番外編 6 ワインと日本酒が届きました
「プラム兄さん~~遊びに来たよ~~~~~~~」
この声は……カレット殿下。
「ケンモさんオヒサです」
「殿下もお元気でなによりです」
「カレット! 今日は何しに来たんだ」
「今日はケンモさんにお届け物が有って来たんだよ」
「ならサッサと置いて、サッサと城へ戻れ」
「ヤダよ~ せっかく来たんだし。ゆっくりしたいじゃん」
「それで、オレに届け元は何ですか」
「これだよ。サルサ村のノゾミさんからラベルが預かって来て、僕が持って来たんだ」
「なんでお前が持ってくるんだ?」
「それは…… あっ、ほら…… ラベルを早くサルサ村に戻さないと……」
「無理やり取り上げたな」
「えっ…そんなおとちてないもんん」
「なにその『ちてないもんん』って」
「噛んだだけだもん」
「そうか。目も泳いでるぞ」
「そ…そんなことないもん」
「それで、ノゾミさんから預かった物ってなに?」
「これだよ」
目の前に置かれたのはワインと日本酒と大量のお米だった。添えられた手紙には今年取れた新米とそれで作ったお酒に、先日聞いていたワインで、ワインはあと半年ほど冷暗所で寝かすと味が落ち着いて来て美味しくなると書いてあった。ワインとは違う瓶に入った瑠璃色のお酒は古酒と書かれていた。
すでにユウゴ君もリョウ君も二十歳を過ぎたので、後でみんなで飲んでみようと思った。
「ところで、ラトスさんは一緒じゃないんですか?」
「ラトスは連れて来てないよ」
「いえ、来ておりますよ。ケンモ殿お久しぶりでございます」
「お元気そうで何よりです」
「恐縮です。では、殿下を連れて帰城させ頂きます」
「はい。お気を付けて」
「僕はまだ帰らないよ」
「ご用件は終わりましたのでお戻りになるのは当然の事でございます。それ、殿下をお連れしろ」
「ヤダ~~~ まだ居る~~~~~」
いつもの強制連行を見届けた後、届けられたものを片付けた。
頂いたお酒はとても美味しかった。正直、地球のお店で出していた物より美味しく感じた。そこで夜の営業で数量限定と謳って出したところ、これが好評でわずか1日で予定していた10本分を完売し、もっと無いのかと客に詰め寄られる事態になった事を受け、緊急の通信手段であるジャルラとラムちゃんの想念通話で買い増しを頼んでみた。
『ラムちゃん、ラムちゃん。ジャルラだよ~』
『ジャルラ兄ちゃん。こんにちは』
『あのね、ラムちゃんに主にお願いがあるの。聞いてもらっても良い』
『いいよ。なに?』
『あのね、日本酒を売ってくださいと伝えてくれるかな』
『分かった~』
ノゾミさんも販路を探していたからと200本を回してもらえる事になった。
それでも一月足らずで完売してしまうほど日本酒は人気となった。
(ケンモよ。わしにも日本酒を飲ませてくれんかのう)
残念だけど来るのが遅いからもう無いぞ
(なんと! もう無いのか……)
直接貰いに行けばいいじゃん
(それが出来んのじゃ……)
なんで?
(あ奴は創造主の加護を受けておるからのう。わしが関与出来んのじゃ)
なら諦めるしかないな
(ほかになにか手はないのか)
無い事も無いけど……
(それはなんだ!)
金払ってくれたら飲ませてやろう
(有るんじゃないか!)