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ホワイトロマノフの兵装

 取り調べはつつがなく終わった。

 というか、音声データも映像データもずっと記録してたし、途中からは治安維持機構に送り続けていたからね。

 こういう下準備が重要なのだよ。

 なおメリナには先に言えと滅茶苦茶怒られた。

 報連相は大切、今までフリーだったけどその実態を改めて思い知らされた気分だった……。

 うん、フリーランスって自由に見えるけど実際はそうでもないんだ。

 個人事業主なんていうだけあって一人で営業から確定申告まで全部やらなきゃいけない。

 その手助けをしてくれる人はいるけど、結局その申し込みも含めると全部自分でってことになるんだよな。

 だからこそ報連相を怠ると死ぬ、冗談抜きで仕事無くなる。


「というわけで、無事釈放されて金も目下の3倍はもらえる事になったわけだがどうする? すぐに発ってもいいし、もう少しのんびりしてもいいが」


「んー、のんびりとは違いますが少し船について詳しく教えてほしいですね。あとは最低限の機材導入、アナさんだけで船いじったわけだからまだまだ未開惑星出身者にとって快適で未来的な、という範囲だと思います」


「それもそうか。じゃあとりあえず船内を案内しつつ、装備関連について教えるが……ぶっちゃけ面白い武装はそんなにないぞ?」


「はっはっはっ、御謙遜を」


 笑われてしまった……いや、本当に面白い装備はそんなに積んでないんだがな。

 シールドのイースターエッグ、動力のラスプーチン、それに応じた武装があるだけだ。

 本当に武装は無難なものしかない。


「じゃあデータ上で確認できるものからやっていくが、主砲を見てくれ」


「えーと、どれですか?」


「ツァーリっていうやつ、こいつはラスプーチンの動力をそのまま打ち出しているだけの物体だ」


「ラスプーチン……動力炉でしたよね、たしか反物質の」


「そう、つまりは反物質砲だな。当たったら大抵の敵は爆散どころか消滅する」


 なお消滅するというのは冗談や過言ではなく、文字通り消えてなくなるのだ。

 つまり戦利品も貰えないので使い道は薄い。

 まぁ直撃させた場合に限るのでホワイトロマノフより数段でかいアトラス級とかそういったコロニーサイズの船相手に使う事がメインだな。


「はい、まずおかしいですね」


「なにが?」


「このサイズの戦艦でそれだけの威力を持っている事です! そんなのアトラス級戦艦がエネルギー一点収束してようやくですよ!」


「でもできるから、それに存外不便だぞ? 普通の船相手にするなら過剰火力だし、戦利品欲しけりゃ艦橋だけぶち抜く必要がある。その場合だって相手の持ってるデータも消えてなくなるから取り分減るし」


「それができるのが異常です!」


「まぁ、そう思うならそうなんだろ。メリナの中では」


「ムキー!」


 なにやら騒いでいるが無視。

 こうなったメリナはおちょくるには楽しいが、話が進まなくなるからな。


「で、次に副砲。名前はイヴァンだ」


「あー、この船の左右についてる奴ですね。これはどんなとんでも兵器ですか?」


「いや、これは普通のビーム砲。正直特筆すべき事は何もない。ちょっと威力が高いだけ」


「ちょっと……? 同サイズの船の主砲と比べても三倍以上のエネルギー喰いますし、五倍以上の威力ですが?」


「そんなもんだろ。割とポピュラーな兵装だったんだがな」


「未開惑星こわい!」


 何やら怯えているがこれも無視でいいだろ。

 いや、マジでイヴァンは「兵装用のスペース余ったからつけておくか」くらいの感覚でみんな乗せてたし。

 初心者だって主砲代わりに使うやつは結構いた。

 というか攻略サイトでは普通におすすめ兵器の一つだったからな。


「あとは対空砲、まぁ飛んできたミサイルとか撃ち落とすためのものだが名前はニコライ。頑張ればこいつでも船を落とせるが時間の無駄だな」


「あのー、普通対空防御にそんな火力有りませんよ?」


「うちの島じゃ普通だった。あとは特装砲だがロマノフ、船の名を冠する武装だ。こいつは少し面白い機構でな。ツァーリの範囲を10倍にした物だ」


「その時点で馬鹿ですね。そんな火力が必要な場面どこですか?」


「いわゆる宇宙怪獣が兆を三つくらい超えた桁で襲ってきた時。たまにあった」


「どんな未開惑星ですか! なんで応戦考えるんですか! もっとドライブ系統の、ワープみたいなの考えましょうよ!」


「うちは割と戦闘狂が多かったからな。イヴァンくらいなら貨物船にも積まれてたぞ」


 なお総火力で負けるので勝てるとは言っていない。

 あくまでも護身用という立ち位置だった。


「あとは特殊な兵装としてエリザヴェータ。こいつは船の腹と背中にあるんだがわかるか?」


「これ砲身が船内に埋まってますけど、飛び出すんですか? こう、にゅっと」


「あぁ、まぁ飛び出すのは当たってる。ただ無線操作で宇宙空間を飛び回る。一応大気圏内でも使用可能だがエネルギー切れたら落ちるからあまり使いたくない」


 回収が面倒くさいからな。


「あの、どういう原理で?」


「パイロットの脳波リンクがどうのって聞いたが、それ以外は知らね。威力はイヴァンの半分くらいだが連射ができるから結構便利だぞ」


「もうヤダこの戦闘民族……」


「シールドはイースターエッグ、薄く細かいシールドを発生させることで敵の砲撃を受けて壊れて、壊れたそばから再生していくって言う仕組みだ。装甲はウラジミール、ナノマシンを使っているから勝手に修復してくれるが内部機構までダメージがあった場合はしばらく動けなくなる。それをイースターエッグでダメージ軽減させるって戦法だ。スラスターはアンドレイ、こいつは本当に普通の推進機構だがエネルギーをそのまま推進剤にするから理論上ずっと飛び続ける事ができる」


「もう勘弁してください……」


 まだ基本戦術の話もしてないんだがなぁ……。

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