第九話 神様、開店初日からパニックです
店は商業地区の外れに在り、予想では穏やかな始まりになるはずだった…
12時開店
店内に人が溢れた。ほとんどが日替わりサンドが目的のお客様だ。
客の話では、昼時と重なって、10ギルで食事ができると知った人たちが集まって来たとか。
初日の日替わりは新鮮な野菜サンド。肉系が買えなかった苦肉の策だ。
100個は作りすぎか? でも余ったら自分で食べようと思っていたが大間違いで、
あれよあれよの内に完売した。
買えなかった人たちから一人1パックにしろとか、数を増やせとか明日の優先券をくれとか…
まさかの大ブーイングを浴び浴び中。
15時に追加販売するからと、急遽、整理券を渡し、何とかこの騒ぎを落ち着かせたけど、
材料の調達をどうしよう??と、新たな悩みが生まれた。
「おい、部屋は空いてるか?」
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「8人だ」
「8名だと二部屋になりますがよろしいですか?」
「それで頼む」
「こちらの宿泊票にご記入をお願いします」
冒険者パーティー・メトロノーム・代表 オクト 男4・女4の8名様か。いきなり2部屋ね。
良い出だしだよ。
「では、1号室と2号室をお使いください。室内は土足厳禁なので、備え付けのスリッパをお使い下さい。チェックアウトは明日の11時です。また本日より10日間は連泊が出来ませんのでご了承ください。こちらが部屋の鍵です。あちらの扉の横に認証プレートがありますので、そこにこの鍵を翳すと扉が開き階段が在りますのでそこからお上がりください。鍵は一部屋に2枚づつお渡しします。あと、食事の提供はしていませんが、本日の日替わりサンドで良ければ別料金でご用意致しますが如何されますか?ただし、一人2パックまでです」 ふぅ~噛まずにちゃんと言えたよ。
「では、それを16パック頼む」
「ありがとうございます。それでは、お部屋のお代も先払いでお願いしていますので、お部屋が2部屋で1000ギル、日替わりサンドが16パックで160ギル、合せて1160ギルになります」
「これでいいのか?」
「結構です。日替わりサンドは15時半には用意して置きますので、こちらまでお越しください。ではごゆっくりお寛ぎください」
疲れた~。久しぶりの接客は疲れる。けどゆっくりは出来ないんだった。サンドつくらないと。ってか、その前にパンの買い出しだよ。野菜はまだ有ったよな…
「おい、一部屋でいい。空いているか?」
「いらっしゃい。何名ですか?」
「4人だ」
では、3号室をお使いください。室内は土足厳禁なので…
追加の作業をするどころか、宿の受付も忙しく瞬く間に満室となったのは嬉しいが、すでに何もする気が起きん…
でも日替わりの完売告知しておかないとますます大変なことになりそうだ。
でも、その前に休憩させてくれ~。
表看板に満室の案内と、日替わりサンドの完売も告知した。時間は…14時。えっ14時!
あと1時間で日替わりサンドを作るのか~~無理だよ~~~~。
(お主、ネットショッピングのチートが有るの忘れ取るじゃろ)
ネットショッピング!それだよ、それ~~!って、イーカン様見てたんですか?
(見ておったぞい。あたふたしているお主が面白かったぞい)
ところで、なんで想念で会話なんですか?
(どうせ今回もワシの出番が無さそうじゃからのう。それよりほら、用意せんで良いのか?)
そうだった。そのチートはどうやって使うの?教えてくださいイーカン様。
「やっとワシの出番か。よしよし、おしえやるぞい」
「あっ! 今日はこれで終わりだった。」
「なんと!」