番外編 7 ミタマ。店内アイドルで売り上げに貢献する
おいらはミタマ。普段は猫のように小さくなっているけど、本来の姿は精霊獣のダイヤモンドタイガーなんだよ。ケンモたんのご飯が美味しかったから従魔になったんだよ。いまでもそれは満足しているんだ。だけどね、おいらの存在感がとても薄い感じがしているの。
本編でも番外編になっても登場シーンは少ない。嫉妬するわけじゃないけど、おいらより後から来たジャルが重宝されている。まぁ~お掃除したりゴミを食べたりとおいらよりも役に立っていることは認めてるよ。だけど、たまにはおいらにも目を向けて欲しいと思うよね。
この間、リーザとセレナがマドンナキャラのはずなのに扱いが雑だとか、食いしん坊だとか、気の強いオバさんキャラにされていると怒っていたけど、それを聞いて思ったんだ。
ここでは自己主張しないと可笑しなキャラにされるか、おいらのようにオマケキャラにされてしまうと。だから、おいらは自分の存在感を自分で示すために行動を起こすことにした。それは……
《 アイドルキャット作戦 》
夜の営業である立食い処に来るお客さんに愛嬌を振りまいて注文数を増やし、売り上げを伸ばす作戦だ。おいらのちょっと首を傾げた横から目線や甘い鳴き声に撫でるような可愛い猫パンチ。これらを駆使すればたいていの人間は落ちるはずなんだよね。
案の定、あちこちのテーブルから「タマちゃん~」「ミ~ちゃん」とかお声が掛かるから飛んでいくとおいらに料理を食べさせてくれたり、追加注文してくれるんだよ。ケンモたんの料理だからいくらでも入るしね。お蔭で売り上げは上がり、おいらも閉店まで空腹を我慢しなくても良いから一石二鳥なんだよね。ケンモたんからは「あまり上げないで」とお客さんに言ってるけど、おいらに魅了されてるお客さんには通じない。
だけど、これを見ていたジャルやポチまで真似してきた。ポチなんか『空腹の前に見栄など腹の足しにもならん』とプライドも見せない。まぁ~おいらもだけどね。
そのうちとかチャンまでもが参入して来たんだよ。店の中でアクロバット飛行をしてお客さんを楽しませていたようで、おいらの指名がかなり減って来ちゃった。でも、可愛さはおいらが一番だからまだまだアイドルの座は誰にも渡さないよ。