──新生
毎日投稿、今日もしました!笑(12時超え)
──そろそろ孵る頃だ
それは近々器は満ちるだろうと本能的に理解していた。
そして人の多い場所へ向かい、器を満たそうとしたトキ──
ドパンッッッ──!!!
──何が起きたのか判らなかった。ただ一つ、自分が今殺されたという事だけは薄々感づいていた。
首を失っても尚意識が継続しているのはそれが上位の存在に至ったお蔭であろう。
しかし、自らの惨状を認識するに最早回復することは叶わぬ。
それは生きることを諦めた。
しかし声が聴こえたのだ。
【──■調■■■認■しますか?】
頭の中に流れるその声を聞いてそれは今まで感じた事の無かった沸々とした怒りを身体の奥底から感じた。
しかし、同時に見知らぬ存在から受けた死に対する恐怖も感じた。
これまで一方的に奪う側だったそれはこうも一方的に奪われた事は一度もなく、弱者の気持ちを理解することなどなかった。
しかし先程の認識不可の一撃はそんな生まれての強者であったそれに原始的恐怖を懐かせるのには十分なものであった。
そこでそれは生まれて初めて欲しいと思った。
──力を欲す。
【──■認■■■した。■化■■■請■■中……受■■■した。これより■■■■に移行し■す】
バキバキバキと肉体に変化が起こる。
【──肉体干渉】
【■■■■移植】
【適合化】
【才能拡張】
【全バロメーター拡張】
【固有スキル:《黒星新生》付与】
【スキル:《死後耐性獲得》付与】
【スキル:《捕食強化》付与】
【MVP特典付与】
【適合確認】
【《侵食度:Ⅲ級EGM》誕生】
【真名:【新生竜 アドロスター】】
それは、【新生竜 アドロスター】は死をも覆し、死をも糧とする化け物へ変化した。
そして新たな生を得た【新生竜 アドロスター】は何気なしに目の前にいた人間を踏み潰し肉塊に変えると、大幅に上昇した気配察知能力を駆使し、自分を殺した者を探そうとする。──が
((──!!!!?))
──イキテイタノカ、ダガモウオワリダ
力がこぞっと抜けていく感覚に襲われる。
視界がぐらんと回り、ナニガオキタノカワカラナイ・・・
そこで【新生竜 アドロスター】の新たなる生は終わりを告げた──
「──は?」
何時まで経っても来ない終わりに目を開いた荒くれ者の男。
そしたら目の前には灰となって風化する様に消えていく魔竜の姿が。
「ヒッ……!?」
訳も判らず命を拾った男は茫然としながらもこう思ったという。
(──此れからは全うに生きよう)
と。
しかし、誰も気付かなかった。風化した魔竜から一筋の影が抜けていく所を。
それが魔竜を殺した因子だということを。
***
──人気のない裏路地にて
(──時間的にそろそろか)
おぞましい形をした黒が唸るように近付いてきた。
かと思うと、男の影に吸い込まれていく。
しかし、その瞬間を見た者は誰もいない。
チャリン、と十字架の耳飾りが音を立てた。
始まる前から終わっていた。(棒読み)
次からは主人公視点に戻ります。
↓ポイントをいただけるとうれしいのでつづきがかけます。(にゃー)