やっちまった!
遅れました!
しかも短い!
こうなっては禁煙してお詫びを……3時間でいい?
さてさて、ごたごたも済んでコロニーを後にした俺達は絶賛ワープ中なわけですが……。
「やることないですねぇ」
「そうなんだよなぁ、ゲームとか本とか買い込んでおけばよかったな」
「次の星系でそうしましょう」
滅茶苦茶暇していた。
ゲーム内だとある程度短縮された演出しか流れなかったが、リアルでとなってくると随分変わってくる。
星系をいくつも跨ぐレベルとなればどうしても数日はかかるのだ。
ともすれば数週間から数カ月くらいワープ空間の中にいる事になる。
ぶっちゃけ、やることが無いのだ。
筋トレは日課の物を終えてしまい、あとは本当に何もやることが無い……。
「どうします? えっちでもします?」
「しない……というかそれお前から持ち掛けるのかよ」
「まぁ、上からそれなりの関係築ければボーナスだすと言われてますし」
「あけすけだな……いいのかよ諜報員」
「特に問題ないですねぇ。だって気付かれてたみたいですし」
「そりゃまあな、露骨すぎるわ」
風呂上りに全裸とか、下着が見えてるとわかってるアングルで動くとか、無重力状態のチェックをすると言ったのにひらひらのスカートとかはいてりゃな。
誘ってるなというのは分かったし、それに理由もなんとなくは分かってた。
とはいえ、こうも暇だとなぁ……。
「やるか?」
「え? 誘っておいてなんですが……本気ですか?」
「だって他にやることないし」
「あのー、もうちょっとムードとか……」
「え? なに? ビビってる?」
「は、はぁ? だーれがビビってるですって? やってやろうじゃないですか! ほら早くベッド行きますよ!」
「痛い痛い、千切れるからもうちょい手加減しろ、照れ隠しにしても力が強すぎるわ」
ぐいぐいと引っ張られながらベッドに押し込まれた俺。
……え? 俺が押し倒される側?
「ふっふっふっ、あの手この手のVRで学んだ超絶テクニックでメロメロにしてやりますよ……」
「おい、目が怖いぞ?」
「なぁに、天井のシミを数えてる間に気を失うほど気持ちよくなれますから……なので脱ぎ脱ぎしましょうねー」
まるで奇術師、そう思わせる手つきであっという間に全裸にされた俺。
まぁ抵抗しなかったしワンピースだったから脱がすのは容易かっただろう。
だがメリナは一つ誤算がある。
俺は負けず嫌いの格闘家であるという事だ。
「ほいっ」
同じように脱がし返して、ついでにそのまま衣類で拘束する。
「え? あれ?」
「はい、形勢逆転。では……いただきます」
「え、ちょ、あっー!」
うん、ここまでやって、そして最後までやり切ってから言うのもなんだけど俺達は少しおかしくなっていたかもしれない。
暇は神をも殺すというが、本当に暇が極まった結果肉体関係だけは持つまいと思っていた相手と致すくらいには。
何が言いたいかというと……。
「けだものー!」
「悪かったって。しかしメリナは攻められると弱いな。超絶テクとやらを披露する前にダウンしたし」
「だって……攻められるのなれてないですし……」
「相手がいなかったわけだ。まぁ見た目は可憐でも中身はゴリラだしな」
「ほほう? 喧嘩売ってますか? 売ってますね? 買いましょうじゃないですかおらぁ!」
「お、第2ラウンドか? ひーひーいわせてやるよ!」
なんだかんだで俺達は気の合う似た者同士なのかもしれない……いろんな意味で。