容疑者は娘?!
第1話
私の名前は柊司。現在、45歳。現在?ちょっと違うな。ずーっと、45歳。これも何か違う。そんなふうに言うと「永遠に20歳。」みたいな痛い言葉になってしまう。どう言えばいいかな。昨日の時点で、45歳。で、昨日死んだから、昨日から45歳のまま。これでいいか。もう、説明するのって難しい。ってそんなことはどうでもいい。大変なのはその罪が一人娘の秋穂にかかってしまったこと。その罪、つまり私を殺した犯人が秋穂になってしまっている。これは大変でしょ。それに私って殺されたのかな?事故だと思うのだけれど・・・。
「秋穂!お風呂空いたよ。入っちゃって。今日はお父さん出張でいないし。」
「・・・。」
返事くらいしたらいいのに。反抗期だからって腹が立つ。今年高校に入学した秋穂は中学の頃から反抗期。何を言っても無視、何を聞いても無視、無視無視無視。高校生になったらマシになるかもなんて淡い期待があったけど、今のところその兆しは無し。えっ、気付いた?無視と無しかけてるって。親父ギャグって?残念でした、私はおばさん。いやいやお姉さん。うっ、自分でも痛いな。あっ、話が飛んだ。話を戻すと親子の仲が悪いのが近所でも噂になっていて、私が死んだ時に一緒にいた娘が疑われた。どうしたらいいのだろう。死んでしまった私には何も出来ないのだろうか?よくドラマやアニメで死んだ人が転生したりするけれど、転生しても仕方がないし、誰かに乗り移るのはどうだろう?そんな事出来るのかな?とりあえずやってみよう。私は自分のお葬式に来てた5歳下の妹に乗り移ろうと手を伸ばした。当然ながら、想像してた通りすり抜けてしまった。やっぱりドラマみたいにはいかないか。さてさて困ったぞ。