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④内職をする、高等薬学舎

次回の更新は1月11日火曜日です。

フィオナ④ 内職をする


2歳の夏も終わりに近付いてきた。

秋が来てしまえばあっという間に冬が来るということだ。


その前にノルは他の村人数人と共に一度下山して、作り貯めておいた薬を売りに行くそうだ。


「わたしも、いく」

フィオナが希望したが却下された。

理由は道中が危険で足手まといになってしまうから。

結局ミアと一緒にロード宅でお留守番する事になった。


彼らは基本人を避けて暮らしているから、今回まとまって下山するのはノルを助ける為なのだろう。

レギアス自らが作成した魔物避けを持たせてノル達一行は出掛けていった。




(あーあ、私も村の外探検に行きたいなー)

アントノフカには大人がついていれば行けるが、山に住んでるのに山の奥深くに探検にいけないのは残念だ。


(危険な魔物が出るらしいけど、熊より危ないのかな、それは確かに怖い…、もっと鍛えたら1人で出掛けられるかな、誰か武術教えてくれないかな)

考え事をしてるとミアがくっついてきた。

家から持ってきた人形とぬいぐるみを抱いている。



(ミアはノルさんいないから寂しいのかな)

ノルさん達が帰って来るのは明後日か明々後日だ。

一番近くの村まで遠いらしいし、商売をするなら更に時間がかかる。


道中魔物避けを使いながら山の中で眠るらしい。

無事に帰って来るか心配である。



フィオナはふわふわの膝掛けをミアにかけてあげた。ミアはその布端をぎゅっと握った。

「ミアちゃんフィーちゃんお菓子焼いたわよー」

「召し上がれー♪ 」

ヴェラとレギアスが皿に大量のクッキーと、ハーブティーを用意してくれた。

「すごい! かわいい! 」

2色の生地で焼いたクッキーは手間がかかっていて形がそれぞれ違う。

ハートや星や人形や動物…それに木の実やフルーツが混ざっていて楽しい。


「みあ、いろんなかたちが、あるよ」

ミアもクッキーに興味をもってくれたらしく、好きな形を選び始めた。


(ミアが寂しがらない配慮、素敵です)

フィオナはロード夫妻にアイコンタクトを送った。

彼らはそれにニッコリ笑顔を返した。


***


お菓子を食べた後は演奏してもらいながら歌を歌った。

ミアがロード家のテンションに付いていこうと頑張ってくれた。


夕飯はノルが用意してくれた料理が出された。

ミアに食べなれた物をという配慮だろう。


お風呂の時間は、ロード家にはお湯が出る魔道具があるのでそれを使う。


蒸気で体を温めた浴室にて。

ヴェラが浴槽に浅めに湯と乾燥したハーブを入れてくれた。

ハーブの優しい匂いがする。


体は洗浄する魔道具で体を拭いていく。

柔らかい布がついたミニクイックルワイパーみたいなやつだ。

体を浄化しながらみるみる老廃物が落ちていく。

ヴェラに手伝ってもらいながらそれをお湯で流していく。





入浴後、フィオナは肌着のミアの姿をみせてもらう。

変装用なので裸の細部まで覚える必要はないのだ。


フィオナは肌着のミアの姿を真似して自身の体に変装魔法をかけた。

この際髪が濡れてる質感も覚える。


足から頭までフィオナの姿がミアになっていく。



ここのところの訓練で、みたものを素早く記憶するのが得意になってきた。

魔法の眼で物体をとらえるのも上達した。


(自分の姿の上にミアの姿をうつす…表は幻、裏のこっち側は透明…)

レギアスがよく魔法は理解と創造。それと思いの強さ。とフィオナによく話していた。

(理解、創造、思いの強さ…)


「ふぃおなちゃん…」

ミアが声をかける。


ミアの目の前にそっくり同じ姿のフィオナがいた。

「うまく、できた、かも」

「そっくり」

ミアがくりくりとした眼で見つめながら褒めてくれた。


フィオナの視界からはちゃんと外の世界が見えていた。


***




4日後、ノル達は無事に村に帰ってきた。

荷物運び用に連れていった大山羊はその荷物を半分以上減らして帰ってきた。

商品がよく売れたようだ。

こうして村人達は資金を稼いでいる。

中には1人で下山している猛者もいるそうな。


「かーしゃん! 」

ミアがノルにかけよって抱きついた。

「ただいま、ミア、寂しくさせてごめんね」

ノルがミアを抱き返す。


ノル達は山歩きで汚れが付いたりはしていたが、怪我をした者はいないようだ。


それぞれ自宅に帰っていく。

ミアもノルに抱っこしてもらって帰っていった。


フィオナは後日、旅の話を聞くのが楽しみだと思った。

(アントノフカ以外の町や村…どんな所だろう)

フィオナは改めて、自分の知っている世界の狭さを認識し、そしていつか世界を自分の目で見たいと強く思った。





フィオナはミアが泊まっていた4日間の変装魔法の成果をレギアスに見てもらった。


さっとミアの姿に切り替わる。


「凄い完璧! 」

レギアスはとても褒めてくれた。


「次は変装魔法を維持し続けられるようになろう! 」

「ふぁい! 」

フィオナは元気良く返事をした。


その夜ヴェラは、行商が帰還したことと、フィオナが魔法訓練をまた一段階達成したお祝いにハンバーグを作ってくれた。

(肉うま~)


***



フィオナは無事3歳になった。


春。

ダナン幼児学校も3歳児クラスになり、新入生が入学した。


「ミアです、よろしくおねがいします」


変装魔法の契約により、安定して十分な収入が入ったノルは、ロード夫妻と話し合った末、今年からフィオナと一緒に入学させる事にしたのだ。


冬の間、山の谷間村が雪に閉ざされる季節。

例年までは出稼ぎ労働者用の宿舎で、大部屋に同じように冬の間出稼ぎに来た者達とまとまって暮らしていたノルとミア親子は、今年は下山していつも行く町の宿で、個室を借り続ける事が出来たと言う。


ノルとミア親子としては大幅な環境改善であった。





フィオナは体力がつき、着替えもトイレもスムーズに行えるようになっていた。


体が鍛えられるとフィオナの身長もあわせて伸びた。

ミアより少し小柄だったが今では同じくらいの98cmだ。


フィオナが魔術師を目指して髪を伸ばしているので、ミアもあわせて伸ばしてくれている。

魔術師は髪が長い方が良いとされている為だ。

髪が長ければその分体に魔力を貯めておけるからだ。

二人ともヘアネットの中に長髪をまとめて、毛の先だけ少し出している。


それにフィオナは訓練の結果、今では1日中ミアの姿を維持し続けられる。

双子のような少女が仲良く遊んでいるのが山の谷間村の日常風景になった。



今日もミアとフィオナは学校の校庭で魔法遊びの最中だ。

「ミア、ぱーす!」

フィオナが水のつまったボールを魔法で作りミアとボール遊びをしていた。

上手く返せないとびしょ濡れになる。


「ん」

ミアが手のひらで打ち返した。


「あ」

びっしゃあ~

フィオナが手の甲でボールを打ち返して力加減を誤り、頭から水を被った。

「あはは」

すぐにフィオナは魔法で体を乾かした。


(やっぱりミアって魔法上手いんだな)

クラスには地球でいうデフォルト人族の子もいるし、獣人系や爬虫類系等いろんな人種がいる。

人種によって成長の早さに違いがあるのだが、ミアはその中で一番魔法を上手く自在に発動していた。

もちろんフィオナの次にだが。






3歳にもなると素早く動いたり長い文章でおしゃべり出来るようになっていた。

そして異性を意識しだすようだ。

クラスメイトの鳥人族の子がお気に入りの子にべったりするようになった。相手も嫌ではないようでいつも二人で一緒にいる。


幼児同士の意識がより向くようになり、喧嘩が増えるようになった。

玩具を取りあったり、お喋りしながら嫌々大泣きしたりするのだ。


ここでもフィオナは魔法で防音していた。

(無心…無心…)


ミアも前より意志疎通するようになり、ときどき何かが気に食わないらしく、険悪な感じになることがあった。

(ミアが入学してくれて良かった、ずっとふたりきりでいて険悪なムードだったら嫌だもん、学校でよかった)

フィオナ自身まだ幼子なので回りの雰囲気や気分に振り回される事がある。

ミアと大喧嘩なんてしたくない。


ヘヤピンをつけているとはいえ、イライラする日などその日の終わりにはクタクタに疲れていた。


それでも変わらずミアはフィオナの事が大好きなようで学校にいてもよく一緒に遊んだ。

そして沢山話しかけてくるようになった。

「ふぃおなちゃん○□▨►▪▶◈◈だよ」

「そうなんだ」(わからん)

幼児語は聞き取れない事が多かったが…。



学校で教わる事もワンランク難しい物を教えてくれるようになった。


文字だけでなく魔法も習う。

保育士は幼児一人一人が興味のあることを連絡帳にかいていた。


夕方にノルが迎えにくるようになったのでレギアスと交代でヴェラがフィオナのお向かいにくるようになった。

婦人2人で楽しそうに過ごしている。


学校から家に帰ってからはミアとロード家の居間で宿題を片すのが日課だ。

その分休日にミアが遊びに来る事が減り、フィオナもミアもお互いの時間が持てるようになった。





幼稚園ではこの世界の事も教わった。


アントノフカはヒト族領域にあり、その外は知性ある魔物の領域がある。

ヒト族領域内にはいろんなヒト族の集落や国、町が存在しており、人種毎に暮らしぶりが全然ちがかったりする。


フィオナが気にしている兎人族について保育士に聞いてみると、やはり同種族で集まって暮らすのを好む傾向があると返ってきた。

知性のある生き物は種族毎に好みの生き方があり、更に細かく個人個人で得意な事や好きなものがある。



この星では幼い頃から自分にあった人生の目標を意識しつつ、それにあった技能や環境を整えていくのが望ましいと考えられているのだ。

平日休日というのも行事を行う為の方便で、実際人により休日は異なるのが当たり前だ。

道路が十分整備されている町にすんでいれば、とりあえず屋根のある場所で寝られるし食事に困る事はない。服やそういったもろもろも提供される。

町に一つはある大食堂でその日のメニューが食べられて、レストランの料理も必ずまてば日替わりで食べられる。


お金でなければ手に入らないものもあるが、ぶっちゃけお金も十分定期的に与えられる。



(どういうことかロード夫妻に補足してもらったのだが、何百年か前にこの星では大きな宗教戦争が続いた。

長く戦いすぎた各種族は一気に人口が減り、子供も少なくなってしまった。

またいがみ合っていた他の種族と手を取り合うにつれ、人族の絶対の価値観であるお金が通じない事が増えた。

他の種族はお金を持っていない者も多かったからだ。

そのふたつの要因から、人族の王は一定額の現金を国民に配る事にした。

戦後の混乱は落ち着き、ようやく人族は活気を取り戻した。

配金制度はその名残である、との事だった)



逆にお金があっても手に入らないものがあるという事だ。


が、個人が幸せに生きれているか、夢を叶えられるかは別の問題なのであった。


他者のために働きたい人は人気のある求人の取り合いになるし、住む町を変えてそこで職についたりする。

何かつくりたい人はそういった工場がまとまって建てられた場所に移り住んで行くのだった。

人の役にたちたい人は物流を世界中に届ける仕事をしたりする。


「フィオナちゃんはどんな事が将来したいのかな」

保育士さんが聞いてくる。

『超有能な魔術師になって大金を稼いで早く親友を探しだし、贅沢しながらこの星を大冒険したいです』

フィオナは心のなかで答えた。


幼児の舌では喋りきれないので、とりあえず皆の夢はなあに?と書かれた紙に『まずはすごいまほうつかいになって、はやくおかねもちになる』とかいた。

「なるほど魔法使いか~じゃあいっぱい魔法の勉強しようか」

「はい」

そんな感じで少しずつ個人のカリキュラムが変化していく。



(そういえばミアは何をかいたんだろ)

気になってフィオナはミアの机まで向かった。


「みあ、みせて~」

「あ、ふぃおなちゃん、はずかしいからだめ」


さっと紙を机から取り上げてミアは隠してしまった。


「ざんねん、 わたしはすごいまほうつかいになるってかいたよ」

「そうなの…ふぃおなちゃんならできそう」

ミアも反対ではないようだ。

よしよしとフィオナは思った。


因みにミアは「かーさんみたいになりたい」と書いたのだった。


***




帰宅後、連絡帳を読んでいたレギアスがふとフィオナに聞いてきた。


「…フィーたんお金稼ぎたいの? 」

「稼ぎたい! 」

即座にフィオナは返答した。


「別にお金なくても生きていけるんだけど…必要なものがあれば僕達が作ったり用意するよ? 」

不思議そうにレギアスは言った。



(…え、でも親友探しに行かなきゃ行けないし、旅費とか…あ、旅費も出してくれるって事? でもその後自分で生きていかなきゃだし…あ、この村で暮らせば良いのか、でも贅沢というものをしてみたいし、この星を冒険もしたいなぁ…冒険するには何がいるんだろ)


「とりあえずフィーたんが成長したら各兎人族の村の近くに住みはじめようと考えてたよ その都度必要な技術があれば僕らが教えるし、お金も足りないなら僕らが出すし、僕らはフィーたんより長生きする自身があるから将来の心配をする必要ないよ! 」

にっこーと頼りがいあるでしょ!? といった笑顔をレギアスはした。


「ぐっうう…」

しかしフィオナは何か納得出来なかった。

(両親が私より長生きするってどういう事? ファンタジーの違う種族的なあれ? でも死を悲しまなくて良いってのは親孝行ならぬ子孝行…ありがとう)

フィオナは結局感謝した。


「冒険なら僕達がフィーたんを守ってあげるから大丈夫! 旅行みたいな感じで楽しそうだね! 」

「いや、ついてこないで」

「…………? なんでえ!? 」

間をおいて悲しそうに疑問をぶつけるレギアス。


「あのね、いせかいだいぼうけんに、ほごしゃのそんざいはいりません、わくわくどきどきがなくなっちゃうでしょ? かっこよくなんかきめたときにりょうしんがいるとかなんかきまずいし、すりるもはんげんするというもの」


「えー褒めるよー? 」

「そういうの、や!! じぶんでできることふやしたいの!! 」

フィオナは反論した。

「えーん」


「残念ねぇレギアス」

話を聞いていたヴェラがレギアスをよしよしと背中をなでた。

「じゃあフィーちゃんは魔法を極めに学校に通ってみるのはどうかしら」

「まほうの…がっこう? 」

「そうよ 魔法によっては旅に使えるものもあるし、学校で優秀な成績を納めれば賃金の良い就職先も見付かるかもしれないじゃない」


「たしかに! 」

パアッと笑顔になるフィオナ。


「そうする! ありがとうヴェラママ!! 」

フィオナはヴェラにぎゅっと抱きついた。

「まぁうふふ」


そのあとフィオナはレギアスにの頭をよしよしした。

「いつもかんしゃしてます、レギパパありがとう」

「フィーたん…ううう…」


ばっとレギアスは立ち上がった。

「フィーたんも出来そうな仕事、する? 」

バチーンと変なポーズをしてレギアスは言った。

「する! 」

フィオナは即答した。



***


レギアスが紹介してくれたのは『人工魔石』に魔力を注ぐ仕事だった。



この世界では、あらゆる動力が魔力で出来ている。

魔法使いがいなくても魔道具に魔石を投入しておけば、いつでも誰でも魔法の恩恵にあずかれる。


天然の魔石は、何らかの理由で高密度に魔力が溜まった場所で、時間をかけて結晶化した物であり、それらは超高級品として扱われる。


人工に魔力を溜められる容器に、魔法使いが魔力を貯めたものを『人工魔石』と呼び分け、大抵生活に利用されるのはこの人工魔石である。

こっちは安価であるが、常に需要のあるものだから、数をこなせばとりあえずの定期的な収入になるだろう。


と、レギアスが説明してくれた。



「おお~いいね、いいね! 」

フィオナは俄然乗り気だ。


「じゃあ練習してみよっか、これは魔力を貯める特徴のある宝石です、時間がたつと抜けてっちゃうけど、人工魔石の容器使う前にこれで練習してね」

「はい! 」

フィオナは元気に返事をして宝石を受けとった。

5cm位の小さくてとても透き通った透明な宝石だ。



フィオナは自身の体内や周囲に流れる魔力を集中して感じ取る。


(これは魔法のもと 魔法にしないで宝石の中に注ぐ…)

魔法で魔力を包んで、ゆっくり宝石に押し込んだ。


フィオナは、宝石に魔力が満杯に入って割れる前に作業を止めた。

宝石内には魔力以外にも魔力ガスが一緒に入ってしまっている。


魔力ガスとは魔法が不発して変化した魔力の事である。

これを今度は魔法で吸い込んで取り出してみた。


空いたスキマにまた魔力を注ぐ作業。

時間がかかるが何度も繰り返していくうちに魔力が密集してうっすら視覚でも見えるようになった。

魔力が青紫色に光っている。


「これめっちゃこんきいるね」

「そうそう 慣れればもっと早くなると思うよ、フィーたんは要領が良いと思う」

(濃い青紫色の魔石って凄い量の魔力がつまってるんだね! )

「普段は見えないほど薄いものだからねぇ」


「そんな純粋な魔力を認識して注ぐ作業とか、宝石が割れないように宝石の耐久を認識するとかも、変装魔法の特訓が役にたってるんだよ! 」

「たしかに! 」

レギアスはドヤった。

フィオナは納得した。



フィオナはレギアスの工房でしばらく魔石作りの練習をした。

レギアスは横で何か魔道具を弄くっていた。


***



「できました! 」

数日後、フィオナはレギアスに宝石の魔石を渡した。


それをレギアスが手に取り良く確認する。

「ふむ、純度も高く魔力密度も高い、宝石にもヒビ無し…これは出来がいいね! 」

レギアスから太鼓判を押してくれた。


「一応作ってる所もみせてもらえる? 」

「うん! 」



フィオナは椅子に座り集中した。

そして宝石の回りに結界を貼って、結界の一部に小さな穴を開ける。


開けた所にはフィルターのイメージ。

魔力しか通さないフィルターで、結界の口を閉じる。


そこから筒を伸ばして二股にする。

別れる部分に同じようにフィルターをつくる。

片側は魔力以外のものを捨てるために栓つきの出口にする。


それからフィオナが作っておいた魔法の針。

これを筒の端に繋げてからフィオナの腕にブスリ。


肉に刺さるわけではないから出血はしない。


針はフィオナから吹き出すように魔力をどんどん吸いだしていく。

それがフィルターを通して宝石の中にどんどん溜まってみるみる青紫色に染まっていった。


宝石の容量限界になる直前に、フィオナは宝石を包む結界を閉じた。


その後、腕から針を抜き、結界の絆創膏で魔力が吹き出る穴を塞いだ。

一気に体から魔力を抜いたので、腕の辺りが少し痺れる。それに針を差す時もちょっと痛いのだ。


「レギパパできたよ」

フィオナが魔石を渡す。


みるとレギパパは深刻そうな表情をしていた。


「そのやり方痛くない? 」

(ちゃっとだけ、でも私の魔力量ならこのくらいへっちゃらだし …なんかまずかった? )


「うーん、とりあえず手当てさせてね、それからこの魔力はフィーたんに返すよ」

レギアスがフィオナの腕に何か魔法をかけてくれた。温かく、腕の痛みが取れていく。

そして先と今作った魔石(仮)の魔力をフィオナに返しはじめた。

ヘアピンの時の応用技術だという事がフィオナにはわかった。



魔石が空になるとレギアスは紙とペンを持ってきた。

「フィーたんの才能を舐めてたかなぁ…」


紙に書きながらレギアスは説明を始めた。




この世界の人間は、『肉体』と『魔体』2つの肉体を持っている。


『魔体』の方は魔力と密接に関わっていて、人間の命そのものなのだと言う。

命から『魔力』は産み出される。

産み出された魔力は肉体中を巡り生命維持の役目をしている。


普段魔法使いが使う魔力はこの肉体内をめぐっている魔力の事なのだ。


肉体が傷付き死んでしまっても、魔体が無事ならまた別の生物に転生して生まれ変わる事が出来る。

しかし魔体が傷付き死んでしまった時は、命の消滅となるのだとレギアスは説明してくれた。


「で、フィーたんのさっきのやり方は、魔体に針指して無理矢理魔力を引き出してました」


「まじで…」

話を聞いてフィオナはぞっとした。

「わわ、私死んじゃうの? 」

オロオロするフィオナ。


「魔体にも皮膚や皮下脂肪みたいな層があって、中心は守られてるからとりあえず大丈夫 、でも危ないから別のやりかたをしてほしいな」


「わかった、そうする」

コクコクとフィオナは頷いた。

(でもそんな話聞いたら怖くて魔法使えないよ…)

「うーん、これは別の訓練を先にやった方が良いねえ」


「べつのくんれん? 」


***



後日レギアスは小さな小動物を捕まえてきた。

3cmくらいの小さなヤマネで、この魔物はほとんど一生を土の中で眠って過ごす。


起こすと狂暴だから体のまわりを冷やして仮死状態のまま捕獲してきた。


話を聞き付けてヴェラもやってきた。


(かわいい)とフィオナはヤマネの愛くるしさに胸がときめいた。

「フィーたんさわっちゃだめだよ、本当危ないから」

レギアスの言葉にフィオナは頷いた。


ヤマネは冷やされたままレギアスのつくった結界の中で眠っている。


「この子は肉体から魔体だけ抜け出て狩りをするんだよ」

「えっ」

驚くフィオナ。


レギアスが結界越しに木の棒を近づけた。


『シャアッ!!!!! 』

何か青紫色のものがヤマネから出てきたと思えば、それは魔力を帯びた少し透明なヤマネだった。

肉体は変わらず眠っている。


(これがこの子の魔体なのか)

フィオナは思った。


魔体のヤマネは凶悪な形相で木の棒をガジガジ齧った。

魔法も使っているようで、木の棒は齧られたところから腐り落ちてしまった。


(怖ー!! )

フィオナは心の中で戦慄した。


「フィーたん目を閉じて魔法の目でヤマネを覗いてご覧」

「うん」


レギアスに促されフィオナは目を閉じ魔法の目でヤマネをみた。


肉体と魔体のヤマネ。

比べると魔体のヤマネの方が圧倒的に魔力量が多いのがわかる。

というかほぼ魔力に感じる。


(命って魔力で出来てるんだね)

フィオナが感想を言った。


(だねぇ)

「えっ!? 」

フィオナはびっくりして目を開けレギアスをみた。

レギアスはいたずらがばれた子供のようにニコニコしている。


(フィーたん聞こえてるね 、特訓の続きだよ 、さぁ続けて)


言われフィオナはまた魔法の目に集中した。


(どういう事? レギパパもヴェラママも本当はこうやってお話出来たって事? )

(そういうことだね 、でもこうして念話ばかりしてたらいつまでもこの国の言葉おぼえらんないでしょ? それに頭に直接話しかけられるの慣れてないと大変かなって)


(考えること聞かれるのも十分大変だったよ…今は慣れたけど たしかに、これって考えとか気持ちを伝えてるだけで言葉を使ってるわけじゃないもんな…それは確かに言葉覚えられなくなるか…配慮してくれてありがとう)


(どういたしまして、フィーちゃん)

(ヴェラママ! 入ってきたーあ、今3人で繋がってるんだ!? )



(そうだよ 訓練すれば誰と会話出来るか、聞かせられるか調整出来るけどフィーたんは今何も防御されてないから読み放題だね)

(それやなんだけど…何とか出来ないの? )


(後でねー今は訓練に集中してフィーたん)

(ほらフィーちゃん、可愛いヤマネちゃんは何ておしゃべりしてるかしら? )

ニコニコヴェラが笑っているのが伝わる気持ちでわかる。


(はあヤマネが喋るわけないっしょ…)

何を言うんだと思ったが言われた通りフィオナはヤマネに意識を向けた。


(*****…*****)

(ん? )


何か聞こえた気がしてヤマネに更に集中する。


(******! *****! )

(うんなんか言ってるわ! )


それは言葉を持たないヤマネの思考だった。

何をしたいか、要求してるのか気持ちが読み取れてくる。


読解出来ない部分もあるが、なんとか人間の言葉にやくすとこんな感じだ。


(ここから出せ! 動けないぞ! 怯えを見せてはいけない! お前達をやっつけてやる! )



(…)

フィオナは唖然とした。


(言ってる…ていうか気持ちがわかる…ヤマネは何も話しかけてないけど、私が勝手に読み取ってるぅ~)

フィオナは起きた事態に感情がついていってない。


(ヤマネちゃんの気持ちがわかったわね? )

(わかった…あ、ヴェラママは凄い聞き取りやすい…)


(相手に伝える訓練を積んでるからだよ はっきり何を伝えたいか意識した気持ちの方が鮮明に聞き取れるんだよ)


(なるほどなぁ~…)



(ヤマネちゃんはこのくらいで良いか、お休みなさ~い)

レギアスの方から魔法の気配がして、暴れ回ってたヤマネの魔体は急に大人しくなり肉体に吸い込まれていった。

後はただ眠っているヤマネだけだ。


(レギパパ何したの? )

(魔法で気絶させました こういうタイプは肉体と魔体両方に魔法をかけた方が安心だから覚えておいて)

(わかった~)


(じゃあ今度はヤマネの肉体から魔体を感じ取る事は出来るかな? )

レギアスが質問した。


フィオナは眠っているヤマネに集中する。

(ええっと…、体に帯びてる魔力量が違かったし、魔力自体が魔体から出て肉体へと流れがあったから、何となく…? )


知った今ではヤマネが何重かにぼんやり重なってるように感じる。

肉体とまとう魔力と、魔体の層だ。


(フィーたんの体からもわかる? )

(え、う)



フィオナはどきりとした。

(確かにそうだ、今まで教わった理屈道理なら、私にも肉体とは別で魔体があるということ)


(でもそれって剥き身の自分を覗くということでしょ 何だかとても怖いし、勇気がいる…)

フィオナは体が緊張してきた。



(レギアス、フィーちゃんが怖がってるじゃない)

(あわわごめんフィーたん、怖い事させるつもりは無かったんだよ~)


フィオナは側でロード夫妻が言いあっているのを感じとった。

ヴェラとレギアスのフィオナを心配してくれる気持ちも伝わってきた。


(わたしを庇って、喧嘩してる…)


フィオナはぽかんとしたあと、フフッと笑った。

それは可笑しかったからではなかった。

嬉しくてしかたなかったからだ。


(そうだ、この人達が私に悪いことをする筈が無いよ)

そして臆病な自分を笑い飛ばした。

(それに私が本当はどんなに醜い人間でも彼らはきっととっくにお見通しな筈だから)



フィオナは勇気が沸いてきて、自分自身を魔法の目で見るように集中した。





(…ん、んん? )

フィオナには自分がヤマネ以上に何重にもなっている様に感じた。


(魔力量が多い事は知ってた 肉体への流れがあるからこの先がきっと魔体、でもなんか魔力じゃない他の何かが引っ付いてる? )

フィオナは首をかしげた。


(フィーたん頑張ったね、つらいようだし今日はこのくらいにしようか? )

レギアスが声をかけた。


(ううん、せっかく勇気を出したんだしもうちょっと続けたい! 魔体と肉体ってどうやって切り離すの? )

(フィーたんは人間だから切り離す事は出来ないよ、魔体がないと肉体が死んじゃうからね、絶対やろうとしないでね)


(わ、わかった! )

危ない所だったとフィオナは思った。


(魔力と命である魔体の違いが解るようになってほしいんだよ)

レギアスが説明する。

(魔力とのちがい…)


(見方は今回で教えたから、今日はもう休憩しよ! )

レギアスが言うと、フッと意識が切れる感覚がした。


「目を開けて、リラックスして、フィーたん」

どうやらヴェラとレギアスは念話を切ってしまったようだ。



「…レギパパ女の人になって」

「わかった~! 」


即座にレギママになった。

そしてフィオナは両親にぎゅっとしがみついて顔をうずめた。




フィオナは前世に未練がない。

そのくらい人に恵まれない人生を送ってきた。


だから疑り深いし誰かを頼ろうなんて考えもしない、代わりに親切にされたなら深く感謝する。


フィオナは転生してからこれまで感謝の連続だった。

でもそれだって自分が幼児の姿だからかもしれないと疑い続けていた。


ミアだってそうだ、いつか絶対にフィオナの傍を離れていくに違いないと思っているし、ダナン幼児学校の先生だって良くしてくれるのは仕事だからだと思っている。


疑り深く、他人を傍に寄せたがらない自分のことをフィオナは醜いと思い続けていた。

こんなに醜い人間の内側はさぞ醜いだろうと。

それ故に自分の内側である魔体を覗いてみるのは恐ろしかった。


けれどロード夫妻はとっくに知っていたのだ。

フィオナの内側が誰とも変わらない、普通の人間であることを。


そして内側を覗く勇気をフィオナにくれた。

ぷつりと緊張の糸が切れたフィオナは、本当の赤子のように、両親であるロード夫妻に縋った。



ありがとう本当の私を見せてくれて。

ありがとう、本当の私が醜くないと教えてくれて。

ありがとう、本当の私と向き合う勇気をくれて。

ありがとう。

ありがとう、おとうさんおかあさん。




「うっわあ~ひっくうええ~」

ヴェラもレギアスもフィオナが泣き止むまで優しくそばにいてくれた。



ヤマネはその後レギアスが元の場所に埋めて置いたそうだ。

フィオナは泣きつかれて眠ってしまった。

そして改めてロード夫妻が両親になってくれた幸福を噛み締めたのだった。


_________


コイフ6歳④ 高等薬学舎


高等薬学舎で最初に習う事。

備品は大切に。

掃除はしっかりと。

準備から片付けまでが薬学だ、という事だった。




朝、朝食を食べ終えたコイフとクロエは、指定された教室に向かった。

寮から出て桜並木の大通りを途中で曲がる、寮の数倍は大きい温室と、薬草畑を抜けると背の高い萱ぶきと白い漆喰のまん丸いドーム群がポコポコと立っている。


コイフとクロエは一番手前の一番大きい建物に入る。


兎人うさひと国では主流でない、灰色の石組みの壁に、たくさんの窓、良く磨かれた木の板の床。(フローリングに似ているわ)とコイフは思った。

「すべりそーなのさ」とクロエが言った。


教室内は正面に教壇があって、長机が教壇に向かって縦に5つ並ぶ。

内二つの机はぴったり壁に寄せられているので、(室内は円形では無いのだわとっても珍しいのね)とコイフは思う。


後ろの壁は棚になっていて、所狭しと何に使うかわからない実験器具が置かれ『飛び跳ね厳禁! 』と書かれた札が掛かっている。

「ふぁあ、立派な建物なのさ! 」

「とーっても広いのよ、それに明るいわ! 」

クロエとコイフは驚いて声を上げる。

日当たりの良い席を陣取ると、次々新入生が入ってきた。


更に驚いたのは新入生がとても多い事だった。

25人か30人はいるだろう。

コイフの驚きは続く、新入生の年齢が様々だった事だ。

同い年から大人、おじさんやおばさん、おばあちゃんまで居た。


同じ学舎から来た姉妹は居なかったが、別の学舎から来た姉妹は居たので「ひさしぶりなの~! 」と手を取り合う。

同室のクロエを紹介すると、初対面の時の様にカチンコチンになってしまったりした。



「こんなにいっぱいクラスメイトがいるなんて初めてなのよ」

コイフが言うとクロエが笑う。


「あーしらのトコはこれくらいだったのさ、平民街ならもーっと多いのさ! 」

へらへらと笑ってワンピースの袖を振るクロエは、耳をピーンと立てる。

クロエの短い耳はリボンみたいでとっても可愛くって、背の低いクロエと並ぶと時々その自由な耳がコイフの顔を撫でた。


(貴族以外はあんまり耳の動きを気にしなくていいのね、ちょっとうらやましいのよ)とコイフは思う。




「あ! 」

誰かを見つけたクロエの耳がピンと立つ。

「昨日話したのアイツなのさ! 紹介するから待ってるのさ! 」

とクロエは飛び跳ねて行ってしまった。

その先にいる数人は、コイフの着古したワンピースより着古した服を着ている。



『貧民街』と呼ばれる居住区がある事は知っていた。



教え処の貴族教育で、国勢を教わった時にレッキス先生が短く言ったのだ。

「我が国にも生活が苦しい国民がいます、貧民、彼らが住む居住区を貧民街と呼びます。これは悪い言葉なので使ってはいけません。」

それだけだった。


レッキス先生も進学を重ねる内にこうして出会って知っていったのだろう、とコイフは思う。


(それなら、今すぐ知りたいわ)とコイフは思った。



そして満面の笑顔でクロエの後ろを追いかけた。


「はじめまして、わたしクロエの友達でコイフというのよ、よろしくなのよ! 」

平民かすわ貴族かと狼狽えたり睨んだりする少女に、クロエがいつもの鷹揚さで、へらと笑って言う。

「同室になったコイフなのさ! コイフはすっごくいいやつなのさ! あーしの一張羅を乾かしてくれたのさ! 」


クロエの鷹揚さで場の空気がほわっと和む。

「知り合いが全然いないなの、仲良くしてほしいのよ! 」

コイフは敢えて耳をパタパタさせる。

クロエの古馴染みはふ、と肩の力を抜いて挨拶をしてくれた。



「私はロビンなのねークロエの1こ上なのねー、コイフちゃんよろしくなのねー! 」

ネザーランドドワーフのリンクスの人懐っこそうな少女が、首に巻いた黄色と青のスカーフを弄りながら挨拶してくれる。

紫がかった灰色の毛色で、顎の下の体の正面の色が白い毛色だ。

ロビンはスカーフで首を隠しているからきっと紫灰の毛色が自慢なのだろうとコイフは思った。


「私とクロエは家が近くって産まれた時から面倒みてやってたのねー! 」

えっへんと胸を張る、ワンピースから白いマフが覗き、コイフはドキっとする。

(オトナなのよ!)

ロビンは気にせずに話つづける。


「私の方が1つ上なのに、クロエったら進学塾で一緒だったのねー、散々面倒見た子が飛び級で上の組に来ちゃったもんだからびっくりしたのねー! 」

「ロビン!その話は恥ずかしいからやめるのさ! 」

ロビンとクロエがふざけて揉みくちゃになる。


「クロエって優秀なのね! 」

コイフの言葉にクロエが笑う

「進学舎の方が優秀なのさ、あーしだって入れなかったのさ! 」

そこで聞いた話はこうだった。

コイフが卒業した進学舎は、我が国の誇るハイレベル教育機関だったこと。

それを聞いたコイフは「やっぱり…」と項垂れた。だってとっても大変だったんだもの。




普通の兎人うさひとは進学舎などとても行けないから、進学塾(塾と呼ばれているがれっきとした学校の一種である。)に数年通って高等舎(この学校のような、国内の最高学舎)を目指す。

クロエとロビンはこのルートだ。


家の経済状況が苦しくてすぐに働かなければならない子供は、専門労働舎に入る。

学びと就労が同時に出来る学校なのだそうで、就職した後に自分で給金を貯めたり時間を作ったりして、私塾に通って高等舎を目指す者も多く、もちろん就学給付金が出る。

コイフは卒業休みと進学準備期間をつかって、おばあちゃんのベル先生の妹さん、クレア薬師の私塾に通ったので、実はこっちのルートである。

(実際は泊まり込んでいたので運転免許合宿の様なものだ、とコイフの前世の記憶が主張するのだが。)


だからクラスメイトの年齢がバラバラなのだそうだ。


もちろん、義務教育期間の8歳までは国費で寮に住まなければならないし、衣食も与えられる。

就学金で就学する者も、望めば同じ待遇が得られる。


ちなみに、クロエの古馴染みが着ている伝統模様のワンピースも学校の支給品だ。

このワンピースを作る『専門服飾学舎』というのが女の子達が最も憧れる進学先なのだとロビンが話してくれた。

流石、兎人の花形仕事、機織りである!


「わたしも服を作るの大好きなのよ! 」

とコイフが笑うとクロエとロビンがコイフにわっと押し寄せる。


「ねー! コイフちゃんのそのお袖自分で作ったのね? 」

とロビンがスカーフを弄りながらコイフの全身を見る。


コイフも真似してロビンを見る。

古くなったワンピースと比較して、スカーフは新しく、安い生地ながらも洒落た色組で織られている。


「ロビンはオシャレが好きなのね」

「だーい好きなのねー! だから2年目から稼げる薬学舎を目指したのね! ほらみてねー、この帯は蚤の市で買った掘り出し物なのねー! 」

紫灰の毛色とワンピースの色組に合わせて、黄色と青のラインのスカーフと紫紺に灰銀の帯を付けているのだとコイフは気が付いた。


(たしかに、ここに首や胸の白が入ったら色合わせがおかしくなっちゃうのよ)

コイフは一瞬でも(リンクスなのがコンプレックスなのかしら)と思った自分を叱った。


「とっても素敵なのよ! センスが良いのよ」

どこの世界でもオシャレにはお金がかかる物である。

ロビンはコイフの手を握った。

「ねーコイフちゃん! 私にもお裁縫を教えて! 」

コイフは打ち解けられたのが嬉しくて耳がうっかり立ってしまいそうになって…我慢せずにそのまま耳をピンと跳ねさせた!

「嬉しいのよ! みんなでお裁縫するの楽しそうなのよ! クロエも一緒にやるなのよ! 」

「あ、あーしもいいのかい⁉ やるのさ! 糸を手に入れたらみんなでやるのさ! 」


きゃっきゃと盛り上がって、教室に入ってきた職員に早速叱られてしまったけれど、コイフは1日ニコニコ顔で過ごせたのだった。




最初の授業では教室の掃除をした。


備品を洗って拭いて壊れていないかの点検。

床や窓を拭いて、薬品や石ころ、不要な草が紛れ込んでいないかの確認。


最後に全員に、新品の袖付きエプロン(割烹着に似ているわ、とコイフは思った)と、三角巾と口布に足布が配られた。

「真っ白の防水布です、教室の中ではこれを着用すること」

クロエや数人が早速足に巻き替えようとして、「外では着用しないこと」と教授(先生の事らしい)に注意された。


「この真っ白が薬草で汚れて真っ黒くなるくらい、みなさん勉学に励んでください」

と教授はニンマリ笑った。

コイフはその言葉に感銘を受けて、ピンと胸を張って「はい!」と答えた。



すぐにカーンカーンと鐘突きの音が聞こえて、これがチャイムらしい。

「次は取得授業を決めます。教室は隣のオレンジ色の看板がかかった棟です、では15分の休憩」と言って教室を出て行った。


「15分の休憩と移動込みの15分は違うのさ」

「わたしもそう思うのよ」

クロエの言い草が面白くって、コイフはクスクス笑いながら、ロビンと合流して教室を出る。

春の暖かい日差しに目を細めて、思わず出るあくびもかみ殺したりしない。

(だって仲良くなりたいんですもの)



ロビンは目元がキリリとクールで愛らしい。

好きな物があって可愛らしく瑞々しい少女だ、自分と何が違うのかなんてわからない。


(わたし、出自関係なく仲良くなれる国が良いわ、そういう国にしたいわ)

その為にはなにをすればいいだろう、何をどう学べばいいんだろう。

でも先んじてやることだけは決まった。



「わたし、友達をいっぱい作るわ! みんなともっと仲良くなりたいのよ、最高の学校生活にしたいのよ! 」

コイフがそう言って、いーっと歯をむき出して笑ったから、クロエもロビンも笑った。

(わたし、国を変える前にわたしが変わるわ! )

コイフは二つ目の生きる目的を、そっと胸の奥に抱いたのだった。




外に出てオレンジの札が掛かった隣の教室に移動する。こちらは兎人特有の丸い室内で、合板の丈夫な机に、コクーンチェアが置いてある。

コイフとクロエははしゃぎながらコクーンチェアに座った。

「背もたれが丸くて快適なのよー! 真っ直ぐ座れるのよ」

「きっと兎人うさひとのための椅子なのさー!」

クッションがフカフカで、クスクス笑い合う。


カーンカーンとチャイムが鳴った。

初めて会う教授と、その助手の人が来て、希望の取得授業の聞き取りが順繰りに始まった。



「では希望を聞きします、名前と、入学された目的を教えてください? 」


「あーしはクロエなのさ! あーしの住んでる地区には病院も薬屋も少ないのさ! だから流しの薬師をやって儲けたいのさ! 」

「はい、起業希望ですね、でしたら経営学は必ず専攻しましょう、実践的な授業と、症状の診断も必要ですね」

助手の人がクロエの時間割を作っていく。




「私はロビンなのねー! 来年、従兄の兄さんが薬局を開くのね、私はそこで雇ってもらうのねー! 」

「なるほど、その薬局は受付と調剤師が分れていますか? 」

「うーん、どっちもやって欲しいって言われたのね」

「でしたら、就職希望で、販売者資格と事務は必ず取りましょう」

ロビンの時間割も出来ていく。




「あたしはムークです、商業労働舎の雑貨店で薬草を売っていました、だから今度は薬草を薬にして売る資格も欲しいんです」

「キャリアアップですかー、しっかりしてますねぇ! では薬草基礎と事務は資格持ってますね? そしたら薬草調剤と、販売者資格は? 」

「販売者資格はあります! 薬草調剤資格も欲しいです! あとキノコってどの授業で学べますか? 」

積極的に助手の人と話を詰めている少女。




「ミ、ミミは、ミミですっ…! えと、その、あの、ど、どどど動機はぁ! おじーちゃんの薬酒作りを継ぎたくって! ミミはぁ! おじーちゃんのいちご酒が大好きで! 」

「落ち着いて、ゆっくりで大丈夫ですよ」

「は、はひ、で、薬酒の作り方と、し、資格と? 売る資格も欲しくって…! 」

怯えながら必死に頑張って話している少女。




(みんないっぱい考えてるなのね…なんだかかっこいいのよ)

コイフは聞き取りをされるクラスメイトを見て、なんだかキラキラした、誇らしいような気持になった。



「では、希望を伺います、名前と進学理由をお願いします」


コイフの番が回って来て、助手さんが授業の書かれたボードを見せてくれる。

そこには各教室の担当教授と担当授業が書かれていた。


(なるほど、座学は続けて出ないとわからなくなってしまうわね、でも実技は自分の課題を持って教室に行けばいつでも教えを乞えるのね、すごいのよ)


「わたくしはコイフと申します、薬学を志したのは妹が流感で死にそうになったからでした、風邪や流感にいつでも素早く対応したい、そういう仕組みを作りたいのです、その為にはわたくし自身が薬学を深く知らなければなりません」

「そう…、なりますと…起業なさるのですか? 」

助手の人の空気が変わる、王族マナーでしゃべっているのだから仕方ないけれど…。


「いいえ、起業の資格は卒業後でも取れるとクレア薬師が仰っていましたので」

「ああ! クレア薬師のお弟子様なのですね! では卒業後はどちらかに留学を? 」

「いえ、クレア薬師とベル先生のご実家の薬剤店で実務経験を積む予定です」

「では就職ですか、珍しいですね、その…王族の方が国内で就職というのは…宜しいんですか? 」

「はい、在学中は休日に進学魔法塾に通います、成人後に王都の魔法学校に入学予定です、ですので王都でも薬局に勤めたく思っておりますの」


助手の人が目を丸くする。

「王族が留学期間に働く必要があるとは思えませんが…」


コイフは仕方ないと思う。だってわたしだってそう思うもの。


「ワカお兄様がお帰りになれば、王位がいつ変わってもおかしくありませんもの、そしたら王族特権の補助が打ち切られる可能性だってありますわ、生活費くらいは稼げるようになりたいんですの」

笑って見せる。

「ですからわたくしは、ワカお兄様の代になって貴族でなくなってしまっても、薬の流通や運用を変えられるように、出来る限りの薬学の知識を身に着けたいのです、生薬、診断、製薬、調剤…とにかくなんでも…! 」


助手の人が手元の時間割に何やら書き込むと「承りました」と言って頷く。

「では、今から隣室に移動されて、教授とお話しください。」

「はい、わかりましたわ」

渡された時間割をみて鼻を鳴らしかけた。

(なんなのこのエキスパートって⁉ )

他の人は渡された時間割に授業を足したり、資格試験の補助金申込書を作ったりしているのにコイフだけ別室に行かなければいけないらしい。

(こ、心細いのよ~! )

それでも王族の皮を被ったまま、コイフは教授との面談に臨んだ。



エキスパートなんて書かれていたから何かと思ったけど、高等薬学舎に残って研究職になりたい人の為の授業を、研究職志望でない者が受講する、というだけの話だった。

研究職志望の人は、普通に後から来た。

(うう、怖がった事、恥ずかしくなんかないのなのよ…! )とコイフは真っ赤になった耳を洗った。




カーンカーンとチャイムが鳴って、次からはもう各教室の説明会だ。

「ふああ~! 肩凝ったのさ~! 」

クロエが背伸びをして、ロビンもスカーフを直し、コイフも深呼吸した。緑の良い匂いがする。


今いる教室区画を出て、低木の前で立ち話になった。


ここは棟と棟の合間に造られたちょっとした中庭だ。

整えられた樹木とベンチが置かれており、授業合間の少しの休憩時間でも立ち寄れるようになっている。

太陽光が差し込み風が流れてきて気持ちが良い。


コイフにとっては何もかも新鮮だ。


時間割表には個別で名前と寮が記入されていて、なんと布製だ。

コマごとに判子で教科と教室名が押されている。

一人一枚持っていて、これが学生証になるというのだからコイフには驚きだった。

その学生証を見せあいっこして、「次は、みんな薬学基礎の教室なのよ」とコイフが言う。

案内板がすぐ近くにあって、それを見たロビンが「こっちなのねー!」と指を指した。



「ねー! コイフちゃんさっき別の教室に行ってたのねー? 」

ロビンの言葉にコイフは小さく顔を洗う。

「そうなのよ、私一人でとっても心細かったのよ、だからふたりに会えてとっても安心したのよ! 」


教室に向かって、桜並木の通りを歩く。


高等薬学舎は1年目で資格を取り、2年目から薬師見習いとして給金を得られる学舎だ。


「しっかり勉強して早く売れるようになりたいのさー」

クロエが木炭のペンを回しながら言う。


「売れたら糸を買うのねー」

ロビンがスカーフを弄りながら言う。

「緑色の屋根の寄宿舎に裁縫室があるってオリエンテーションで聞いたのねー」


その言葉にコイフは立ち止まる。


(確か、さっきの聞き取りで薬草の販売資格を持っているって言ってた女の子がいたのよ)


販売資格を取れるのは一年の最後だ。何故なら一年間の座学と実習経験が無ければ試験が受けられないからである。

(販売資格さえあれば一年生からでも薬草を売ってお金を稼げるのよ…)

などと邪な事を考えた瞬間だった。



今から入る教室から男子生徒が転がり出てきた。


「わぁああ! なんなのさ⁉ 」

クロエがびっくりして悲鳴を上げる。

「! 」

コイフは転がってきた男子生徒の視線の先を見て驚いた。


「ナンパヤローはさっさと失せるのです! 」

先ほどの聞き取り調査で怯えながら必死に話していた少女が、小さい背丈で堂々の仁王立ちをして怒っていた。

ふわふわのドワーフライオンでブルートートの毛並み、コクーン型のワンピースに白い前掛けを挟んでいる。


「ふぁあ、美少女なのさ…」

言った瞬間クロエが自分の口を塞ぐ。

目で「セーフ? 」と聞いてくるが完全にアウトである。


少女が口を開く。

「ミミはあんまりにも可愛く産まれちゃったから、見とれた神様がうっかり性別を間違えちゃったのです、でもミミは神様をぜんぜん許してあげるのです、だからミミは男なのです、ナンパヤロ―は神様じゃないから許してやらないのです! 人をナンパした上に貧マフ呼ばわりとは、同じ男の風上にも置けないのです! 成敗! 」

ミミの蹴りがナンパヤロ―であるところの男子生徒に命中しそうな瞬間、コイフはその間に割り入った。

「そこまでなのよ! 」

「なっ??? 」

魔法の透明な壁が展開される。


ミミは魔法の壁を蹴って無事着地をし、男子生徒は「ごめんなさいー!! 」と叫んでその場から走り去った。

「ミミちゃんも足を痛めちゃうし、教授に怒られちゃうのよ」


エッヘン!


と、わざとらしく咳払いしたのは次の授業の教授だった。

「ワタシは何も見ていない、いいね? 」

と教授が言うと、ミミがぶわわっと膨れていた毛を今度はしなしなにヘタレさせた。

「教授、ご、ごめんなさいなのです…怒りで我を忘れていたのです…」

ミミは今にも泣きだしそうに震えていて、とても演技には見えない。

本当に普段は臆病な性格なのだろう。

「教授、教室内で魔法を使いました、申し訳ありません」

コイフもペコリと膝を追って謝る。(耳が相手に当たってしまうから腰を折るのは稀だ)

「ワタシは何も見ていない、さぁ教室に入りなさい」

コイフと、クロエとロビンと、それからミミは「「「「はい」」」」と声を揃えた。



ミミがなぜかついてきて、4人同じ机に座る。

ここは丸い室内に、箱型の作業台があって、丸太の輪切りの椅子が四つずつ並んでいる。

(理科室みたいなのよ)とコイフは思った。


「あのう…、えっと、ミミは、ミミっていうのです、さっきはごめんなさいなのです…」

さっきとは蹴りのことだろう。

教授の講義を聞きつつコイフはこそこそ小さい声で返す。

「いいなのよ、わたしもホントはぶっ飛ばしちゃえーって思ってたのよ」

というとクロエがクスクスと笑い出した。

「コイフは本当に外ヅラが良いのさー、あーしも同じ気持ちだったのさ」

「今日は入学初日で、教授もいたからねー、コイフちゃん魔法かっこよかったのねー」

ロビンの言葉にミミが頷く。

「なのです! 魔法かっこよかったのです、止めてくれてありがとうなのです、初日に退学になったらおじいちゃんが悲しむのです…」


おじいちゃん、という単語にコイフはピンと来た。

「さっきの聞き取り調査で、おじい様の薬酒を継ぎたいって言ってた子なのね? 」

ミミは跳ねあがらんくらいに驚いて「聞こえてたのです⁉ 」と言った。

「私も聞こえてたよ、緊張してたもんねー? 」

「ぅう…ミミは、はずかしいのです…」

ロビンの言葉にミミが俯く。

「恥ずかしくないのさ、いい夢なのさ」

クロエが首を傾げる。

「いい夢って、本当なのです? 」

ミミの言葉に全員が頷いた。

「いい夢って思うのよ」

コイフが言った。


「エッヘン、教科書を取りに来るように」

教授の声に全員立ち上がって、この話は一旦途切れてしまった。




「ミミの夢がいい夢って本当に思ってるなら、その、あの! ミミの‼ お友達に‼ なって欲しいのです‼ 」

ミミがそう叫んだのは授業が終わって教室を出てからだった。


「いーのさ‼ 」とクロエが言う。

ミミは今度こそ飛び上がって喜んだ。

「うれしいのです! うれしいのです! 女の子のお友達なのです! 」

スカートを翻してクルクルと回る。

「神様が間違えちゃったけど、ミミはやっぱり女の子の格好が好きなのです! みんな素敵な恰好をしているから気になっていたのです! 」

これにはロビンが飛び跳ねて喜んだ。

「わかってくれるのね⁉ この努力を! 」

「はいなのです、色合わせが最高なのです! 」

「親友ね! これはもう親友なのねー! 」

ロビンとミミは抱き合って跳ね合った。

「初日から友達がいっぱい出来てとってもうれしいのよ、わたしはコイフなのよー、よろしくなのよ」

「あーしはクロエ! 」

「私はロビンなのねー」

「コイフ、クロエ、ロビン、よろしくなのです! 」


4人はきゃっきゃと戯れながら次の教室に向かう。




そして…

「迷ったのさーーー!!! 」


案内板の前で途方に暮れている。

「まずココがコレだとして、つぎは本当にココなのよ? 」

「まずココがココだとしてココは遠すぎないのねー⁉ 」

「ミミは混乱してきたのです、薬学舎広すぎなのです…! 」


「あなた達、たしかさっきの教室に居たよね? 」

声を掛けられ振り返る。


好奇心たっぷりのまんまるの目がコイフ達を見つめている。背の高いアメファジのチョコレート色の少女だ。

毛足が長いのが可愛らしい。

「次の教室こっちだよ、もうすっごくわかりにくくって、さっき聞いて戻って来たんだよ」

「助かったのよ! ありがとう」

少女は耳のふわふわの長毛を指でねじる。

雰囲気が柔らかいのにしっかり者だ。

「いいんだよ、一緒に行こうよ」

「助かったのさ~でもなんで同じ授業だってわかったのさ?」

少女がクスクス笑う。

「毎年新入生が迷うんだって、道を聞いた教授が言ってたんだよ、見つけたら連れてきてやってくれって言われたんだ」

確かにコイフたちは分りやすく迷っていた。


「親切なのです」

「うちはめっちゃくちゃ兄弟が多くてね、よくおせっかい焼いちゃうんだよ、あたしはムーク、よろしくね」

「ありがとうなの、わたしはコイフなのよ」

「よろしくコイフさん」

「よろしくなのよムーク…さん? 」

「ムークでいいよ、あたしのこれは癖みたいなモンだから」

コイフはその心遣いがとてもうれしかった。

「よろしくなのよムーク、わたしとってもうれしいわ! 」


歩きながらそれぞれ自己紹介をする。


ムークはなんと同い年の兄弟が12人もいるらしい。前世のコイフが(どこのシス〇リだ?)と言っているがコイフにはよくわからなかった。

あんまりにもいっぱい産まれてしまったものだから、専門労働舎で働きながら進学したんだ、とムークは言う。

「だからクロエさんの2つ上」

ということはムークはコイフの3つ上だ。

「オトナなのよ…! しっかりさんで心強いのよ」

コイフはオトナに憧れるお年頃である。

ムークが照れたみたいに笑った。

一番身長が高くって、耳の毛をくるくる指で弄ぶムークを見て、(はわわ、大人のお姉さんなのよ…! あこがれるのよ)と思った。



「あーし達はお金を稼いで糸を買うのさ! それで服作りをコイフに教えてもらう約束なのさ」

雑談の中のその言葉を聞いて、ムークとミミの目の色が変わった。


「コイフさん、糸か布を買ったら、あたしたちにも、その、服の作り方教えてくれる?」

ムークが好奇心たっぷりに飛び跳ねる。

ふわふわの耳毛がくるんくるんとして愛らしい。


「ミミは不器用なのです、コイフ、ミミにもお裁縫教えてほしいのです。」

ミミが恐る恐る、と言った様子でムークの背中側から出てきた。


「もちろんなのよ! みんなで作ってオシャレするなのよー」

ムークもミミも手を取って喜び合う。


「そういえば、ムークは専門労働舎で何をしていたの?」

コイフの問いにムークが答える。

「商業労働舎の雑貨店で薬草を売ってたよ」

その答えに、コイフの中でフラグが全て繋がった気がした。



「ねぇムーク? ムークは薬草の販売資格持ってるなのよ? わたし達が薬草を摘んできて、ムークに経費を払って売って来てもらえれば、1年目からでもお金が稼げるのよ? 」



全員が硬直した。

「持ってる…うん、持ってるよコイフさん…!」

「コイフ天才なのさ…! 糸が買えるのさ…! 」

「簡単な薬草ならみんなわかるのねー…! 」

「早速明日からやるなのです…! 」

クロエとミミが瞳をキラキラさせる。


(こういう時なんて〆るかしってるのよ)とコイフは思った



そういうことになった。

(なのよ)


次回の更新は1月11日火曜日です。

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