いや、今は男じゃないんだけどこの世界医療技術も宇宙進出してるだけあって相当高くてな、女同士でも男同士でも妊娠出産できるんだよ。

 男同士の場合や、女の身体にブツをつけるのに外科手術が必要だったりするけれど、そこまでしなくても割とお手軽にアタッチメントでポン付けしたり試験管ベイビーだったりといった感じで。

 そしてその代表がアンドロイドであり、こいつを仲介するとなんかいい感じにDNAやらを卵子や精子からこねこねして子供ができるとか。

 最初に聞いた時は人類への冒涜かなとか思ったけど、厳しい宇宙環境だとそのくらいは必要なんだろうな。


「こりゃ随分と……」


「ふっふっふっ、会心の出来です!」


 もう一度画面を見る。

 アンドロイドの外見は人間にそっくりなのだが、これはオプションであり通常バージョンの場合は金属の人体模型みたいなのがスタンダードだ。

 護衛として近くに置くにしてもその方が威圧感与えられるしな。

 一方でメリナが作り上げたアンドロイドは滅茶苦茶美人さんだった。

 黒髪のウルフカットヘアに、程よいサイズのおっぱい、身長は俺とメリナの中間くらいで……あ、165㎝って書いてあるわ。

 オプションの外皮は自動修復機能付きで、ボディそのものにもナノマシンを使っているからちょっとした破損ならすぐに修復できる。

 動力は……なんでだろうな、反物質じゃなかったことに少し安堵している。

 核融合エンジンだけどな!

 そしてありとあらゆる場所に仕込み武器が用意されていた。

 手首より先からは指だろうが手のひらだろうがビームや炎をぶっ放すことが可能で、爆炎の勢い任せにぶん殴ることも可能。

 しかも手首からはブレードが出てくるので接近されたら握り潰されるかビームで直焼きか、刃物でぐっさり。

 腕にはブレード4本が仕込まれていて肘が回転することでドリルみたいに使う事もできる。

 二の腕にはガトリング、肩にはミサイルが仕込まれていて、肘にもブースターが装着されていてすんごい勢いで殴ってくる。

 脚はといえばひざ下にこれまたブレードと俺達でも使えるように仕込みナイフ、膝関節部にミサイル、太ももにも仕込みナイフ。

 背中には展開してブラスターとして使える砲門が四つ。


 ハードだけでこれなのだが、もっとやばいのはソフトウェアの方だ。

 インストールできる知識は片っ端から、それこそアングラな物まで全部突っ込まれている。

 例えば宇宙海賊の教本みたいなものとか。

 どっから手に入れたんだ……。


「なぁ、このアングラなのって」


「安心してください。足がつかないようにしてますし、妙な仕掛けは全部解除してあります」


「うんそうか、いやそっちも重要だけどどうやって手に入れた?」


「ハッキングは乙女のたしなみです」


「そんなたしなみがあってたまるか……」


「いやいや、恋人の性癖とか確認するためにも必要な技術ですよ」


「やめてやれマジで……あ、いや、今俺がその立場か……ってことは……」


「はい、夜のお供になってる動画サイトは大体検閲済みです。ウィルスは防壁で弾いていますけど気を付けてくださいね? それとあぁいうのは私には求めないで貰えると助かります……ちょっと目覚めそうだなと怖くなったので」


 oh……俺の性癖全部ばれてるわ……。


「こほんっ、話を戻すがコレ予算内に収まってるのか?」


「もちろんです。重量や全体バランスなども考えて遠中近全対応のボディガードですよ」


「ガードって言うかヒットマンじゃね?」


「いやいや、この子の心臓部にシールド発生装置仕込んであるので近くにいれば私達も反応弾の一発くらいなら耐えられますよ。それに素手で戦艦の装甲捻じ切ることもできるのでいざという時は射出して暴れまわってもらうのもありかと」


「……さてはあのシミュレーターもとにしたな?」


「使えそうなデータだったのでちょっと改良してアンドロイド用にしました。もちろん船の操舵に関してもこれまでの戦闘データと合わせて最適化をしていますからすぐにでもホワイトロマノフの操舵を任せられますよ」


「……そっかぁ」


 なんかもう突っ込むのも面倒になってきた

 うん、まぁ可愛くて強いとなれば男のロマンだから仕方ないね。

 メリナも俺も女だけど。


「じゃあこれで発注しておいてくれ」


「まだいくつかオプション付けられますよ?」


「これ以上何があるっていうんだよ……」


「例えば妊娠代理出産オプションとか、男性機能生成オプションとか色々」


「……何をさせる気だよ。まぁいい、好きなオプションぶち込んでいいから基本はこのコンセプトで頼むわ」


「あいあいさー。じゃあオプションてんこ盛りにして……あ、コア頂いてもいいですか?」


「貨物室のCー42番ボックスに入ってるから持って行け。俺はしばらく休んだらまた仕事に戻るから」


「はーい」


 そう言って楽しそうに、それはもう楽しそうにカタカタとキーボードをたたくメリナは目の下にクマを作っていた。

 こいつハイテンションだと思ったが寝てないな?

 後悔しても知らないからな、俺は……。

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