198 あるカップル(だった二人)の今の形
カジノの一件から数日が経った。
ついに我が家における食べ物が以前よりも貧相になった。
具体的に言うと、オヤツや副食関係。
高級店のケーキがノエの手作りクッキーに変わり、高級アップルティーが、ノエの実家から持ってきたパックの紅茶に変わったり。
今日の晩御飯も、具が少なめのオニオンスープに何時もの半分ぐらいのステーキだ。
それでもノエは一生懸命料理してくれて豪華にみせてくれてる。
いや、私はまだ良いんだけどノエがちゃんと食べているか心配である。
一応食事は、パパが最低限にと納品契約してるので保障されているけどさ……。
夕食時、今日も以前の半分以下になった食事を見ては思わず鼻で笑う。
「す、すすみませんっ! す、すぐにお代わり分を」
ノエが走り出そうとするので待ったをかける。
「まったまった! だ、大丈夫よダイエットにもいいから、そうダイエットよ! ええっと仕送りが来週来ると思うし大丈夫だから!」
私が必死にノエに言うのは理由がある。
初日に食事も貧乏臭くなったわね。って言うとノエはお代わりを出してきたのだ。
私はノエの夕食とは知らずにパクパク食べた
気づいたのは、お腹を鳴らしたノエと原因をこっそり教えてくれたガルドだ。
直ぐにパパにお金の打診をしたので、それまでの辛抱である。
何時もよりながーく租借をしながら食べていると、ドアノッカーの音が聞こえてきた。
「珍しい時間にお客ね。ノエー」
「はい、確認してきます」
玄関で話し声が聞こえた後にノエだけが帰って来る。
リュートが来たと教えてくれた。
「珍しいわね。会うわ、応接室に通して頂戴」
「はいっ」
私は残ったスープを流し込むと、応接室に向かった。
先に応接室にいたリュートが私をみて、眉をひそめてきた。
「いきなり睨まれる筋合いはないんですけど……」
「ああ、ちがう。考え事をしていただけだ。その、久しぶりだね
「そういえばそうね……学園祭以来かしら」
「最近ナナとあってるかい?」
ナナ? はっもしかして、リュートもやっとゲーム本編と同じナナルートに入ったのかしら。
ナナの事を思って、敵役である悪役令嬢にナナの事を相談する。
私はナナのある事ない事を吹き込んで、それを信じたリュートはナナに確認するの。
で、ナナは誤解です! ってイベントが起きていって――――。
「そろそろ話をしていいかな」
「はっ! 別にいつでもいいわよ。で、ナナの何が知りたいの? スリーサイズ?
好きな食べ物? 後は脅しにつかえそうなネタとか?」
「違う」
「えっ……じゃぁなに。まさか誘拐を手伝って欲しいとか?」
「元カノに、そうお願いするクズと思ってるのかな?」
「でも、リュートが私に付き合いたいって最初の動機はエレファントさんの治療のためでしょ? 私の行動に内心イライラしてたでしょうし」
「っ!!」
リュートの顔が真っ青になった。
あ、やべ。
この情報ってゲームやってる人だけの情報だった。
リュートは軽く咳払いをして床に視線を落とした、一瞬くらい顔をした後に何時もの笑顔を見せてくる。
「過去と今は違うし、エルン今日は俺の話をしにきたわけじゃないよ」
「そうだったわね。ええっとナナがどうしたのよ」
「その良くない噂を聞いてね」
ソファーに座りテーブルにひじをつきはじめる。
しぐさが一々決まるのよね。
リュートが教えてくれたのは、簡単にいうとここ数日ナナの様子がおかしいとマギカの話で解ったと。
突然家にある妖精さんを解雇して、マギカの弟子育成も休暇にした。
「別に一人になりたい時あるんじゃないの?」
「エルンもそういう時はあるのかい?」
「そりゃたまには」
「俺もそうマギカに伝えたよ。でも、ナナは最近不良品を高値で売ってるらしいんだ」
ほわっつ?
ナナに限ってそれは無い。
「マギカの嘘じゃないの? って顔をしてるよね。わかる俺自身も少し、ほんの少しだけ疑った。でも母が不純物が多い石鹸と治癒能力が低いポーションを持って来て、どうやらナナさんがこれを売っているらしいのです。と、ね」
「んんんんん」
思わず変な声がでる。
手の平をリュートに見せて話を遮断させた。
「正直何があったのか知りたいし、困っているなら助けたいってのはある。でも、私に関係ある?」
「無いよ」
「あっさりね」
「それを言うと、俺にも関係ないし。でも母がエルンに伝えたほうがいいだろうって言ってね、男性の俺よりは君のほうがいいだろうって」
「…………確かに、別に何が合ったとか助ける助けないじゃなくても、気にはなるわよね。ありがと、明日にでも行ってみるわ」
話を切り上げると、リュートはさっさと帰ろうとする。
懐かしいわね、昔も用件が終わったらさっさと帰ろうとしてたっけ。
そして、私は必死で引き止めるのよね。
新しい食べ物が手にはいったとか、新しい剣があるわとか。
三回に、いえ四回に一回は付き合ってくれたのよね。
「玄関まで見送るわって何笑ってるのよ」
「いや、昔は玄関までってい言って強引に馬車に乗って家までついて来たな。とおもってね」
「そうそう、そして何故かリュートの家に入ろうとすると、母上の病気がうつったら大変だ。とか、執事が急病で料理が出せない。とかで追い出されたわね。今日は本当に玄関までよ」
少しだけ懐かしい感じだ。
ほんの一年前までは、あんな感じだったなーって。
別に前の性格が消えているわけじゃないし、やった事人並みに覚えているしー。




