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早速のトラブル

「まもなくワープ抜けます」


「了解、念のためワープアウト直後に全周転レーダーにて位置管制と周辺状況の把握を頼む。トランスポンダーは常時オンラインにして傭兵であることを証明、船籍も記録させるように」


 トランスポンダーとは宇宙空間において船の存在証明ともいえるものだ。

 端的に言うなら……今ここにこういう船がいますよと言っているようなものかな。

 これを隠している奴は大体ろくなもんじゃない。

 偽造もできなくはないが、それこそ後ろめたい物がありますよと言っているようなものだ。

 まぁ、偽装の方は戦闘中なんかだとちょっとした悪戯に使えなくもないが隠していてもレーダー反応は存在するから基本的に隠す意味はない。


「はい。それにしても……」


「ん?」


「未開惑星出身なのに結構慣れてますね」


「そりゃまあ、あのコロニーで軟禁されてる間に学んだからな」


 半分くらいは本当の事だ。

 こっちの常識とか、宇宙空間での注意事項とか。

 おおよそ俺が知っているゲーム内設定と変わらなかったけれど、細かい所は知らなかったから助かった。

 ついでに宇宙空間における違法行為なんかも。

 トランスポンダーの偽装や隠蔽は基本的に即時撃墜が許可されるレベルの行為だ。

 状況によってそれも変わるので法は絶対じゃないというのがみそだな。

 いつどこで何が起こるかわかったもんじゃないから柔軟な対応が求められるというものだ。


「ん、通信です」


「どこからだ?」


「えーと、連邦軍警備艦隊ですね」


「繋いでくれ」


 連邦軍警備艦隊、要するにこの宙域を警備している奴らだ。

 宇宙における警察みたいなものだが、こいつらにも注意は必要だ。

 宇宙において安全な空間などなく、そしてそんな状況で通信を飛ばしてくるというのは何かしらの事情があると思っていい。

 まぁ警告無しで撃ってこないだけ敵対行為じゃないと信じておこう。


「こちらホワイトロマノフ、艦長のアナスタシアだ」


「連邦軍警備艦隊第138部隊隊長のミルヒです。こちらの通信に応えていただき感謝します」


「いえ、軍からの通信ともなれば緊急を要すると判断してのことです。して、ミルヒ殿の要件は」


「端的に申し上げます。現在この宙域では宇宙海賊殲滅作戦を行っております。退去するか助力を願いたい」


「退去は構いませんが、助力となれば値段次第ですね。ギルドを通しての支払いですが」


「構いません。そちらの情報は全て確認させていただいておりますので援軍として雇い入れた場合の報酬と、敵機の撃破報酬、それとサルベージ権を約束します」


「そういうことであればお引き受けしましょう。こちらは推進剤も含めていつでも戦闘に参加可能ですがどうしますか」


「そうですね……規則ですのでまず臨検をさせていただきます。こちらの指定した船に着艦願います」


「了解しました。アナスタシアアウト」


「ミルヒアウト」


 ふぅ……疲れた。

 しかし宇宙海賊殲滅の現場に飛び出してしまうとは不運だな。

 いや、傭兵的には金稼げるしラッキーか?

 どちらにせよ、あまり派手に敵をぶっ壊すのはやめた方がよさげだな。

 サルベージしようにも主砲とかで消滅させたらなにも取れないから。

 それに臨検か。

 見られて困る物はないはずだが……。


「今ホワイトロマノフにはマズい物も載せてないから大丈夫だと思いますよ」


「マズい物ねぇ……例えば?」


「御禁制の品は色々ありますがそう言った手合いも、あと以前乗せていた動植物なんかですね。それと理由に関係なく船に乗り込んでいる未確認クルー、密航者なんかを含む存在です」


「あー、艦内チェックでもその手合いはいないから大丈夫だな」


「あり得るとしたら腐った食料品くらいでしょうか。フードカートリッジを主にしているのでそれもほぼあり得ませんけどね。あのカートリッジ10年は腐敗しないので」


「そこまで長持ちする食い物ってのも怖いな……」


「生で食べなければ大丈夫ですよ」


 ……生で食ったらどうなるのかちょっと怖くなったが、指定された座標の船に着艦しながら武装とシールドを解除した。

 うむ、これで丸腰同然だな。

 この状態で襲われたら手も足も出ないままボコボコにされるだろう。

 とはいえ、デブリが飛び交う宇宙空間を飛び回れるだけの装甲を持っている船相手に対人用武器で傷をつけられるかと言われたら難しいけど。

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