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ゲーム装備引き継いでSF世界でTS無双……できるのかな?  作者: 蒼井茜


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デンドロビウム咲き乱れ

 諸々の説明を受けた結果、マリアというアンドロイドは変身物のヒーローよろしく変形が可能で、更に合体機能が複数存在することが判明した。

 どこの勇者ロボだと言いたくなるが、それはさておきだ。

 本物とようやく、正式なご対面となる。


「初めましてと言っておこうかな。前回は正式なお目見えじゃなかったから」


「ではこちらも初めましてでお話しさせていただきます、マイマスター」


 しっかり人間らしい抑揚のある声色、更に笑みを作ってみせるマリアの姿を見て誰がアンドロイドだと一目で見抜けるだろうか。

 そんな事を考えながら、どこからどう見ても人間にしか見えない彼女を見つめる。

 ピシッとしたパンツスーツはこの場のお偉いさんと言われても納得ができる様相であり、場所を選ばず仕事を任せられるであろう風貌だ。

 更には変形合体機能まであるから戦闘でも役に立つし、治安が終わっているコロニーでの買い出しも任せられる。

 もちろんタブレットなどの端末を使って船の中から物を揃える事もできるが、何か不審物を紛れ込ませてくる不埒者もいるため、自分の脚で買いに行くのが一番安全なのだ。


 そういう意味では膂力にも優れている彼女は今後大きな切り札の一枚になるだろう。

 ……いや、権力の片棒担いでいるメリナに、暴力の俺、電子戦じゃ絶対に負けないノイマンに、勝手に動ける戦艦ルディと来て何を恐れるとなってきているが内側から爆破されたら普通に死ぬのだ。

 ガスでもまかれたら俺はダウンするし、メリナもまともな操縦はできなくなる。

 ルディで離脱できるにしてもその後の戦闘は彼のセンス任せになるので完全に安心とは言わず、ウィルスを流されればノイマンは一時的に弱体化する可能性がある。

 あくまで端末にすぎない彼女では情報処理能力に限界があるのだ。


 そういう意味では治安も空気汚染も関係ない場所で好きに活動できて、アンドロイドならではの精密な動きが可能なためいざという時は操舵も任せられるマリアという存在はジョーカーとして最優と言える。

 最良とか最強ではないが、状況を選ばず使えるという意味で最優である。

 他はちょっとやりすぎるきらいがあるからな……ジョーカーのファイブカードだ。

 いかさまもいい所だが、確実に勝てる手札を用意するというのは定石なのである。


「せっかくだ、挨拶代わりに変形と合体を見せてもらってもいいか? ぶしつけなのは承知の上でな」


「かしこまりました。メインシステム機動、戦闘モード」


 そう言葉にした瞬間、マリアの整った顔立ちが凛々しいロボのそれに包まれるようにしておおわれる。

 更に両手足にも装甲が生えてきて、胸部と腹部も頑丈そうな鎧に包まれる。

 最後にベルトがきらりと光ってからガシャーンという効果音と共に装着された。

 ……ライダーだな、これ。


「バトル、フォーミュラー」


 続けざまの掛け声と共に空間転移……まぁ要するに船でよく使うワープ機能によってどこからともなく外骨格とも呼べるものがマリアの肉体を覆っていく。

 ガシーンガシーンとくっついていくそれらを見て、背中に飛行可能なバックパック、右腕にはコロニーすら破壊できそうなランチャー、左腕に人間どころか車も真っ二つにできそうなビームサーベルが取り付けられて変形は完了した。

 ……機動戦士だな、種のやつ。


「バトル、サザンカ」


 さらにつづけられた掛け声により空間を超えて巨大な、それこそ小型偵察艇に匹敵する装備が取り付けられていく。

 うむ、和訳すると朝鮮蘭だ。

 多数のミサイルポッドと長い砲塔、戦艦もぶった切れるビームサーベル。

 これがコロニー内外問わず飛び回って攻撃してくるんだ。

 しかもあの長い砲塔は聞けば反物質砲だから、あれを艦橋にぶち込むだけで戦艦も潰せるとなれば……まぁ脅威としちゃ上の上だな。


「凄いもんだな」


「お褒めにあずかり光栄です。お金と技術と独創性、そして権力を最大限に無駄遣いした最高の装備といえます」


「……褒めてるのか? 貶しているのか?」


「ある意味では呆れています。並の戦艦をダース単位で揃えるよりも上等なシステムと装備を頂けたことには感謝していますが、そこまでするのはどうなのだろうかと無機質知生体の一個人として疑問を抱かずにはいられません」


「だよなぁ……いや、俺としてはありがたいよ? 超高性能な仲間がいるって言うのはそれだけで頼りがいがある。ただここまでくると俺必要かなって……」


「何をおっしゃいます。私はあくまでオーダーをこなす物、一つの物品でしかありません。それこそ銃やナイフと同じで、マスターがいなければ何もできない、何もしない、喋る文鎮です」


「……高価な文鎮だな」


「えぇ、なので今後あらゆることをご命令ください。好みにできる事はなんでもいたしましょう」


「ん? 今なんでもって」


「はい、夜の相手も敵の殲滅もコロニーの選挙も、必要ならば国家の転覆すら成し遂げてみせましょう」


 ……なんかマリアという個体と、ノイマンのタッグなら国家転覆くらい普通にできそうで怖いな。

 そこに俺の暴力と、ホワイトロマノフの性能、ルディの波状攻撃にメリナの情報分析と権力がのしかかってくるわけだ。

 ……どうしよう、本当に国ひとつひっくり返せそうな気がしてきた。

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― 新着の感想 ―
>どうしよう、本当に国ひとつひっくり返せそうな気がしてきた。 暴食「え? その程度しか出来ないの?」  化け物ならこう言いかねない。
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