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3ー1

件名:Re:転生希望者のご紹介です。

From:株式会社WorldWorld 童話支社 グリム課 ベル

―――――――――――――――――――――

アジア課 斉藤様


お世話になっております、グリム課のビディです。


案件受けていただけるとのこと、ありがとうございました。

仰る通り、定期的に来る依頼ではありますが、そろそろ人材が不足してきておりまして、

ご迷惑をおかけするとは思いますが、何卒宜しくお願い致します。


もしお力になれることがあれば何でもご連絡ください。


また、依頼者の元までへの地図を添付していますのでご確認ください。

それではよろしくお願いいたします。

「おはようございます。早いね、どうしたの。」

「おはようございます斉藤さん。いえ、ちょっとフアンさんに。」


朝7時半。

いつもより早く出社すると、パソコンを見つめて眉間にしわを寄せる田嶋ちゃんがいた。

熱心な様子だ、えらいなあ。


「ああ、フアンさんね…。なにか手伝おうか。」

「大丈夫です。斉藤さんはどうせ手伝ってくれませんので。」


デスクに座りながら、隣の田嶋ちゃんを見てみるとふくれていた。

この間の上司、フアンさんの仕事を任せてしまったことをまだ怒っているようだ。

謝ったはずなんだけど。


「この間はごめんって。新規の相談があって、時間が近かったんだよ。」

「契約取れなかったのに?」

「……痛いとこを突くなあ。」


これはきっとキラクル☆ピカリン先生の話が出回っているな。

田嶋ちゃん、意外と侮れないかもしれない。


「訳があったんだよ。内容がめちゃくちゃで。」

「じゃあ、次案件あれば連れてってください。」

「え…田嶋ちゃんって、外嫌いじゃなかったっけ。」


俺の記憶が間違いなければ、他の人が誘ってもなかなか外に行かなかった気がする。

嫌いだったり、苦手なのかなと勝手に考えていたが違ったかな。


「みなさんがフアンさんの仕事を押し付けてくるからいけないんですっ。心当たりありますよねっ。」

「…それはごめん。」


思っているより、田嶋ちゃんから俺への評価は低そうだ。

女の子に嫌われるのは悲しいな…。今度一回だけ変わってあげよう。

俺はそう、心に決めた。


「じゃあさ。今日の9時って空いてる?」

「9時なら大丈夫です。8時まではこの作業がかかっちゃいますが。」

「おっけ、それなら一個行こうか。」

「わかりました。」


そういうと、田嶋ちゃんはとてとてとホワイトボードに駆けていき、自分と俺の場所に『9時外出』と記入した。

こうしてみる限りは、ちっちゃくて可愛い女の子だななんて。

よこしまなことは考えないようにしよう。


「書いてきまし…わあっ。」


ずべしゃあっとこけて、せっかくのスーツにしわが入っている。

ブラウスのボタンが一個取れているのは、見えないフリをした。


こういうところがなければね、優秀な新人なんだけど。


「あー、大丈夫か。人と会うし直してこい。」

「はいぃ…」


しょげしょげとオフィスを出ていった。


大丈夫かな、人前に出て。

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