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規約違反疑いの言葉を聞いたプータローは、のしのしと椅子から降りた。
いや、椅子に見える人だな……。
真性のアホだとしても女性に乗るとは、正気を疑う。
そうして、プータローはハニーと囁いていた時とは打って変わって、とんでもない形相で俺を睨んできた。
「お前、お前……小生は勇者だゾ?!?!?!」
「えぇそうですね。ですがそれも過去のお話です。」
目一杯唾を飛ばして喋るプータローにできるだけ近寄らないよう大きな声で話す。
それもこれも綺麗に一発ぶん殴るためだ。
我慢、我慢。
「勇者に楯突くとは、このっ。この、ぶっ殺してやる!!」
我慢しろ。
「女の一人も連れて歩けないような童貞の貴様にっ、小生がとやかく言われる筋合いはないだろうっっ!!」
我慢。
「貴様なんて雑草にもならないゾ!!!!」
ごめん無理。
「ごちゃごちゃ言われても困ります。」
俺は二、三歩進む。
プータローは俺が進んだだけ後退りする。
お前の愛するハニー達の顔見てみろよ、ドン引いてるじゃないか。
せめて最後までカッコつけろよな。
ため息混じりにプータローの首根っこを掴む。
壁際でおたおたするだけなんて、最後まで情けない。
ひいいと脂汗かいてる奴の頬には触れたくないが仕方ない。
俺は滲むほど拳を握り、大きく振りかぶり――
「俺は、あなたたちの言う神様です。」
――目一杯ぶん殴った。