番外編10話 神様への新たな依頼
メルーサのダンジョンで売店を開き、ボーナス層や肉層など特別エリアを設けてからここに来る冒険者や一般市民が増え、入場規制が掛かるまでになって来た。ダンジョン内の自販機や売店でも売上も上がっているし、ダンジョン内の宿や温泉の利用者も多く拡張したほどだ。
そんなある日、冒険者ギルドから呼び出しがあった。
「忙しいところすまないな」ギルド長のドメルクさんだ。
「いえ、大丈夫です。で、要件は何でしょうか?」
「実は、イーカン神に頼んでもらいたいことがあってな……」
「ジジィ……イーカン様にですか? でそのお願とは何ですか?」
「実はだな。ダンジョンをもう一つ作って貰いたいのだ」
「ダンジョンを作るのですか??」
「知っての通り入場規制を設けるまで人が集まって来ていてな、ひどい時は半日待ちだ。これを放っておいたらまた人が離れるんだよ」
「そうなんですか?」
「行っても直ぐに入れないから時間の無駄だと噂が大きくなれば冒険者が来なくなる」
「そうなんですね……」
「だから新しいダンジョンを作ってもらってだな、そちらに入ってもらえるようにしたいのだ」
「分かりました。ジジィ……じゃない。イーカン様に聞いてみますね」
「頼む」
店に戻って来てジジィを呼び出した。
「ジジィ、居るか」
『おぉ~ 久しぶりの出番か?』
「久しぶりに仕事の依頼だよ」
『何じゃ……仕事の依頼か……帰る』
「帰っても良いけど、番外編での登場は二度と出来ないけど、それでも良いの?」
『なに? わしを脅すつもりか!』
「脅しじゃないよ」
『ただでさえ間隔も開き、個人の回想が多くてわしの出番が少ないのに、出番なしだと。許されんぞ。断じて許されん!』
「じゃ~ 話を聞いてくれるんだね」
『嫌じゃ!』
「即答かよ」
『新しいダンジョンは作らんぞ』
「何で知ってるの……?」
『しまった』
「また盗聴してたんだな……」
『あっ……そう言う訳じゃ……』
「じゃ~何なの??」
『あっ、そうそう。聞こえて来たんじゃ、そうじゃそうじゃ。聞こえて来たんじゃ』
「どうすれば聞こえてくるのかを知りたいね~」
『新たなダンジョンの話だったな。しばらく待て、考えてみるぞ』
「いつまでに??」
『えっ?』
「いつまでに答えをくれるの??」
『次回の話まででどうじゃ?』
「次回の話で間違いないだろうね?」
『お…おぅ。神に二言は無いのじゃ』
「二言どころか三言四言じゃねぇか……」
『とにかく次回の話までじゃ』
「あっ! もしかして出番を作るために先延ばししたな!!」
『な…なんの話じゃ????』
「やっぱりか……」