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3/23

3:チートらしい……勿論俺以外がね!!

不定期更新ですが今週は毎日投稿頑張ります。


この後もう一話投稿できたらします。


 「ま、仕方ないか」

 チートを貰えずうちひしがれていた俺だったが結局はいつもの事だと切り替える。それよりも俺にはやることがあった。


 「ふんふふ~♪」

 魔力を練り上げ魔方陣を組み立てていく。

 

 『な、これは転送貴方――――』


 女神が何か驚いているが無視して目的の物を取り寄せる。

 意識が地球へと、見慣れた教室へと飛んでいく。


 ――――よし、接続リンク完了だな。


 手元には地球から現れたスマホが乗っかっていた。


 「やっぱり現代人としてはスマホがないとな。よかったよかった」


 このスマホには他にも色々なギミックがあるため手元に置いておきたかった。



 『そんな、地球からこの次元へと物を転送させるなんて……』

 「いやいや、余り驚かないでくださいよ。俺に出来るのなんてこんなもんですって」

 そう、俺はこの程度の事しか出来ない。いまだって、この次元は地球と異世界の狭間にありどちらとも繋がっているからこそ出来た事だ。一度異世界に行ってしまえば次元を越えて地球に接続等出来ない。それも、物体にマーカーをつけてやっとの転送だ。所詮俺はその程度でしかない。



 『十分感嘆に値する事だと思うんですけどね』

 「またまた~」

 煽ててくれる女神に謙遜しながらも地球から幾つかの物を転送させる。


 「あ、これこの空間に置いていきたいんですけどいいですかね?」

 この空間に置いておけば異世界からでも接続できる。


 『あ、はい。大丈夫ですけどっって! 貴方何者ですか!? 地球においてそのような力を持つもの等いるはずがありません!』

 まぁ、地球で得た力ではないから女神は正しい。

 とはいえ、一々説明するのも億劫だ。


 「女神様がデートしてくれるなら俺の全てを打ち明けますけど?」


 『ばっ、ばかな事を!』

 冗談に対して女神は頬を薄く染める。

 え、何この女神可愛くね?


 「すいません。女神様、デートの誘いしておいて何なんですが時間が無さそうなんて俺もういきますね」

 余り遅れていけば向こうで変に話が進みそうだ。

 女神の転送先を思いだし同じ座標を設定する。


 『な、私の魔方陣を読み取って……』

 「じゃあ、いってきます~」

 驚いた女神の顔を美人だなぁと思いながら俺は転送される。


 








 「我はファブニール王国の国王、ルイス・ファブニール13世である。お主達は勇者で相違ないか?」


 転送されるとクラスメイト達はちょうど王様と対峙している所であった。周りを騎士が囲んでおり一見物騒な感じだ。

 

 ……あ、横にいる女の子可愛い。

 

 お互いに勇者と王族という素性は知っているため敵意は感じない。


 「女神、アリスフィア様により遣わされた者であるのなら間違いなく私達です」

 「おお、やはり。召喚は成功ということか」

 王様が安堵の息を漏らし周りの騎士達も興奮露にする。


 この様子だと、定期的に侵略してくる魔王に対する切り札である勇者は快く迎えられるようだな。

 

 「よくやったぞ。アリシア」

 「はい! お父様。これで世界は救われますね」

 王様の横にいた可愛い女の子も喜んでいる。会話の感じだとあの女の子が俺たちを召喚した召喚主だったのか。


 「アリシア後は頼めるか?」

 「はい、お父様」

 

 俺達が(主に男子)見ている事に気づいたのか女の子は豪奢なドレスを埃を払うように何度か叩くとにかっと輝く笑顔を浮かべて名乗る。


 「私は第三王女の、アリシア・ファブニールです。勇者の皆様にはこの世界を救って頂く、勝手ながら召喚させていただきました」

 可愛い女の子は王女様だった。

 それにしても申し訳なさそうでいて召喚した喜びを確かに感じて汗を流しながら頬を染める女の子って……なんかこうグッと来るよね!



 「王様、私達は女神様から魔王が侵略してくると聞きました。しかし、私達はこの地については無知です。私達はあなた方の力をお借りしないといけません」

 「おお、それは勿論だとも。我等は勇者様がたが精一杯頑張れるよう全力支えさせてもらいます」


 王様はそれぞれにメイドと個室を与えて、できる限りのサポートを行ってくれると話してくれた。


 今までの異世界転移の中で類を見ない厚待遇だ。

 やはり、今回は少し違うのだろうか。


 「あー! ちょっと理桃、あんた何で遅れて来たのよ」

 クラスの中に混じっていた俺を目敏く発見した青山が小声で近寄ってくる。


 「別にスマホを忘れた事に気づいてな。女神様に送ってもらった」

 ポケットから出したスマホをヒラヒラと見せびらかす。

 

 「あんた……そんなもののために。此方では使えないっていうのに」

 呆れた視線を向けてくる青山。恐らくあの空間でスマホを確かめてみたのだろう。確かに普通のスマホならガラクタだが、俺のスマホは一味違うからな。地球のネットに普通に繋がったりする。どうやってと聞かれても面倒なので周りに話すつもりはない。貸してくれと頼まれるのも嫌だしな。


 「それにしてもおっきいよなここ」

 石柱があったり金色の刺繍が施された絨毯の先には赤い玉座があったりといかにもな玉座の間という部屋だ。


 初っぱなから王室にいくなど初めてのことだった。


 


 「――――では、皆様が得た『力の欠片』を調べるとしましょう」

 王様が王女に説明を任せると王女様が引き継いで説明しはじめる。

 「力の欠片?」

 「知りませんか勇者様。この地に降りた勇者は神により『力の欠片』を授かるのですが」

 「ああ、女神様が私達には力があると仰ってました」

 「それが『力の欠片』の事でしょう。我等はその『力の欠片』を調べる術があるのです。案内しますので皆様着いてくるようお願いします」

 

 王女様はそういうと俺らを引き連れて移動していく。


 渡り廊下のように長い石畳の廊下を歩いていく。

 天窓がいくつもあるためか意外と明るい。


 「つきました」

 俺達が案内されたのは調度品など何一つ置かれていない殺風景な部屋だった。


 いや、調度品など必要ない程この部屋には目を引くものがあった。部屋の中央にある台座。その上にバスケットボール台の大きな水晶玉が置いてある。

 

 神が持っていた神秘的なエネルギーが籠められた水晶玉だ。普通のものでないのは明らかだった。


 あれは、やばいな。



 「王女様……あれは」

 「赤城様。あれが皆様の『力の欠片』を判別する審美水晶です」


 ちゃっかり赤城の名前をゲットしていた王女様が説明する。

 

 「皆様には一人ずつ水晶玉に手を置いてもらいます。審美水晶には神秘的な力が宿っており、皆様の力を判別するのと共に覚醒を促す効果もあるのです。スキルの判別にはスキル名とそのスキルが世界においていかに稀少かを表すランクがでますの、最高がSでそれからA,B,C,D,E,Fと順番に下がっていく感じです」


 覚醒……確かに、女神の力がまだ魂に馴染んでいない者はあれで調整する機能があるようだった。


 「じゃあ、僕からいくよ」

 異世界に来てから少し一人称を猫被ってる我等が赤城が先陣を切って水晶玉に向かっていく。緊張した面持ちだが問題ないだろう。王道な世界においてどんな展開が待ち受けているのか想像に難くない。



 「これは、勇者の栄光に聖光魔法?」

 「赤城様。勇者の栄光は、ステータス全ての上昇に、魔法適正が高まったりと色々な面において上昇するSランクスキルですわ!! 聖光魔法もスキルでないと発動できない唯一の特別な魔法を扱えるようになるスキルで、同じくSランクスキルですわ!! 凄いまさに勇者に相応しいスキルですわ!!」

 思った通り赤城は強力なスキルを得ていた。

 高スペックのイケメンは何故か優遇される。

 これは王道異世界において基本中の基本だ。


 それにしても王女は先程、ステータスの全てにおいて上昇すると言っていた。王道の異世界らしくどうやらこの世界にはステータスなるものが存在するらしい。


 「しゃあ! んじゃまぁ、次は俺様の番かね」

 首をコキコキと気だるげに鳴らしながら水晶の前にたったのは金城だった。

 おらぁ! と無駄に威勢のよい声をあげながら金城は水晶に掌を置く。


 どうせ金城もいいスキルを持っているんだろ。


 「あん? 爆裂拳 ちっ、Aランクか」

 「Aランクもとてつもないですわ、それに……」

 「ちっ、金城だよ。金城拓三だ」

 「金城様のステータスを見たところ赤城様に劣らず高いですわ」


 へー、此方からは見えないがあの水晶スキルだけでなくステータスまで書いてあるのかそっちは楽しみだ。

 


 

 「あんたはいかないの?」

 「お前こそいいのか」

 「んー、私は後でいいかな~」

 側によって来た青山と話している間にもクラスメイト達は次々スキルをはかっていく。大体がBランク、中にはCランクやAランクの人が少数いるって所だ。ここまでSランクは一人だけだ。どうやら赤城はクラスの中においても特別だったらしい。


 残りは俺と青山だけになっていた。


 「どうぞ」

 お先にどうぞと掌を水晶へと向ける。


 「じゃ、行ってくるわ」


 青山は水晶の前に立つ。


 俺は既に察してる。ここまでの流れを見る限り、いや、異世界の王道においてカーストが上位の者は何故か異世界でも優遇される。


 イケメンかつ文武両道の赤城や、身体能力が高く赤城とは違う意味で有名で人望のあった金城。


 そんな中、俺の学校には有名な美少女が何人かいる。

 剣道美少女東雲さんは、Aランクスキル剣聖をちゃっかりと手に入れてるし、ただ一人の上級生の龍王子黒子先輩は同じくAランクの束縛の鎖なんという強そうなスキルを得ている。


 そして、青山はボブカットのさらさらな髪に優しげに垂れた瞳。男の視線を集める肢体を持つことなど含めて人気がある。


 俺が赤城と話きっかけという所からわかる通り、青山は上位のカーストにいる。



 「天使の癒しでAランクだってさ」

 「青山さん! 凄いですよ! 治癒系のスキルはそれだけで稀少なのにAランクなんて! 何人もの人がこれで救われます!!」

 本当に貴重なのか王女様が喜んでいる。

 流石上位カースト。ちゃっかりと高ランクのスキルを得ている。

 

 「次は……」

 「灰峰です」

 「はいみね様で最後ですね!!」

 最後の俺を見て王女様は上がったテンションのままでいる。大方ここまでの流れで俺にも強力なスキルが宿ってると思っているのだろう。残念ながら俺がスキルを図っても恐らく何も意味がない。 


 チートが貰えなかったからではない。

 忘れてはならないが俺は過去の世界でこの世界とは違う理の力を得ている。


 だが、ああやはり。駄目だ。やばいとは思っていたが目の前に来て確信した。この審美水晶玉とやらは魂に宿るスキルを水晶玉に映す物だ。俺がこれまで得てきた力は魂に付随したものではない。脳に肉体に宿っているものだ。俺の力の全てが水晶玉のチェックをすり抜ける。


 「お、でましたね。はいみねさんのスキルは……え? スキルがない?????」

 王女様が呆気に取られている。

 あー、こうなる事を予測してたから最後に回しておいてよかった。途中で呆然とされて中断させては周りに申し訳ない。



 「ど、どういうことですの……そ、そうだ。ステータス、異世界の方は軒並みステータスがたか……くない? いや、寧ろ低い????」


 ステータスの数値も俺は低い。当然だ俺の肉体は現在地球の平均男性のものに調節している。鍛えられたこの世界の平均男性とは肉体強度が違いすぎる。


 ステータスも現状俺はかなり低い。

 


 嫌な予感はしていたが正直俺も驚いている。

 チートを得れなくても俺が楽観視してたのは今までの世界でチートを授かってこないことも一つだが。そんなものなくても最低限の力は得ているという自負があったからだ。


 だから、チートがなくても周りとやってけると楽観視してた。

 だが、この世界では俺の力を目に見えるものとして現状証明出来ない。



 異世界ものにおいて王道な世界だと思っていた。チートに王室にステータス全てが王道の要素があった。


 だが、しかし、チートを貰えない所から不和がはじまり気付けば無能のレッテルを貼らされそうになっている。


 ある意味ありきたりで王道な展開だ。


 タイトルにするからこうか……異世界にきてチートを貰えなかったけど、持ち前の能力でがんばるぞい☆


 俺は無能側からスタートする事が決定した。

 


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