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3-3

始めて童話世界に来た田嶋ちゃんには難しかったらしい。

あれからしばらくきょろきょろしては絶望していた。


「ふ、あははっ……。」

「何笑ってるんですか! 助けてくださいよ!」

「いや、なんか面白くてね。」


そろそろ助けてあげるかと目の前の獣道を指す。


「よく見るとぽやぁっとした白い光がぽこぽこ出て来てるでしょ。あれを辿るとまずは中央通りに着くから、まずはそこに向かうよ。」

「本当だ…。」


こうして、俺たちは森林の大広場にやってきた。

木々に囲まれながらも、魔法に囲まれ明るくなったその大広場では、

大小様々な出店が立ち並ぶ様子を見渡す。


「先輩っ、あ、あの焼き菓子ってもしかしてクッキーですかっ?!」

「ん…‥ああ。そうだね。」


田嶋ちゃんが指しているのは、ピクシーが目の前で焼いているクッキー。

真っ赤な果実をジャムにして、クッキーに挟むジャムクッキーのようだ。


「うぅ……じゅるっ。」


めちゃくちゃ物欲しそうな顔をしている。

一応、業務中だけど仕方ないか。


「いいよ、買ってあげようか。」

「まじですか?!?! ……い、いやそんな。斉藤さんの手を煩わせられないです。」

「あ、そう? じゃあすぐそこだから仕事片づけるか。」

「やっぱ食べたいです。」


食欲がすごいな。


俺は田嶋ちゃんが希望した赤いジャムクッキーの袋と、美味しそうだった黄色いジャムクッキーの袋を2つずつ手に取って、ピクシーに見せる。


「まあ、おじさん。エージェントの方ね。」

「まだおじさんって歳じゃないよ。」


このピクシー、もう80年くらい生きてるだろうに。

童話世界の住人は基本的に失礼なやつしかいない。


「えーっと、全部で300ベリーよ。」

「30ベリーね。」


ここ。

こういうところ。

異世界から来た人間が躓く部分。


――――通貨だ。


この童話世界では物々交換が基本で、特にベリーが重宝されている。

獲れる場所が限られるため、1ベリーで大体120円くらいだ。

それを知らない、もしくは弊社から(うち)の説明を聞かない転生者はよくこうしてカモにされる。


まあ、このピクシーは社員だってわかっててやってるんだろうけどな。


「田嶋ちゃんがこっちね。」


そして、俺たちはクッキーをつまみながらクライアントの元へ向かった。


「……これ、1枚がちっちゃいですね。」

「ピクシーサイズだからな。」

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